「両親に介護が必要になった。どうすればいいんだろう…」「仕事と介護の両立は、できるのだろうか…」
このような疑問やお悩みをお持ちではありませんか?
二人の介護を同時に行うダブル介護は、多くの方にとって初めての経験であり、戸惑いや不安を感じるものです。しかし、ひとりで悩まず、周りのサポートを活用すれば負担を軽減できます。
この記事では、ダブル介護の基礎知識や負担を軽減するための対策、具体的な事例を解説します。
悩みをお持ちの方や仕事との両立を考えている方は、ぜひ最後までお読みください。
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「両親に介護が必要になった。どうすればいいんだろう…」「仕事と介護の両立は、できるのだろうか…」
このような疑問やお悩みをお持ちではありませんか?
二人の介護を同時に行うダブル介護は、多くの方にとって初めての経験であり、戸惑いや不安を感じるものです。しかし、ひとりで悩まず、周りのサポートを活用すれば負担を軽減できます。
この記事では、ダブル介護の基礎知識や負担を軽減するための対策、具体的な事例を解説します。
悩みをお持ちの方や仕事との両立を考えている方は、ぜひ最後までお読みください。
ダブル介護とは、二人の介護を同時に行う状態のことです。実の両親を同時に介護する場合や、自分の親と配偶者の親を介護する場合などが該当します。
ダブル介護では、介助者の負担が倍増するだけではありません。例えば、
以上のようなケースでは、それぞれ必要な介助が異なるため、介助者には身体的にも精神的にも大きな負担がかかります。
もちろん、経済的な負担も大きくなるでしょう。このように、ダブル介護では、ひとりを介護する場合の倍以上の負担がかかることが少なくありません。
ダブル介護が増加している背景には、日本の高齢化・長寿化が深く関わっています。「人生100年時代」といわれるものの、厚生労働省のデータによれば、80歳を超えると要介護認定率が急激に高くなることが示されています。
少子化の影響も見逃せません。兄弟姉妹が少ない家庭が増えたことで、ひとりっ子や兄弟の少ない世代が、両親の介護を同時に担うケースが増加しているのです。また、親と別居する子ども世帯が増え、遠距離介護が必要になるケースも少なくありません。
参考:厚生労働省 令和4年版 厚生労働白書「年齢階級別の要介護認定率」
ここでは、ダブル介護に直面している方が抱える課題について解説いたします。時間的、経済的、精神的な負担など、ダブル介護がもたらす問題について、詳しく見ていきましょう。
【ダブル介護に悩む方が抱えている課題】
ダブル介護では、それぞれにケアが必要となるため、時間的な負担が非常に大きくなります。
例えば、下記のような状況が挙げられます。
このような状況が続けば、自身の休息や仕事はもちろん、プライベートな時間さえも確保するのが難しくなり、介護離職を余儀なくされるケースもあります。
介護には、さまざまな費用が必要です。介護保険サービスを利用する場合でも、自己負担額が発生します。
また、自治体によって一部の補助はあるものの、おむつ代やデイサービスでの食事代などは、原則として自己負担となります。ダブル介護の場合、これらの費用が二人分かかるため、経済的な負担は大きくなるのです。
施設に入居する場合は施設形態にもよりますが、ひとり当たり月額利用料に10万円以上かかる場合も少なくありません。
ダブル介護は、精神的なストレスも非常に大きいです。「常に両親をケアしなければならない」というプレッシャーや疲労が蓄積し、心身共に不調をきたすこともあります。
また、介護に追われ社会的なつながりが希薄になり、孤立感を感じてしまうこともあります。誰にも相談できず、ひとりで悩みを抱え込んでしまうケースも少なくありません。
ダブル介護がもたらす問題は、時間的、経済的、精神的な負担など幅広いものです。ここでは、ダブル介護の負担を軽減するための方法を紹介いたします。
【ダブル介護に悩む方に試してほしいこと】
ダブル介護を乗り越えるためには、まず、長期的な視点を持つことが大切です。
以上のことについて、家族会議を開催し、話し合いましょう。早めに計画を立てておくと、将来の見通しが立ち、落ち着いて介護に取り組めます。
介護はひとりで抱え込まず、ご家族様・ご親族様と協力し合うことが大切です。役割分担を検討しましょう。
