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第1回 高齢者が夏バテにならないためには?栄養素やメニューを紹介

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暑さが厳しくなってくる夏には夏バテしてしまう高齢者が増加します。夏バテになると、食欲が落ちて食べる量が少なくなったり熱中症になったりと、高齢者の健康維持に影響を及ぼします。

この記事では、夏バテを予防するのに効果的な栄養素や、高齢者におすすめの夏バテ予防メニューを紹介します。

Q&A

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質問
高齢の両親が夏バテにならないか心配です。食事で予防する方法はありますか?
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回答
高齢者の夏バテは本人が気づかないことも多く、熱中症やフレイルのリスクとなる場合もあるので注意が必要です。
夏バテ予防に効果的なたんぱく質・ビタミンB1・クエン酸などの栄養素を、冷たく食べやすい料理に取り入れながら、生活面でもご家族が支えてあげられると安心です。
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高齢者の夏バテサイン

ビックリマークが書かれた吹き出し

まずは、高齢者が夏バテになりやすい理由や夏バテのサインについて解説します。

高齢者は夏バテになりやすい

一般的に高齢者は若い人に比べて夏バテに陥りやすいです。さまざまな理由がありますが、その1つに体温を調節する体の機能が鈍ってしまうことが挙げられます。

私たちの体は暑さを感じると、その情報が脳に伝えられ、血流や発汗を促進することで体温を調節しようとします。しかし高齢者ではこの反応が遅れるため体温が上がりやすく、夏バテになったり、さらに悪化して熱中症になったりする危険性があるのです。

さらに高齢者はエアコンの使用をためらう傾向にあります。これは老化に伴って暑さを感じにくくなっているのも一因ですが、「冷気に当たるのが嫌」「電気代がもったいない」といった意識も大きく関係しています。エアコンを使用せずに暑い室内にこもっていると、当然、夏バテしやすくなってしまいます。

こんなサインが現れたら要注意!

以下のようなサインが現れたら、夏バテの可能性があります。

  • 疲れやすい、体がだるい
  • 食欲不振
  • 熱っぽい
  • イライラする
  • 下痢、便秘

このような症状が出たら、夏バテの予防にいいとされる栄養素を取り入れた食事にしたり、涼しい環境を整えたりして夏バテが悪化しないようにしましょう。高齢者本人だけで難しい場合は、ご家族のサポートが必要になることもあります。

小さな疑問にも介護の専門家がお答えします

高齢者の夏バテ予防にとりたい栄養素

ビタミンが含まれている食べ物のイメージ

※写真はイメージです。

どのような食事をとれば夏バテを予防できるのかわからないという方も少なくないでしょう。そこでここでは、夏バテ予防のために取り入れたい栄養素を紹介します。

たんぱく質

夏は食べやすいそうめんなどで食事を済ませてしまう高齢者も多いです。筆者が介護施設に勤務しているときに高齢者に食事内容をヒアリングした際、「暑い季節はそうめんだけ」「ところてんだけ」と答える方がいました。しかしそれだけではカロリーが不足してしまい、たんぱく質も足りないため夏バテを悪化させてしまいます。

食事には肉、魚、大豆製品、乳製品などの良質なたんぱく質を追加しましょう。冷しゃぶや冷奴などの冷たいメニューは、暑い季節でも比較的箸が進みやすいです。食欲がない場合は、ヨーグルトやコップ1杯の牛乳を追加するところから始めてみましょう。

ビタミンB1

ビタミンB1は体内で糖質をエネルギーに変える働きがあるビタミンなため、ビタミンB1が不足すると、エネルギーが十分に作られなくなってしまいます。

そのため、夏バテによって、食欲不振、だるさ、疲労感といった症状が現れている方は、ビタミンB1が不足している可能性があります。

ビタミンB1は豚肉、うなぎ、玄米、大豆、ごまなどに多く含まれています。過剰に摂取した分は尿から排泄され体内に溜めることができないため、毎日こまめに摂取する必要があります。1日1回は豚肉を食べるよう心がけたり、ご飯を玄米に置き換えたりするといいでしょう。

ビタミンC

夏は暑さによるストレスや紫外線によるダメージを受けやすいため、ビタミンCの消費量が増加します。ビタミンCは体内で作ることができません。不足するとイライラしやすくなったり、貧血になったり、風邪に対する抵抗力が弱くなったりするため、意識的にとるようにしましょう。

ビタミンCはキウイフルーツやいちごなどの果物、パプリカやブロッコリーなどの野菜、さつまいもやじゃがいもなどのいも類に多く含まれています。ビタミンCは熱に弱いため、果物や野菜はなるべく加熱せずに生で食べるように工夫するといいでしょう。

 

