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ビジネスパーソンのための健康管理とストレス対策
第3回 介護のストレスを感じたら。リフレッシュの方法や時間確保のポイントを紹介

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慣れない介護をしていると心身ともに負担が増え、ストレスに感じることがあります。特に介護は先が見えづらいため、不安に思う方も多くいるでしょう。

本記事では、介護ストレスを軽くする考え方や介護ストレスを解消する方法を紹介します。リフレッシュするための時間確保のポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

介護ストレスとは

介護による身体的な負担や精神的な負担、また、経済的な負担などを要因とする「介護ストレス」は、介護に携わる人にとって身近な問題です。

令和4年国民生活基礎調査によると、主な介護者のなかで「悩みやストレスあり」と回答した31,747人のうち、約8割が「家族の病気や介護」に対するストレスを感じていました。

家族の病気や介護は、先が見えない不安もあるため、自分の中で大きなストレスとなりやすいといえるでしょう。

出典:令和4年国民生活基礎調査(介護)表68

介護ストレスが引き起こす影響

介護ストレスを抱えたままの状態が続くと、以下のような問題に繋がる可能性があります。

介護うつ

介護ストレスにより慢性的に疲れがたまると介護うつを引き起こす可能性があり、食欲不振や倦怠感、睡眠・思考障害、不安・焦燥感、憂うつ感などが症状として現れます。

介護離職

日常的な介護が必要なことを理由に、現在勤めている仕事を辞めることです。収入がなくなることにより経済的な負担が大きくなったり、介護がひと段落して再就職しようとしてもブランクがあるため、就職先が見つかりにくくなったりする恐れがあります。

介護放棄

ネグレクトとも呼ばれ、介護が必要な方に必要な身の回りの介護を行わず、放置状態になることです。十分な食事をあたえない、おむつが汚れていても交換しない、入浴をさせないなど、要介護者の心身の安全や健康が損なわれる行為は、虐待にあたります。
 

上記のような問題を起こさないためにも、自身の状態に気を配り、早期に介護ストレスを解消することが重要です。ここからは介護ストレスを軽減するための「心構え」「日常の工夫」「サービス利用」の軸でそれぞれ解説します。

  

方法① 介護ストレスを軽くするための心構え

部屋で体を伸ばしリラックスする女性

介護ストレスに対しては、まずは考え方を少し変えることで気持ちが軽くなることがあります。

5つの心構えについて、詳しく見ていきましょう。

自分1人でやろうとしない

必要となる介護は人によっても異なり、食事、排泄、入浴、移動といった様々なシーンで介助が必要となるかもしれません。必要な介護を全て自分1人でやろうとすると、大きな負担となり、腰痛や肩こりの原因にもなります。可能であれば家族や介護サービスなどを頼り、介護を分担しましょう。

また、ご家族様(要介護者)が認知症を発症している場合は、地域とのつながりを持っておくことも大切です。近隣の住民や、町内会のメンバー、よく行くスーパーの店員、近くの交番にいる警察官など、挨拶などを交わして日頃から交流を図っておくことで、いざという時に力になってくれるかもしれません。

弱音や愚痴を吐いてもいい

ときには、介護に対する弱音や愚痴を吐きたくなる時もあるかもしれません。そのような時は我慢せずに、吐き出すことも大切です。家族や知人など信頼できる人に話したり、ケアマネージャーや、マイナビあなたの介護で相談したりすることで、心が軽くなることもあります。

ケアマネージャーは守秘義務のある仕事であるため、相談しにくいことを話しても情報が漏れる心配がありません。また、状況に応じて負担を軽減できるサービスを紹介してくれる場合もあります。

また、マイナビあなたの介護では介護の専門家がどんな些細なお悩みも相談にのってくれます。電話やLINEで気軽に相談できますので、まずはご相談してみてください。

相談方法はこちら ▶

自分自身の心を健康に保つためにも、もやもや・イライラする気持ちは溜め込まないことが大切です。

認知症のご家族への対応に悩んでいる方や、相談したいことがある方は、公益社団法人「認知症の人と家族の会」の電話相談や、自治体にある地域包括支援センターを活用してみてはいかがでしょうか。認知症の方とその家族の支援を目的として活動しているため、支援を受けられたり受けることができたり、同じように悩みをかかえる方と知り合えるかもしれません。

参考:認知症に関する相談先|厚生労働省

他人と比べない

同じ介護度の方でも、その人の性格や人柄、周囲の環境などはさまざまであり、全く同じ状態ではありません。「周りは頑張っているのに……」「自分は些細なことでイライラしてしまう……」などと落ち込まず、自分やご家族にとって無理のないペースでできることを探してみましょう。

介護に「正解」はない

介護のやり方や認知症への対応には、様々な方法があります。毎日一生懸命に介助をしていても、「本当にこれでいいのか」と悩むこともあるでしょう。

しかし、何が正しくて何が間違っているのかは誰にもわかりませんし、正解もありません。「正解」を探し求めるより、自分とご家族がありのまま、自分らしく過ごせることが何よりも大切です。

  

方法② 介護ストレスを軽減する日常の工夫

コワーキングスペースで学ぶ女性の手

日常における工夫で、介護ストレスを軽減できる場合もあります。2つの方法を見ていきましょう。

介護の知識やスキルを身に付ける

介護者が、介護の知識やスキルを身に付けることで、自身を持って介護できるようになります。

例えば、ベッドから車椅子への移乗や食事の介助などを行う際に、正しい体の使い方や介助方法がわからないまま行うと、不安な気持ちからストレスを感じたり、身体を痛めたりすることもあります。