例えば、近くにお住まいのご兄弟に通院の付き添いを頼んだり、遠方であれば費用の一部をお願いしたりと、それぞれができる形で協力し合うのが理想的です。
このようにご家族様で協力すれば、特定の人に介護負担が集中するのを防げます。
ご家族様・ご親族様による役割分担については、こちらの記事で詳しく解説しています。
介護の悩みは、人に相談しにくいものです。しかし、誰にも相談できず抱え込んでしまうと、心身共に疲れ果ててしまいます。
まずは、身近な友人や知人、地域の介護経験者など、信頼できる人に悩みを打ち明けてみましょう。話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になることがあります。
もし、周りに相談できる人がいない、直接話すのは気が引けるという状況でしたら、オンラインで相談するのもいい方法です。
「マイナビあなたの介護」では、電話やLINEを使って、介護のお悩み全般を無料で相談できる「入居コンシェルジュ相談サービス」をご用意しています。ぜひご活用ください。
レスパイトケアとは、介護者の一時的な休息を目的としたサービスのことです。ショートステイやデイサービスなどを利用すると、介護者は自分の時間を持ち、リフレッシュできます。
例えば、ショートステイは、数日間、要介護者に施設に宿泊いただき、その間、介護者は出張や旅行に出かけることが可能です。また、デイサービスを利用すれば、日中に用事を済ませたり、休息することもできます。
ダブル介護をしながら仕事を続けるには、会社の協力が欠かせません。まずは、上司や同僚に介護の状況を伝え、理解を求めることから始めましょう。
最近では、介護と仕事の両立をサポートする企業が増えています。時間短縮での勤務やテレワーク、介護休暇・休業など、利用できるものがあれば相談してみましょう。
介護保険サービスだけでは、どうしても手が回らないこともあります。その場合には、家事代行サービスや送迎サービスなど、民間のサポートを積極的に利用しましょう。費用はかかりますが、自分の時間を確保できます。
ここでは、ダブル介護に直面した方の事例を3つご紹介いたします。どのように課題を乗り越えたのか、工夫や改善策についてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
隣県に住む長男と長女は仕事が忙しく、それぞれ月に1回程度しか実家に帰省できない状況でした。
両親共に認知症で、父親は下肢筋力低下や尿失禁、母親は家事能力の低下が見られました。(父親は要介護3、母親は要介護1)
デイサービス利用や配食弁当、ヘルパーのサポートを受けつつも、父親のデイサービス拒否や両親の健康状態の悪化が課題となっていたのです。
父親はデイサービスやヘルパーによるサポートを拒否することが多く、生活リズムが不安定でした。
下肢筋力が低下しており、転倒のリスクが非常に高い状態だったのです。
また、尿失禁もあり、自宅での清潔保持は困難でした。
母親も認知症が進行し、ゴミ捨てや調理などの家事全般ができない状態だったのです。
両親共に、在宅での生活が困難になりつつあり、施設入所が望ましい状況でした。
父親の在宅生活が困難なため、当初は特別養護老人ホームに申し込みましたが、空きがなく数ヶ月待ちと言われました。
しかし、ちょうど空きが出ていた介護付き有料老人ホームに、父親の入所が決定します。
当初は、施設入所に乗り気ではありませんでしたが、長男と話し合い納得されたようです。
母親は、身体機能は維持しているものの認知症が進行していたため、近隣のグループホームへ申し込みを行い、入所が決まりました。
こちらも、空きがあったため、スムーズに入所できました。長男と長女は、今も仕事を継続されています。
長男は、軽度の認知症をお持ちの両親(共に要介護1)と同居し、介護をされていました。
週3回のデイサービスを利用しながら、比較的安定した介護生活を送っていたのです。
しかし、ある日、父親が内臓疾患で入院することになります。
入院中に、父親の認知症が急速に悪化し、歩行や排泄などの行為が困難であると病院から告げられました。
母親は、身体的には元気ですが、軽度の認知症があり、ひとりで生活するのは難しく、見守りが必要な状態だったのです。
父親の入院中に認知症が急速に悪化し、退院後の介護が困難になることが予想されました。また、母親にも認知症があり、見守りが必要でした。
