介護において、見守りにかかる負担は大きいもの。特に、日中働きながら家族を介護する人や、遠方で簡単に会いに行くことができない人にとっては、不安の種が尽きませんよね 。
そうした場合に活躍するのが、「介護用見守りカメラ」(以下、見守りカメラ)です。
ここでは、見守りカメラのメリット、選定のポイント、使用上の注意点などについて詳しく解説します。
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介護において、見守りにかかる負担は大きいもの。特に、日中働きながら家族を介護する人や、遠方で簡単に会いに行くことができない人にとっては、不安の種が尽きませんよね 。
そうした場合に活躍するのが、「介護用見守りカメラ」(以下、見守りカメラ)です。
ここでは、見守りカメラのメリット、選定のポイント、使用上の注意点などについて詳しく解説します。
見守りカメラとは、室内に取り付けて各種端末からその場の様子を確認したり、録画したりできる小型カメラのことです。
日中に家を空ける、あるいは実家を離れて暮らす人にとって、家族をリアルタイムで見守ることのできる有効なツールの一つ。一般的に、家族が過ごす時間の長いリビングや、ベッドからの転落が心配な寝室などに設置されることが多いようです。転倒や体調不良など、高齢になって心配事が増えてきた親を見守りたい、でも24時間365日一緒に過ごすことは難しい……。そんなニーズに応えられるのが、見守りカメラです。
見守りカメラが活躍するのは、一般家庭だけではありません。多くの高齢者が暮らす介護施設などでも活用が進んでおり、スタッフが少ない夜間の見守りをサポートしたり、施設内での事故・ トラブルを防いだりすることに貢献しています。
家庭でも施設でも、介護現場において見守カメラの存在感は大きくなりつつあります。
それでは、見守りカメラを使うことによって、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか? 実際の使用シーンをイメージしながら確認していきましょう。
見守りカメラで撮影した映像を記録したり、リアルタイムで確認したりすることで、遠く離れた場所からでも家族を見守ることができることが最大のメリット。
いちいち電話をかけたりしなくても、元気で過ごしているかどうかを簡単に確認することができます。
日常生活を送る様子を見ることで、「以前に比べて動作に時間がかかっている」「よく段差につまずいている」などの課題を発見し、福祉用具の導入を検討するといった解決策を早々に打てる側面も。
また、電話対応や来客などの様子が分かれば、トラブルに巻き込まれていないかを確かめることもできます。
高齢者にとって、体調の急変はいつ、どのようなかたちでやってくるか分かりません。「もう少し早く気付けていれば……」といった事態を避けるためにも、見守りカメラは活躍してくれるでしょう。いつもの時間に起き上がってこない、極端に動きが少ない、動作に違和感があるといった様子がリアルタイムで確認できれば、緊急事態にも迅速に対処することができます。
首振り機能があるカメラを選べば、1台のカメラで比較的広い範囲を撮影することができるため、活動量の多い人でも安心です。
動体検知機能によって、普段と大きく異なる動きがあったり、侵入者を察知したりした場合、スマートフォンなどに通知してくれる見守りカメラもあります。付きっきりでカメラの映像を見る必要がないため、仕事や家事などとうまく両立しながら使用できるでしょう。
また、一部の見守りカメラ(サービス)の中には、緊急時にボタン一つで警備スタッフや看護師などにつながるものもあります。
見守る側・見守られる側の双方に通話機能が付いている見守りカメラも少なくありません。日常的な声かけや安否確認を離れた場所から簡単に行えるので、緊急時だけでなく、毎日のコミュニケーションツールとしても有効活用できます。
気軽に言葉を交わせることで心のつながりを強く感じたり、安心感を得られたりする他、認知機能低下の予防につながることも考えられます。介護する側とされる側、双方の精神面によい影響があると言えるでしょう。
見守りカメラの機能は製品によって大きく異なり、さまざまなモデルが存在します。家の構造、家族の意向、見守りの目的、予算などによって賢く選択することが欠かせません。
ここでは、見守りカメラを選定する上で重要な7つのポイントをご紹介します。
見守りカメラの設置を考え始めたら、まずは「どこに設置すれば十分に見守れることができるか」を判断することが大切です。
設置場所から撮影したい範囲をしっかりと想定し、それを実現できる撮影範囲・画質の製品を選びます。360度全体を見渡せるカメラを選べば安心ですが、価格が高額になりがち。
部屋の隅に設置すれば、水平方向に90度以上の画角があれば全体を撮影できます。撮影画像の一部を拡大したい場合には、ズーム機能があると便利。また、高画質のカメラを選べば、指先の小さな動きや、表情のささいな変化まで捉えてくれます。
