「仕事と介護の両立に限界を感じている」「誰にも相談できず、つらい…」
そんな悩みを抱えているビジネスケアラーの方は、少なくありません。働きながら介護を担う方が増え、深刻な社会問題となっています。しかし、適切なマインドセット(心構え)を持つことで、介護者の負担を減らすことが可能です。
この記事では、ビジネスケアラーが抱える課題を乗り越えるためのマインドセットを具体的に解説いたします。ぜひ最後までお読みください。
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「仕事と介護の両立に限界を感じている」「誰にも相談できず、つらい…」
そんな悩みを抱えているビジネスケアラーの方は、少なくありません。働きながら介護を担う方が増え、深刻な社会問題となっています。しかし、適切なマインドセット(心構え)を持つことで、介護者の負担を減らすことが可能です。
この記事では、ビジネスケアラーが抱える課題を乗り越えるためのマインドセットを具体的に解説いたします。ぜひ最後までお読みください。
日本は65歳以上の高齢者が人口の約4人に1人を占める超高齢社会であり、仕事と介護の両立は深刻な課題となっています。
特に、団塊ジュニア世代(約800万人)が2040年代後半に後期高齢者となることで、医療・介護の負担はさらに増大する見込みです。第一線で働く人数の少ない現役世代が、仕事と介護の両方を担うケースが増加しています。
【参考】経済産業省「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」(P.5)
ビジネスケアラーは、時間的制約、精神的ストレス、経済的負担など、複雑な課題を抱えがちです。
例えば、ご家族様が急な体調不良になられた場合、「デイサービスから、お迎えを催促される」「夜勤明けでも、病院受診に付き添わなければならない」など、突発的な対応を求められることもあります。
また「いつ仕事を中断しなければならないか分からない」「重要なプロジェクトに参加できないかもしれない」といった精神的なストレスや不安を抱えやすく、介護のために残業ができず収入が減少してしまうケースも少なくありません。
仕事と介護の両立には、マインドセットが欠かせません。
介護は長期にわたる可能性が高く、高齢者の体調は変化しやすいため、予期しない出来事も起こります。
そのような状況でも冷静に対処し、前向きな気持ちを維持するためには、適切なマインドセットが重要なのです。
ここでは、仕事と介護を両立するビジネスケアラーの皆さんが、より前向きに日々を過ごせるためのマインドセットについて解説していきます。
介護と聞くと、困難や苦労をイメージしがちですが、ネガティブなことばかりではありません。「介護という変化」を、ポジティブにとらえることが大切です。
介護を「親孝行の機会」や「学びの場」と捉えることで、前向きな気持ちで取り組めるようになった人も多くいます。今まで知らなかったご家族様の一面を発見したり、新しい経験をすることもあるでしょう。
また、介護を通じてコミュニケーションが増え、絆が深まることもあります。「大変なことばかり」と捉えがちですが、視点を変えれば、介護は人生を豊かにする経験にもなるのです。
もちろん、思い通りにいかず辛いとき、苦しいときもあるでしょう。しかし、そんなときこそ、介護の中にあるポジティブな面に目を向け、心のゆとりを持つことが、ストレス軽減につながります。
介護を必要とするご家族様の心理は複雑です。介護の壁を、家族愛と成長のチャンスと捉えましょう。
「これまでできていたことが、できなくなってしまった」「人の助けがないと生活できない自分が情けない」などと考えておられるご家族様も少なくありません。善かれと思ってサポートしたにも関わらず、拒否されたり、厳しい言葉を投げかけられた経験をお持ちの介護者の方も多いのではないでしょうか。
しかし、そうした壁を乗り越える過程で、家族の絆を再確認したり、自分自身が成長したりすることもあります。例えば、これまでご家族様との関わりが希薄だったとしても、介護を通じてコミュニケーションが増え、関係が改善することも期待できます。
また、介護の課題に直面し、乗り越えることで成長や自信にもつながるでしょう。
困難を乗り越えた先に、家族愛と自身の成長があると信じて、前向きに取り組んでいくことが大切です。
周りの人に助けを求めることは、決して悪いことではありません。介護をひとりで抱え込むと、精神的にも体力的にも大きな負担がかかるからです。
介護は「チームでやるもの」です。周囲の協力を得ることで、ご自身の負担を減らし、より良いケアを提供することにもつながります。