介護者が適切な介助方法の知識を身に付けることで、お互いに不安な気持ちやストレスが減るだけでなく、お互いに安心した状態となり、信頼関係も構築しやすくなります。

こちらの記事は介護の場面ごとの基本や時短テクニックについて解説しています。ぜひ参考にしてください。

▶ 今日からできる介助のコツと時短テクニック

住環境を整える

無理なく介護できるように、自宅の環境を整えることもストレス軽減につながります。例えば、要介護者に適した福祉用具を活用することで、介護者の介護負担は軽減されます。

また、家の中にある段差をなくすことで、要介護者の転倒リスクが低くなり、安全性が向上するだけでなく、介助も行いしやすくなります。

住環境を整えるときは、「居宅介護住宅改修費」という補助金を利用できる可能性があるため、お住まいの市区町村の制度を確認してみましょう。

  

方法③ リフレッシュ・負担軽減のためのサービス

車椅子の介護者と高齢者の手

介護者が心身ともにリフレッシュできると、心の余裕が生まれ、介護が必要なご家族に対して無理なく接することができます。

しかし、排せつ介助の頻度が多い、転倒リスクが高いなど、介護度が高く、介護が頻回に必要な場合、自分の時間を作ることがなかなか難しいかもしれません。そのようなときは、以下のサービスを上手く活用してみましょう。

家事を楽にするサービス

自分自身が生活するうえで必要となる、掃除・洗濯・買い物・料理などを楽にする民間サービスを活用することもおすすめです。

費用はかかるものの、家事代行サービスや、宅配クリーニング、ネットスーパーなどを上手に活用することで、自分がリフレッシュする時間が生まれ、心の余裕につながるでしょう。

▶ 介護保険外サービスの一覧

市区町村(行政)のサービス

各市区町村には、介護を支援するさまざまな行政サービスがあります。例えば、寝たきりの方が理美容や訪問歯科診療などが受けられる行政サービスや、紙おむつの購入にかかる費用の一部を助成している市区町村もあります。

このような行政サービスを活用することで、経済的負担の軽減にもつながりストレスを軽減できるでしょう。

まずは、自分の暮らす市区町村にどのようなサービスが整備されているのか、把握しておくことが肝心です。

居宅サービス

以下のような在宅介護サービスを有効に活用するのもおすすめです。

在宅介護サービス名

特徴

訪問介護

介護福祉士や訪問介護員(ホームヘルパー)が自宅を訪問し、身体介護や生活援助が受けられる。

訪問入浴介護

介護職員と看護職員が、専用の浴槽を持参し、自宅で入浴介助が受けられる。

通所介護
(デイサービス)

通所介護(デイサービス)事業所に通って、残存機能の維持・向上を目指し、日常生活支援・機能訓練など必要なサービスが受けられる。

短期入所生活介護
(ショートステイ)

老人短期入所施設や特別養護老人ホームなどに短期間入所し、介護や機能訓練が受けられる。

在宅介護サービスを利用することで、日中のプライベート時間が確保しやすくなります。日中少しでもリフレッシュできると、その後の介護も気持ちに余裕を持って行えるでしょう。

介護施設への入居も選択肢の一つ

介護をしていると、先が見えず不安になり、大きなストレスを感じることもあるでしょう。本人や家族と話し合ったり、ケアマネージャーに相談したりしたうえで、施設入所も視野に入れることも一つの方法です。介護者とご家族がお互いに健康で、安心した暮らしを送るためにも、在宅にこだわらない選択肢も持っておくとよいでしょう。

 

まとめ:介護ストレスを軽減しよう

自宅で母親を抱きしめる女性

慣れない介護をしていると、身体的・精神的・経済的に負担を感じ、ストレスとなります。

介護ストレスを軽減するためには、1人で抱え込まず、家族や地域、ケアマネージャー、「マイナビあなたの介護」などに頼ることも大切です。

在宅で利用できる介護サービスを上手く活用したり、本人や家族と話し合い、意向を尊重しながら施設入居を視野に入れたりすることで、介護ストレスの軽減につながります。

「マイナビあなたの介護」はLINEや電話で手軽に相談でき、介護の専門家があなたのお悩みに沿ったご提案をします。

まずは会員登録をし、相談してみてはいかがでしょうか。


参考URL

令和4年国民生活基礎調査 表番号 64 同居の主な介護者数,介護を要する者の現在の要介護度の状況・主な介護者の性・主な介護者の悩みやストレスの有-悩みやストレスの原因(複数回答)|e-Stat 政府統計の総合窓口
認知症の人と家族の会|公益社団法人
訪問介護(ホームヘルプ)|厚生労働省
訪問入浴介護|厚生労働省
通所介護(デイサービス)|厚生労働省
短期入所生活介護❘|厚生労働省
有料老人ホームの類型|厚生労働省
サービス付き高齢者向け住宅について|厚生労働省
グループホームとは?|公益社団法人日本認知症グループホーム協会
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)|厚生労働省

監修

北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO

菊地 雅洋

北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO

菊地 雅洋

社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。

社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。

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