高齢者の夏バテ予防におすすめのメニュー

レシピと書かれたメモ帳

夏バテ予防に効果的な栄養素を取り入れたメニューを3つ紹介します。

冷しゃぶと大葉のそうめん

たんぱく質とビタミンB1がとれる豚肉に大葉を合わせ、さっぱりと食べられる一品です。食事がそうめんだけになっている方へのアレンジレシピとしておすすめです。

【材料(1人分)】

  • そうめん 1束
  • 豚肉(しゃぶしゃぶ用) 80g
  • トマト 1/2個
  • 大葉 2枚
  • めんつゆ 大さじ2
  • ごま油 小さじ1

【作り方】

  1. そうめんは表示通りにゆでて水気を切り、冷水で冷やす
  2. 豚肉はさっとゆでて冷ましておく
  3. トマトは1cm角に切り、大葉は細切りにする
  4. 皿にそうめんを盛り、トマトと大葉をのせて、めんつゆとごま油をかける
      

枝豆としらすのおにぎり

たんぱく質が補える枝豆としらすを入れたおにぎりです。手軽に食べられるため、朝食や間食にもぴったりです。しらすを鮭フレークやチーズなどに変えてもおいしく仕上がります。

【材料(1個分)】

  • ご飯 お茶碗1杯(150g程度)
  • 枝豆 10粒程度
  • しらす 5g
  • しょうゆ 小さじ1/2

【作り方】

  1. 枝豆は塩ゆでしておく
  2. 温かいご飯にさやから取り出した枝豆、しらす、しょうゆを加えてよく混ぜ、おにぎりにする

鮭のムニエルレモンソースがけ

たんぱく質の豊富な鮭を、さっぱりとしたレモンソースで食べるムニエルです。鮭は身がやわらかく、高齢者でも食べやすい食材の1つ。レモンにはクエン酸が含まれるため、疲労回復効果も期待できます。

【材料(1人分)】

  • 鮭の切り身 1切れ
  • 塩こしょう 少々
  • 小麦粉 適量
  • レモン汁 大さじ1
  • バター 10g

【作り方】

  1. 鮭の両面に塩こしょうをしてから小麦粉を薄くまぶす
  2. フライパンにサラダ油(分量外)を熱し、鮭の切り身を焼く
  3. 焼き色がついたらひっくり返し、もう片面も2~3分焼いたら皿にのせる
  4. 鮭を焼いたフライパンにレモン汁とバターを入れ、色づくまで熱してレモンソースを作る
  5. レモンソースを鮭にかける

  

夏バテを予防するための生活習慣

水分補給をする高齢者夫婦

夏バテを予防するためには、食事だけではなく生活習慣全体を見直すことが大切です。ここでは夏バテを予防するための生活習慣について解説します。

朝食をとる

朝食を抜くと体を動かすエネルギーが不足して、体がだるいと感じたり、頭がぼーっとしたりします。暑い夏はエネルギーを消費しやすいため、朝ごはんからしっかり食べるようにしましょう。朝食は体内時計をリセットし、生活リズムを整えるうえでも大切です。

こまめな水分補給

脱水も夏バテの原因の1つです。高齢者は体内の水分量が少なく、少しの発汗でも脱水状態になる危険性があります。そのため喉が渇いたと感じる前に、こまめに水分補給することが大切です。

しかし、中にはお茶を飲むとむせてしまう、トイレが近くなるなどの理由で水分をほとんどとらない高齢者もいます。ご家族が水分補給を促したり、野菜や汁物から水分をとれるようにしたりといった工夫が必要です。

十分な睡眠

十分に睡眠をとることも夏バテ予防には重要です。睡眠不足が続けば疲れがとれなくなり、夏バテの症状が現れやすくなります。

熱帯夜で寝苦しい場合は、エアコンを適切に使用し、冷感シーツなども利用しながら睡眠環境を整えましょう。
なるべく毎日の睡眠時間を一定にし、生活リズムを整えるのもポイントです。

適度に運動する

日常に適度な運動を取り入れることで、汗をかきやすくなり、体を暑さに慣れさせることができます。早朝のウォーキングやラジオ体操などを取り入れるといいでしょう。気温の高い昼間は、熱中症の危険があるため屋内での運動がおすすめです。

  

まとめ

運動する高齢者の女性

高齢者は若い人に比べて熱中症や脱水症状になるリスクが高く、体力が低下しているため夏バテになりやすいです。食事からたんぱく質やビタミンをとれるように工夫して、暑い夏を元気に乗り越えましょう。

また、介護について誰かに相談したい方には、「マイナビあなたの介護」がおすすめです。LINEや電話で、さまざまな悩み事についてアドバイスを受けることができます。施設探し、介護準備のサポート、資料請求・見学申込の代行など幅広い支援を行っているので、ぜひお試しください。


参考

夏バテを予防する食事|公益社団法人千葉県栄養士会
高齢者と子どもの注意事項|熱中症予防情報サイト
夏バテしない生活習慣を!|全国健康保険協会
ビタミンB1の働きと1日の摂取量|健康長寿ネット
ビタミンCの働きと1日の摂取量|健康長寿ネット
生活リズムをととのえる|農林水産省
一般高齢者と要支援および要介護高齢者の飲水行動と熱中症対策の実態

著者・監修

管理栄養士

中邑 悠花

管理栄養士

中邑 悠花

元リハビリ系介護施設の管理栄養士。現在はライターとして食と健康に関する記事の執筆を中心に活動中。

元リハビリ系介護施設の管理栄養士。現在はライターとして食と健康に関する記事の執筆を中心に活動中。

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