長男は、特別養護老人ホームへの入所を希望しますが、介護保険の区分変更申請の結果が出るまでには約1ヶ月かかり、申し込みはできません。
長男は、仕事を続けながら両親の介護を両立できるか、大きな不安を感じていました。
介護保険の区分変更申請の結果、父親は要介護4と認定されました。
特別養護老人ホームに申し込まれましたが、待機者が多くすぐには入所できないため、退院後はロングショートステイ(ショートステイの長期利用)を利用することになったのです。
ショートステイでは、環境の変化に戸惑い介護への抵抗も見られましたが、徐々に落ち着き、今では穏やかに過ごされています。
ただ、ロングショートステイは制度上、30日以上連続して利用できません。そのため、月に1泊2日程度は自宅に戻る必要があるのです。
自宅に戻られる際には、日中はデイサービスを利用し、何とか長男の負担を軽減しながら対応されています。
現在も、特別養護老人ホームの空きを待ちながら、ショートステイとデイサービスの利用を続けている状況です。
一方、母親は軽度の介護で対応できるため、デイサービスを利用しながら在宅生活を継続されています。
長男は退職することなく、両親の介護を続けられています。
長女は、他県に住む要介護1の母親がパーキンソン病と軽度の認知症を患っていることを知りました。
そのため、要支援2で比較的元気な父親と一緒に、両親を自宅へ引き取ることを決意します。
母親は訪問リハビリテーションや福祉用具の利用、住宅改修などを行い、比較的安定した状態を保っていました。
しかし、母親が自宅で転倒し、腰椎圧迫骨折で入院したのです。退院後も歩行が困難になり、全面的な介助が必要となりました。
入院後、リハビリを実施する予定でしたが、母親の「自宅で過ごしたい」という強い希望があり、自宅で様子を見ることになりました。
腰椎圧迫骨折の痛みもあり、以前のように歩行はできません。排泄や食事にも全面的な介助が必要です。
父親は、要支援2で身の回りのことは自分でできますが、下肢筋力が低下しているため、長距離の移動などには見守りが必要な状況です。
長女は自宅から30分ほどの会社に勤めていましたが、これまでのように勤務することが難しくなり、退職を検討されていました。
退職を検討していた長女は、職場と話し合い、時間短縮して仕事を継続することになりました。
これまではパート職員として週5日働いていましたが、今後は週3日、そして通院日や母親の状態が悪いときにはお休みや早退をするかもしれないことも上司は了承してくれたのです。
現在は、訪問入浴介護、訪問介護、福祉用具(ベッドや車いす)のレンタルを利用しています。
徐々に母親の状態も改善しつつあり、ベッド周辺なら動けるようになり、食欲も徐々に出てきました。
長女は、今後の母親の体調次第では、勤務する日数を増やすことも検討しています。
この記事では、ダブル介護の負担を減らすための工夫や事例を紹介しました。まずは、ご自身の状況を整理し、できることから始めてみましょう。
この記事のポイントは、以下のとおりです。
ダブル介護では、通常の介護よりも負担が大きくなることが一般的です。決してひとりで抱え込まず、周りの人に相談されることをおすすめします。
相談するだけで気持ちが楽になったり、新しい方法が見つかったりすることも少なくありません。身近に話せる方がいない場合や、専門的なアドバイスが欲しいと感じたら、オンラインで相談するのも一つの方法です。
「マイナビあなたの介護」では、経験豊富な専門家が、在宅介護のことから施設入所に関する疑問まで、さまざまなお悩みに無料でアドバイスしてくれます。
さらに、全国の介護施設情報も掲載しており、ご希望に合った施設探しのお手伝いも可能です。
「マイナビあなたの介護」を通して入居が決まると、入居サポート費が受け取れる施設もありますので、介護に関するお悩みや施設探しに、ぜひご活用ください。
介護支援専門員(ケアマネージャー)
朝水 裕一
介護支援専門員(ケアマネージャー)
朝水 裕一
現役ケアマネ兼Webライター。介護施設長の経験を活かし、利用者・家族・スタッフに寄り添う記事を執筆。
現役ケアマネ兼Webライター。介護施設長の経験を活かし、利用者・家族・スタッフに寄り添う記事を執筆。
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