固定回線やLTE回線(スマートフォンの通信にも使われるモバイル回線)による通信の他、カメラのSIMカードなどを介して直接送信するタイプの見守りカメラもあります。「親の住む家にインターネット環境がない」「工事に立ち会うのが大変」というケースは多く、最近ではWi-Fi不要の製品に注目が集まっています。
それぞれ画質や料金、導入までにかかる期間などに差がありますが、実家の環境に合ったものを選びましょう。
通話機能があるタイプでは、遠隔で画面越しに会話をしたり、カメラが拾った音声を聞いたりすることができます。
万が一、「転倒して動けなくなっている」などのトラブルが起きても、本人に声をかけて状況を把握することが可能になります。
通話機能については、マイクやスピーカーの性能、会話可能な範囲などが重要なチェックポイント。部屋の隅々の音まで拾えるマイクなのか、出力される音量は十分かといった点を、入念にチェックしておくと安心です。
夜間の見守りを重要視する場合は、暗い空間も撮影できる「暗視機能」を備えたモデルを選ぶとよいでしょう。通常のカメラでは、暗い場所で人の動きを細部まで捉えることは難しいため、夜の徘徊や転倒などを見逃してしまう可能性もあります。
夜間に動くことが多いなど、家族の状態によっては備えておきたい機能だと言えるでしょう。
気温を感知するセンサーが搭載されているものもあります。この機能が特に活躍するのが、熱中症対策です。
真夏に冷房を入れ忘れていた際、室温の上昇にすぐ気付いて注意喚起できれば、命を守ることにつながる可能性もあります。見守りセンサーなどの機能に付随して、離れた場所からエアコンを操作できる製品もあります。
安全を守るために導入しても、「24時間見張られている」と窮屈に感じる人もいるでしょう。
そんな場合には、見守られる側が一時的に機能をオフにできる、プライバシー機能を有したものがおすすめです。着替えをする時など、家族とはいえ見られたくないシーンだけは、カメラやマイクを停止するという選択が可能になります。
スマートフォンにアプリをインストールし、見守りカメラと連動させられる製品もあります。出勤などで外出している時でもカメラの映像を確認できるので、大きな安心感を得られるでしょう。
ただし、通信環境がよくない場合は、カメラの画像が止まってしまうなどうまく連動しない場合があるので気を付けましょう。
とても便利な見守りカメラですが、注意点も知っておく必要があります。
まずは、費用面です。
見守りカメラの機材を購入する以外にも、導入工事、通信費、メンテナンス、修理などにお金がかかることがあります。導入する前に、年間でかかる費用の総額を把握しておくとよいでしょう。
また、設置や故障時の対応に、想像以上に時間がかかることも。使いたいと思っても、すぐには使用開始できない場合があるため、早めに検討を進めることが大切です。
何よりも注意が必要なのが、見守りカメラへの抵抗感に配慮することです。
見守りカメラに対して「監視されている」という印象を抱く人は少なくありません。
善意から設置を勧めても、「自分の生活を見られたくない」とネガティブな印象を抱かれる可能性もあることを意識しておきましょう。無理に押し付けるのではなく、見守ることの意義を理解してもらえるようにしっかりと説明して、機能についても理解してもらうことが肝心です。
近年では、丸みのある可愛らしいフォルムのものなど、親しみやすいデザインの見守りカメラも増えています。製品を選ぶ際にも、ぜひ家族と一緒に相談しながら決めていきましょう。
どうしてもカメラで撮影されることに抵抗感がある場合は、カメラ機能がないセンサー式の見守り機器などを検討することも考えられます。
〈見守りカメラ導入に向けた工夫の事例〉 |
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以上、見守りカメラの種類や性能、メリット/デメリットなどについて解説しました。十分な配慮は必要ですが、便利なツールとしてうまく活用すれば、介護の不安やストレスを軽減することができます。導入までにしっかりと情報収集しておき、家族とのコミュニケーションを図りながら、無理なく生活になじむよう工夫することが大切です。
介護サービスについてもっと知りたいことや悩みごとがある場合は、「マイナビあなたの介護」を活用して、LINEや電話で気軽に相談してみましょう。施設探し、介護準備のサポート、さまざまな支援を行っています。お困りごとが出てきたら、どうぞお気軽にご相談ください。
北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO
菊地 雅洋
北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO
菊地 雅洋
社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。
社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。
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