超高齢社会になり、今後も高齢者の人口が増えていくなかで、課題となっているのが「介護難民問題」です。
本記事では、介護難民が増加している背景や原因・現状、国が行っている取り組みを解説します。また、介護難民にならないために、私たちに今できることを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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超高齢社会になり、今後も高齢者の人口が増えていくなかで、課題となっているのが「介護難民問題」です。
本記事では、介護難民が増加している背景や原因・現状、国が行っている取り組みを解説します。また、介護難民にならないために、私たちに今できることを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。


いくつかの問題が重なり、介護が必要な人が、必要なタイミングで介護を受けられないという状況が広がりつつあることが「介護難民問題」です。
高齢化による需要増に対して、介護施設が不足していることから、介護施設の入所待ちが長期化しており、地域によっては数か月〜数年待ちとなるケースも見られます。
また、介護職員の確保が追いつかず、サービス提供そのものが制限される状況も生まれています。
ここからは、介護難民問題の現状や、原因について詳しく見ていきましょう。
日本では高齢化が急速に進み、「介護難民」と呼ばれる、介護を必要としているにもかかわらず適切な介護サービスを受けられない人が増加しているといわれています。その背景には、社会全体の構造変化や介護保険制度を取り巻く課題が大きく関係しています。

介護難民が増えている背景には、いくつかの原因があります。詳しく見ていきましょう。
介護保険制度が始まった2000年4月時点では、要介護(要支援)認定者は約218万人でした。しかし2022年3月末には約609万人と、22年間で3.2倍に増加しています。
とくに団塊の世代(約800万人)が後期高齢者の年齢に達したことで、これからも認定者は増え続けると予想されています。
介護難民が増える大きな要因には、介護職の不足も関係しています。介護の仕事は体力的にも精神的にも負担が大きく、離職率が高い傾向にあります。また、他の業種と比較すると給与水準が必ずしも高いとは言えないため、介護職を希望する人がなかなか増えないという現状があります。
加えて、少子化により若い世代の人口自体が減っていることで、介護人材の確保がますます難しくなっています。
介護施設についても、特に都市部では土地の確保が困難で、新規施設を建てたくても建てられない状況と言われています。その結果、受け入れられる高齢者の数に限りが出てしまい、介護難民の増加につながっています。
高齢者だけの世帯や一人暮らしの高齢者が増えていることで、家族による介護が難しくなっています。
高齢者が高齢者を介護する「老老介護」や、認知症の家族同士で介護を行う「認認介護」も増えており、家庭内で十分な介護を提供できないケースが多くなっています。その結果、家族だけでは介護を続けられず、外部の介護サービスや施設に頼らざるを得ないにもかかわらず、サービスが不足しているために利用できない人が増えていることは大きな問題でしょう。
さらに、介護にかかる費用や介護離職による収入減など、経済的な負担が大きいことも、必要なサービスを受けにくくする要因となり、介護難民を生みやすい状況につながっています。

介護施設に入ろうとしてもすぐに入所できず、長期間待機が発生してしまうケースは少なくありません。介護施設の入所待ちをできるだけ避けるための方法を紹介します。
入所先がなかなか見つからない場合は、今後開設予定の新しい施設を候補に入れてみることをおすすめします。
新設の介護施設は開業準備に合わせて入所者を募集するため、比較的申し込みやすい傾向があります。また、最新の設備や介護体制が整っている場合が多く、より快適に過ごせる環境も期待できます。
開設予定の情報は、市区町村の相談窓口や自治体のホームページなどで定期的に確認できます。早めに情報を集めておくことで、入居の選択肢を広げることができるでしょう。
介護施設への入居を検討するとき、費用が比較的安い「特別養護老人ホーム」を第一候補とする方も多いかもしれません。しかし、特別養護老人ホームは入居希望者が非常に多い傾向があり、実際に利用できるまで数年待つこともあります。そのため、有料老人ホーム等の他の介護施設を選択肢に加えることも大切です。
介護保険施設以外の施設の中には、比較的早く入居できるところも多く、介護保険施設と同程度の費用で利用できる場合もあります。「介護保険施設以外の施設は高い」と思い込まず、まずは地域の施設情報を調べてみましょう。希望に近い施設が見つかる可能性があります。
入居待ちとなりやすい特別養護老人ホームは、社会福祉法人が運営しているケースが多く、日頃から系列の居宅サービスを利用していると利用者の情報が施設側に伝わりやすいという利点があります。そのため、空きが出た場合に早く情報を得られたり、入所の審査がスムーズに進んだりするケースがあります。