まずは、ご家族・ご親族間で話し合い、それぞれの役割分担を明確にすることが大切です。誰が何を担当できるのか、どのようなサポートが必要なのかを具体的に話し合うことで、協力体制を築きやすくなります。
また、友人や同僚、地域包括支援センターやケアマネージャーなどの専門機関にも相談してみましょう。悩みや不安を打ち明けることで、気持ちが楽になるだけでなく、具体的なアドバイスやサポートを受けられます。遠慮せず周囲の力を借りながら、介護に取り組みましょう。
仕事と介護、どちらも大切にしたい。そう思う一方で、思うように両立できず、もどかしさを感じることもあるでしょう。しかし「自分はダメだ」などと自己嫌悪に陥る必要は全くありません。
仕事と介護の両立を、ひとりで完璧にこなせる人などいないのです。自分を責めたり、ひとりで抱え込んだりせず、周囲の人に頼りましょう。
例えば、どうしても外せない仕事とご家族様の通院が重なってしまった場合は、ご親族や介護サービス事業者に付き添いを依頼するなど、柔軟に対応することが大切です。
肩の力を抜き、周囲の人と支え合いながら、両立の形を見つけていきましょう。
仕事と介護を両立する日々は、喜びだけでなく、不安や焦り、悲しみなど、さまざまな感情が湧き上がってくるものです。そんなときこそ、自分の心の声に耳を傾けましょう。
感情を無視したり、無理に抑え込んだりするのは逆効果です。「辛い」「イライラする」そう感じたら、その感情を認め「私は今、こう感じているんだな」と客観的に見つめてみましょう。
そして、信頼できる人に話したり、ノートに書き出したりして、感情を外に出すことです。家族や友人に、仕事と介護を両立するプレッシャーを正直に打ち明けるのも良いでしょう。感情を言葉にすることで、心が軽くなり、周りの理解やサポートも得やすくなります。
また、ほんの少しでも自分のための時間をつくりましょう。好きな音楽を聴く、アロマを焚く、美味しいものを味わう、軽い運動をする…。心が安らぐ時間を持つことで、穏やかな気持ちを取り戻せます。
「仕事では常に完璧を目指し、全力で取り組んできた」「自分がやらねば」と強い責任感を持つ方も多いでしょう。
しかし、介護においては「完璧」を求め過ぎないことが大切です。なぜなら、介護に「完璧」は存在しないからです。
高齢者の体調は日々変化し、予期せぬ事態も起こります。「この前までは、自分でできたのに」「こうしておけば、もっと元気でいられたかもしれない」などと感じることも珍しくありません。「完璧」を求め過ぎると、理想とのギャップに苦しみ、心身共に疲弊してしまうリスクが高まります。
大切なのは、「最善」を尽くすことです。完璧を目指すのではなく、「今の状況で、自分にできる最善を尽くす」という気持ちを持ちましょう。ご家族やご親族、介護サービス事業者などの力も借りながら、できる範囲で精一杯やる。それが「最善」を尽くすということです。
ときには、完璧な介護ができなくても、ご家族様の気持ちに寄り添い、温かい言葉をかけるだけでも、十分に意味のあるケアになります。
今回は、ビジネスケアラーとして仕事と介護を両立するための「マインドセット」について解説しました。
現代は超高齢社会であり、多くの方が仕事と介護の両立という課題に直面しています。時間的制約、精神的ストレス、経済的負担など、ビジネスケアラーの実情は厳しく、予測不能な事態も起こります。
そのような状況の中で、困難を乗り越え、前向きな気持ちを維持するためには、適切な「マインドセット」が不可欠です。具体的には、以下の6つのポイントを意識しましょう。
以上のマインドセットは、ビジネスケアラーが抱える不安や負担を軽減するためのポイントです。
しかし、仕事やご家族様の状況によっては、どんなに頑張っても両立が難しい場合もあるかもしれません。そのようなときは、介護施設への入居を検討するのも選択肢の一つです。
介護に関する悩みがあるときには、「マイナビあなたの介護」でLINEや電話で相談できます。
どんな些細なお悩みでも、まずは「マイナビあなたの介護」に相談してみるのはいかがでしょうか。
介護支援専門員(ケアマネージャー)
朝水 裕一
介護支援専門員(ケアマネージャー)
朝水 裕一
現役ケアマネ兼Webライター。介護施設長の経験を活かし、利用者・家族・スタッフに寄り添う記事を執筆。
現役ケアマネ兼Webライター。介護施設長の経験を活かし、利用者・家族・スタッフに寄り添う記事を執筆。
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