デイサービスは、自宅で生活する高齢者が多く利用している介護保険サービスの一つです。これからデイサービスの利用を検討する高齢者の中には、デイサービスではどのような1日を過ごすのか、気になっている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、デイサービスでの生活について、朝から夕方までの長時間を基本とした日中利用型と、午前と午後のどちらかの短時間利用型のスケジュールを詳しく解説します。
介護サービスを利用後の暮らし
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デイサービスは、自宅で生活する高齢者が多く利用している介護保険サービスの一つです。これからデイサービスの利用を検討する高齢者の中には、デイサービスではどのような1日を過ごすのか、気になっている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、デイサービスでの生活について、朝から夕方までの長時間を基本とした日中利用型と、午前と午後のどちらかの短時間利用型のスケジュールを詳しく解説します。
デイサービスとは、利用者さんが自宅での生活を継続できるよう、以下のような支援などを行う介護サービスです。
利用者さんのためだけでなく、家族の介護による身体的・精神的負担を軽減するためにも、利用することができます。
デイサービスで行える範囲の支援としては、以下のようなものが挙げられます。
※けがの処置、軟膏の塗布、湿布薬の貼り付けについては、条件付きで医療行為ではないとしています。詳細は出典を参照ください。
(出典:医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知) )
上記は、医療行為に当たらないケアであるため、デイサービスで行えます。爪切りや自己導尿の介助等は、条件付きでデイサービスでの実施が認められています。ただし、事業所によっては、医師からの指示書を必要としていることもあるため、あらかじめ確認しておきましょう。なお、経管栄養やインスリン注射、喀痰吸引などの医療行為は、医師の指示がなければデイサービスでは行えません。
デイサービスを利用できるのは、要介援1~要介護5の認定を受けている方です。介護予防・生活支援サービス事業の認定を受けている事業所のうち、事業対象者を受け入れている施設であれば、要支援・要介護認定を受けていなくても、お住いの自治体で基本チェックリストを実施して事業対象者と認定されれば、デイサービスが利用できます。詳細については、お住いの自治体や、地域包括支援センターに確認しましょう。
次に、デイサービスの種類について、おさらいしましょう。デイサービスには、一般的なデイサービスのほかに、以下のような特徴を持つデイサービスがあります。
【デイサービスの種類】
認知症対応型デイサービス | 認知症の方を対象に専門的な支援を行うデイサービス |
---|---|
療養型デイサービス | 難病を持つ方など、常時看護師による観察が必要な人向けのデイサービス |
リハビリ特化型デイサービス | リハビリに力を入れているデイサービス |
また、デイサービスの利用時間に注目してみると、デイサービスは以下のように、大きく2種類に分けられます。
【デイサービスの利用時間の種類】
日中利用型 | 朝から夕方までの利用を基本としたデイサービス |
---|---|
半日利用型 | 午前中、もしくは午後のどちらかを利用時間と定めているデイサービス |
日中利用型も半日利用型も区分として存在するわけではありませんが、これらの時間帯に分けられることが多くなっています。
デイサービスには朝から夕方までの約8時間の日中利用型、約4時間までの短時間利用型の1時間区分のサービス提供があります。なかには3時間~4時間未満サービスを午前と午後の2回に分けて実施しているサービスもあり、事業所によって種類もさまざまです。
続いて、デイサービスの1日のスケジュールを見てみましょう。
デイサービスの利用を考えるとき、1日のスケジュールはどのように進んでいくのか、気になる方も多いのではないでしょうか。そこで、日中利用型と短時間利用型のスケジュールについて、詳しく見ていきましょう。
日中利用型の場合、利用時間は9:30頃から16:30頃までの例を示します。
【日中利用型のスケジュール】
8:30~9:00 | お迎え |
9:30 | 健康チェック、水分補給 |
10:00 | 入浴、朝の会、趣味活動 |
12:00 | 昼食、休養 |
13:30 | レクリエーション、体操 |
15:00 | 水分補給、おやつ |
16:30 | お送り |
それぞれについて詳しく解説します。
【お迎え】
9:30には施設に到着できるよう、8:30~9:00くらいに自宅に施設職員が迎えに来ます。迎えの車は、複数名の利用者の家を回ることが多く、大きなバンだと5,6名乗ることもありますし、マイクロバスで迎えに来る事業所もあります。
【健康チェック、水分補給】
施設に到着すると、体温や血圧などを測定し、健康チェックを行います。高齢になると水分摂取量が少なくなりやすいため、来所時にはお茶やコーヒーなどを提供し、水分補給をしてもらうことが多いでしょう。
【入浴、朝の会、趣味活動】
健康チェックが終わると、機能訓練や入浴などのサービスが行われます。そのほか朝の会や脳トレ、趣味活動なども行われています。
朝の会では、日付の確認や今日の記念日、簡単な体操などが実施されます。機能訓練は、集団で行われるもの、個別に行われるものなど、それぞれの利用者にあったやり方と時間が計画されています。
【昼食、休養】
12:00頃になると、昼食となります。必要な方には、職員が食事を介助します。昼食前には、口腔体操を行うところもあります。昼食が終わると、職員が声掛けを行い、口腔ケアやトイレ誘導、介助を実施します。デイサービスには休養室を用意しているところも多く、休養が必要な方にはベッドに横になってもらうこともできます。
【レクリエーション、体操】
