マイナビあなたの介護

介護サービスを利用後の暮らし

介護付き有料老人ホームでの暮らしとは?ホームの概要と生活を解説!

記事をシェアする

介護が必要な家族がいると、「自宅での介護が難しいのでは?」と悩むこともありますよね。介護施設というと老人ホームを思い浮かべるかもしれません。しかし、介護施設にはさまざまな種類があり、その中でも介護付き有料老人ホームは、国から特定施設入居者生活介護の指定を受けている介護施設です。

本記事では、介護付き有料老人ホームの概要や特徴、暮らしについて詳しく解説します。

1. 介護付き有料老人ホームとは

介護付き有料老人ホームのホール

介護付き有料老人ホームとは、介護に関するサービスが受けられる高齢者向けの居住施設のうち、介護保険法による特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設のことをいいます。指定を受けていない場合は、「介護付き」と名乗ることはできません。では、介護付き有料老人ホームとは、どのような施設なのでしょうか。詳しく見てきましょう。

介護付き有料老人ホームに必要な特定施設入居者生活介護の指定とは

介護付き有料老人ホームに必要な特定施設入居者生活介護とは、特定施設に入居している要介護者に対して提供される介護保険サービスのことです。食事や入浴などの日常生活上の支援や機能訓練、生活相談などのサービスを提供し、利用者が可能な限り自立した日常生活が送れるような支援を行います。

特定施設は、介護サービスやリハビリテーションが受けられる入所施設のうち、厚生労働省令で定められた施設で、具体的には、以下の施設が対象となります該当します。ただし、特定施設として認められるためには、後述する施設や人員の基準を満たしている必要があります。

  • 有料老人ホーム
  • 軽費老人ホーム
  • 養護老人ホーム

なお、介護付き有料老人ホームは、介護保険サービスを提供する特定施設であるため、利用するためには要介護認定が必要です。
  

介護付き有料老人ホームの設備基準と人員基準

介護付き有料老人ホームは、都道府県もしくは市町村による指定を受ける必要があります。また、設備や人員配置等の基準が決められており、基準を満たしていなければ、介護付き有料老人ホームと名乗ることができません。具体的な設備基準と人員基準は以下の通りです。

主な設備基準

介護居室

  • 原則個室でプライバシーの保護に配慮すること。
  • 介護を行える適当な広さを設け、地階には設けない。
  • 一人当たりの床面積は13㎡以上であること。

一時介護室

介護を行うために適切な広さを設ける。

浴室

身体が不自由なものが入浴するのに適したもの。

トイレ

居室のある階ごとに設置し、非常用の設備を備えること。

食堂
機能訓練室

機能を十分に発揮できる適当な広さを確保する。

施設全体

利用者が車いすで円滑に移動することが可能な空間と構造となっている。

主な人員基準

管理者

1人(兼務可能)

生活相談員

要介護者等100人に対し1人

看護・介護職員

  • 要支援者10人に対し1人※
  • 要介護者3人に対し1人※
  • 無資格者の場合、認知症介護基礎研修を受講させるために必要な措置を講じる必要がある(認知症ケアにかかわる介護職員は認知症介護基礎研修の受講が義務付けられている)

※ただし、看護職員は要介護者などが30人までの場合は最低1人、30人を超える場合は50人ごとに1人必要。

機能訓練指導員

1人以上(兼務可能)

計画作成担当者

介護支援専門員(ケアマネージャー)が1人以上(兼務可能)

参考:厚生労働省「特定施設入居者生活介護
   

介護付き有料老人ホームの種類

介護付き有料老人ホームには、一般型と外部サービス利用型の2種類があります。

一般型は、施設に常駐する職員が介護サービスを提供します。具体的には、施設職員が入浴や排泄等の身体介護、部屋の掃除などの生活援助、レクリエーションやリハビリテーションなどの介護サービスを行います。ケアプランの作成も施設職員であるケアマネジャーが行います。特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの介護保険施設と同じように、施設内ですべてのサービスが受けられる形といえます。