介護難民問題が深刻化するなか、介護が必要になったときに、必要な介護サービスを利用できるとは限りません。
将来「介護難民」にならないためには、元気なうちから備えておくことが大切です。ここでは、家族として今からできる対策をまとめました。
都市部では、介護施設が不足し入居待ちが長期化する傾向があります。一方で、地方では比較的施設にゆとりがあったり、介護サービスの費用が都市部より安い場合があります。そのため、元気なうちに地方へ移住し、将来に備える方も増えています。
もちろん大きな決断ではありますが、長期的に安心して生活するための選択肢として検討してみる価値があるでしょう。
介護は突然始まることが多いものです。そのため、日頃から親の健康状態・生活状況を把握しておくことで、急な変化にも早く対応できます。
●物忘れが増えていないか
●料理・掃除などの家事が負担になっていないか
●外出頻度が減っていないか
●体の痛みや不調を我慢していないか
「少しおかしいかも」と感じたら、かかりつけ医や地域包括支援センターに相談することで、早期対応が可能になります。
介護には想像以上の費用がかかるため、家族として親の資金状況を早めに把握しておくことが欠かせません。
年金額や預貯金、加入している保険、介護が必要になった場合にどの程度利用できるかを共有しておくことで、後から「こんなに費用がかかるとは思わなかった」という事態を避けられます。
特に施設入所を選ぶ場合はまとまった費用が必要になることもあるため、どのような選択肢が現実的なのか、家族で話し合いながら整理しておきましょう。
介護サービスについて、事前に家族が情報を集めておくことも非常に重要です。必要になってから調べ始めると、施設の空きがなく、長期間待たされてしまうケースもあります。
在宅サービスの種類や費用、地域の施設の特徴、申し込みの流れなど、基本的な情報を早めに理解しておくことで、いざというときにスムーズに動くことができます。
候補となる施設をいくつか見学しておくと、実際の様子や雰囲気をつかめ、判断がしやすくなります。
介護が始まる前から家族間で話し合いをしておくことは、とても大きな意味を持ちます。介護の方針が曖昧なまま介護が始まると、「誰がどれだけ関わるか」が決まらず、負担が一人に集中してしまいがちです。その結果、介護うつや介護離職、家族間のトラブルにつながることもあります。
親の希望を尊重しつつ、家族全員が無理のない形で役割を分担できるよう、早めに意見交換をしておくと安心です。
もし困ったことや不安が出てきた場合は、できるだけ早く専門機関に相談することも大切です。地域包括支援センターやケアマネジャー、市区町村の窓口などは、介護に関する知識がなくても気軽に相談できる場所です。
早い段階から相談を習慣づけておくことで、必要な時期に適切なサービスにつながりやすくなり、結果的に介護難民を防ぐ大きな助けになります。

介護難民問題に対しては、家族ができる備えだけでなく、社会全体の仕組みが整っていることも大切です。国や自治体は、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、以下のように様々な取り組みを進めています。
医療・介護・生活支援を地域で一体的に提供する仕組みが「地域包括ケアシステム」です。かかりつけ医や訪問看護、ケアマネジャーが連携することで、自宅でも必要な支援を受けられる体制が整ってきています。
この仕組みが今後さらに広がるほど、施設へ急いで入居する必要が減り、家族の負担も軽減されやすくなっていくでしょう。
都市部では介護施設が不足しがちなため、一部の自治体では高齢者の地方移住を支援する取り組みを行っています。
地方では施設に余裕がある地域もあり、サービス付き高齢者向け住宅や特別養護老人ホームの新設も進んでいます。都市部で入居が難しい場合でも、地方に選択肢が広がる点は、家族にとって大きな安心材料となるでしょう。
介護サービスの不足を改善するために、国は「介護職員等処遇改善加算」などの制度を通じて、給与アップや資格取得支援を行っています。
介護職員が働き続けやすい環境が整うことで、サービスの質や提供体制の安定化につながり、家族が必要な介護サービスを利用しやすくなっていくでしょう。
移乗支援ロボットや見守りセンサーなど、介護ロボットの導入も進んでいます。また、ICTを使った業務効率化も広がりつつあります。
こうした技術の活用は、介護現場の負担を軽減し、サービス提供の安定につながるだけでなく、在宅介護を行う家族にとっても心強いサポートとなります。

日本では高齢化がますます進み、2025年以降は介護難民の問題がさらに深刻化すると考えられています。
しかし、早めに準備を始めることで、そのリスクを大きく減らすことは可能です。介護に関する情報を積極的に集め、どのような支援や選択肢があるのかを家族で共有しておくことは、不安の軽減につながるでしょう。
住み慣れた地域で自分らしい生活を続けるためにも、将来に向けて今できることから取り組んでおくことが大切です。
参考URL
厚生労働省|介護福祉士資格を取得した外国人の方に対する在留資格「介護」の付与について

介護福祉士
中西 紗羅
介護福祉士
中西 紗羅
2014年介護福祉士養成校を卒業し、介護福祉士の資格を取得する。その後、従来型の介護老人福祉施設にて4年勤務する。「より個人に寄り添ったケアを実現したい」という想いから、ユニット型の介護老人福祉施設に転職。ユニットリーダー研修を受講し、利用者様が「ありのまま自分らしく」過ごしていただけるよう、1人ひとりに寄り添ったケアを目指し、6年間勤務。
2014年介護福祉士養成校を卒業し、介護福祉士の資格を取得する。その後、従来型の介護老人福祉施設にて4年勤務する。「より個人に寄り添ったケアを実現したい」という想いから、ユニット型の介護老人福祉施設に転職。ユニットリーダー研修を受講し、利用者様が「ありのまま自分らしく」過ごしていただけるよう、1人ひとりに寄り添ったケアを目指し、6年間勤務。

北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO
菊地 雅洋
北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO
菊地 雅洋
社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。
社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。