13:30~14:00くらいから、レクリエーションなどが開催されます。レクリエーションは、体を動かすものや頭を使うもの、ドライブや買い物などの外出、手芸などの趣味活動など、施設によってさまざまなものが実施されています。
【水分補給、おやつ】
レクリエーションが終わり、15時頃になると、水分補給・おやつタイムとなります。その後は、利用者さん同士で談笑して過ごします。自宅までの送り時間にトイレに行きたくならないよう、この時間に職員がトイレ誘導や介助等を行います。
【送り】
16:00~16:15頃には、体操や帰りの会をして、利用者さん一人ひとりに連絡帳が渡されるところが多いです。時間になると、お送りの準備となり、順番に車に乗り込み、自宅までお送りします。
短時間利用型は、リハビリ特化型によくみられます。今回は、午後に利用した場合のリハビリ特化型の1日のスケジュールの一例を見てみましょう。
13:00 | お迎え |
13:30 | 健康チェック、水分補給 |
14:00 | 機能訓練 |
16:00 | 水分補給、談笑 |
16:30 | お送り |
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
【お迎え】
短時間利用型で午後利用する場合は、13:30頃に施設に到着するスケジュールが組まれることが多いでしょう。13時頃に自宅に職員がお迎えに行きます。
【健康チェック、水分補給】
施設に到着すると、日中利用型と同様に体温や血圧などを測定して健康チェックを行います。健康チェックが終わると、水分補給をして機能訓練を実施します。
【機能訓練】
機能訓練には、施設によってさまざまなカリキュラムが設けられています。マシントレーニングを中心とした施設や、集団体操や独自の運動を実施する施設などがあります。これらのカリキュラムに、追加でマッサージを行う施設も少なくありません。
【水分補給、談笑】
機能訓練が終わると、水分補給や利用者さん同士の談笑の時間を設け、他者交流の機会を持ちます。短時間利用型であっても、水分補給はこまめに行う施設がほとんどです。なお、短時間型のリハビリ特化型の場合、レクリエーションや朝の会などは実施しないことが多いでしょう。
【お送り】
16:30になって利用時間が終了になると、お送りの車に乗り、順次自宅へ向かいます。車には、複数名一緒に乗っていることが多いため、車の中で利用者さん同士が交流することもあります。
デイサービスを選ぶときには、どのような点に注目したらよいでしょうか。日中利用型と短時間利用型それぞれの、選び方のポイントについて、詳しく見ていきましょう。
日中利用型は、利用時間が長いため、次のような方が向いています。
また、レクリエーションや体操、趣味活動など、1日を通してさまざまなことを行うため、社交的で人との交流が好きな方や、活動的な方にもピッタリです。
日中利用型の場合、多くの施設で入浴を実施しており、排泄や食事などの介助が受けられるため、次のような介護の割合が高い方の利用も多いでしょう。
また、家では偏った食事になりがちな方や、栄養面に不安がある方が、きちんと食事をとれるようにするために利用するケースもあります。
一方で、次のような方は時間が長く感じてしまうため、日中利用型はあまり向いていないかもしれません。
介護度が高い利用者さんや認知症の利用者さんが多い施設の場合、元気で身の回りのことがおおむね自分でできるといった方には、物足りなかったり、合わないと感じてしまったりすることがあります。
短時間利用型は、次のような方に向いています。
特に、リハビリ特化型の短時間利用型は、介護度が低い方が利用していることが多く、元気な方と交流したい場合にピッタリです。
一方で、短時間利用型は、食事がないケースや入浴を実施していないことが多いでしょう。そのため、昼食や入浴が必要な方には向いていません。ただし、別料金で弁当を持ち帰ったり、食事をしてから送迎したりする事業所や、入浴を実施している短時間利用型のデイサービスもあるので、実際に利用したいという場合には、各事業所に確認しましょう。
また、デイサービスは要介護1以上であれば、複数の事業所を利用することができるため、日中利用型と短時間利用型を併用するのも方法です。運動を頑張る日と、入浴や食事などの身の回りの支援を重点的に行う日を分けている利用者さんもいます。
ただし、短時間利用型の中には、介護度が低い方向けのプログラムを主に実施しているところもあり、歩行が難しくなって車いすになった場合や、認知症が進行して指示が通らなくなったなど、介護度が高くなると、利用が難しくなってしまうケースもあります。
デイサービスは、利用時間によって日中利用型と短時間利用型などさまざまな利用形態があり、に分けられ、それぞれスケジュールが異なっています。
デイサービスを選ぶときには、事業所のスケジュールを参考にしてみるのもよいでしょう。同じ日中利用型、短時間利用型であっても、スケジュールは事業所によって特色があります。
設備やサービスなどに加えて、スケジュールの内容も確認しておくと、1日の流れがよく把握できるため、利用時の「思っていたのと違った」といったギャップを減らすことができるでしょう。
参考URL
通所介護(デイサービス)|厚生労働省
通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護|厚生労働省
北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO
菊地 雅洋
北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO
菊地 雅洋
社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。
社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。
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