外部サービス利用型は、安否確認や食事の提供、ケアプランの作成等を施設の職員が行い、その他のサービスは提携する外部の介護サービス事業所が提供します。施設が提携している事業所に限るため、入居前に利用していた事業所をそのまま引き継ぐことや、自由に好きな事業所を選ぶことはできません。具体的には、入浴や排泄などの身体介護や部屋の掃除などの生活援助で訪問介護を利用したり、日中の生活支援やリハビリテーションなどを、通所介護や通所リハビリテーションを利用したりすることで、気分転換を図ったりします。

  

2. 介護付き有料老人ホームでの生活をみてみよう

介護付き有料老人ホームで生活する高齢者と支援する職員

介護付き有料老人ホームでは、実際にはどのような生活を送るのでしょうか。一般型と外部サービス利用型のそれぞれについて、詳しく見ていきましょう。

一般型介護付き有料老人ホームでの暮らし

一般型では、施設職員であるケアマネジャーがケアプランを作成し、ケアプランに沿って施設内で必要な介護サービスが提供されます。一般型の主なスケジュールは以下の通りです。

7:00

おむつ交換、トイレ誘導

7:30

朝食、食後の歯磨き、口腔ケア、洗顔

10:00

バイタルチェック、水分補給

10:30

体操、朝の会、入浴、リハビリ

12:00

昼食、食後の歯磨き、口腔ケア

14:00

レクリエーション、入浴、リハビリ

15:00

おやつ、水分補給、余暇活動、トイレ誘導

17:30

夕食、食後の歯磨き、口腔ケア

19:00

おむつ交換、トイレ誘導

21:00

消灯・就寝

日中は、食堂・機能訓練室に集まり、他の介護施設や通所サービスと同様に、レクリエーションや生活動作に即したリハビリ、食事の提供などが行われます。

レクリエーションでは、ボランティアによる訪問や外出レク、季節行事などを実施している施設もあります。入浴やリハビリは、レクリエーションや集団行動の合間に、順番を決めて行われることが多いでしょう。

夜間帯は、職員が各部屋を定期的に巡回し、必要に応じておむつ交換や体位変換、体調確認などを行います。また、部屋の掃除や洗濯物も、施設職員が担当しています。
  

外部サービス利用型介護付き有料老人ホームの暮らし

外部サービス利用型では、施設職員であるケアマネが作成したケアプランに基づいて、外部のサービスを利用します。外部サービスは自由に選べるのではなく、施設が提携している事業所に限られます。外部サービス利用型の主なスケジュールは以下の通りです。

時間

有料老人ホーム

外部サービス(デイサービス)

7:00

おむつ交換、トイレ誘導

7:30

朝食、食後の歯磨き、口腔ケア、デイの準備

9:00

外部のデイサービスへ

送迎車で施設を出発

9:30

外部デイサービスに到着、バイタルチェック

10:00

水分補給

10:30

朝の会、体操、入浴

12:00

昼食

14:00

レクリエーション

15:00

おやつ、水分補給、トイレ誘導

16:00

送迎車で施設に出発

16:30

施設に到着

17:30

夕食、食後の歯磨き、口腔ケア

19:00

トイレ誘導、おむつ交換

21:00

消灯、就寝

外部のデイサービスを利用する日は、日中の活動は外部デイサービスにて過ごします。外部デイサービスによる朝のお迎えまでの時間は、施設職員と一緒にデイサービスの準備をしたり、施設で朝食を食べたりするなどして過ごします。デイサービスから帰ってきた後に行う、夜間帯の巡視やおむつ交換、体位変換などの必要な支援については、施設職員が行います。

デイサービスが休みの日は、施設内で職員による介護サービスが受けられます。訪問介護を利用している場合は、訪問介護のヘルパーによる掃除や片付けなどの生活援助、入浴などの身体介護を受けることもできます。

  

3. 介護付き有料老人ホームの費用の目安と入居までの流れ

介護付き有料老人ホームの入居の流れについて、説明する職員

介護付き有料老人ホームに入居を検討するとき、費用はどれくらいなのか、入居の手続きはどのように進むのか、悩むことがあります。費用と入居の流れについて、詳しく見ていきましょう。

介護付き有料老人ホームの費用の目安

介護付き有料老人ホームにかかる費用には、要介護度別の介護費用や食費、家賃、管理費が基本料金となっていることが一般的です。その他にかかる費用には、理美容代やレクリエーションで使った材料費等の実費などがあり、施設によっては持ち込んだテレビや冷蔵庫にかかる電気代を別途徴収するところもあります。おむつ代は、介護サービス費に含まれるため、別途かかることはありません。ただし、施設に入居しているタイミングで病院などに入院が必要になった場合は、退去の意志がない限りはそのまま家賃や管理費がかかります。

介護付き有料老人ホームの家賃や管理費、食費等は、施設や地域によって異なります。東京都の場合、月額利用料の平均は約27万円です。

入居時には、入居準備費用や敷金、入居一時金が必要となる施設もあります。これらの費用も、家賃等と同様に施設によって異なります。

また、介護付き有料老人ホームの場合、支払い方式が月払い方式と前払い方式があります。月払い方式は、毎月一定額を支払う方法です。前払い方式は、入居時に将来の家賃を前払いすることで、毎月の支払額を抑える方法です。施設によって支払い方式も異なります。費用の詳細や支払い方式については、実際に入居を希望する施設に確認することが大切です。
  

介護付き有料老人ホームの入居までの流れ

介護付き有料老人ホームへの入居を希望する場合は、要介護認定を受けておく必要があります。要介護認定を受けていない場合は、まずお住まいの地域の役所や地域包括支援センター等に相談し、申請を行いましょう。

すでに要介護認定を受けている場合、担当のケアマネジャーに相談するか、直接施設に問い合わせ、施設を見学しましょう。見学では、施設の部屋の広さや設備だけでなく、職員や入居者の雰囲気も確認しておきましょう。施設が気に入れば、入居申し込みをしておくと、その後の流れがスムーズです。

その後、施設職員による事前面接があります。事前面接では、入居希望者の身体面や生活面など、様々な状態を確認されます。面接を経て、介護の必要程度や家族状況などを勘案したうえで、入居が決定されます。入居が決まれば、直接施設と契約を交わし、入居することができます。

 

まとめ:介護付き有料老人ホームに入居するなら早めに行動しよう

介護付き有料老人ホームは、国から特定施設入居者生活介護の指定を受けている介護施設であるため、入居を希望するときには要介護認定が必要です。まだ要介護認定を受けていない場合は、要介護認定の申し込みから始めましょう。また、施設を申し込んでもすぐに入居できるとは限らないため、将来的に介護付き有料老人ホームの入居を考えている場合は、早めにケアマネジャーに相談や施設の見学などをしておくと安心です。

 


参考URL

高齢者向け住まいを選ぶ前にー消費者向けガイドブック|厚生労働省
有料老人ホームの累計|厚生労働省
特定施設入居者生活介護|厚生労働省
どんなサービスがあるの?特定施設入居者生活介護|厚生労働省
介護付き有料老人ホーム遥か|社会福祉法人はまなす会
介護付き有料老人ホーム遥か ご入居までの流れ|社会福祉法人はまなす会
入居案内|介護付き有料老人ホームヴィレージュ
外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護村山光ホーム|社会福祉法人村山光厚生会
介護付有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)|厚生労働省

記事をシェアする

「介護サービスを利用後の暮らし」の記事

AI診断で探す

介護について相談する

専門家があなたの悩みを最優先にサポートします。介護施設選びに迷ったら、今すぐ無料相談!コンシェルジュに相談する