「子育てと介護のダブルケアで、限界を感じている」「誰かに相談したいけど、頼る先がない」
このようなお悩みをお持ちではありませんか?
ダブルケアは、想像以上に心身への負担が大きいものです。しかし、ひとりで抱え込む必要はありません。
この記事では、利用できる制度やサービス、相談窓口について解説いたします。ぜひ、最後までお読みいただき、あなたに合った解決策を見つけてください。
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「子育てと介護のダブルケアで、限界を感じている」「誰かに相談したいけど、頼る先がない」
このようなお悩みをお持ちではありませんか?
ダブルケアは、想像以上に心身への負担が大きいものです。しかし、ひとりで抱え込む必要はありません。
この記事では、利用できる制度やサービス、相談窓口について解説いたします。ぜひ、最後までお読みいただき、あなたに合った解決策を見つけてください。
ここでは、ダブルケアとは何か、どのような問題があるのかを解説いたします。
ダブルケアとは、子育てと介護を同時に行うことです。例えば、自分の子どもがまだ小さい時期に、高齢になったご家族様の介護も必要になる、といったケースです。
晩婚化や晩産化が進み、子育て世代が両親の介護も担うダブルケアのケースが増えています。ダブルケアは、時間的にも精神的にも大きな負担となるため、周囲の理解やサポートが欠かせません。
ダブルケアには、多くの問題点があります。主には、以下のような問題です。
ダブルケアラーの課題は、個人や家庭だけでなく、社会全体にも影響しています。
ダブルケアで仕事との両立に悩む方を支える制度が、「育児・介護休業法」です。育児や介護のための休業取得などが認められています。
主な制度は以下の通りです。
|
以上の制度を活用することで、ダブルケアの負担を軽減し、仕事と育児・介護の両立を実現しやすくなります。
育児・介護休業法については、こちらの記事で詳しく解説しています。 ぜひ、そちらの記事もご参照ください。
▶ 育児・介護休業法とは?2025年の改正ポイントも分かりやすく解説
ここからは、ダブルケアの負担を軽減する具体的な支援策として、「国や企業の制度」と「介護・育児サービス」の2つに分けて解説いたします。
まずは、育児・介護休業法に基づく制度を中心に、ダブルケアに役立つ制度を見ていきましょう。
内容 | |
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概要
| 子どもが1歳(最長2歳)になるまで取得できる休業制度です。保育園に入れないなどの理由がある場合は、最長2歳まで延長できます。 |
取得条件
| 原則、1歳未満の子を養育する労働者が対象です。一定の要件を満たせば、最長2歳まで延長できます。 |
利用のメリット | 育児に専念できる時間を確保できます。休業開始から6ヶ月間は休業前給与の67%、それ以降は50%が雇用保険から育児休業給付金として支給されます。2025年4月1日より、育児休業給付金(育休手当)の給付率が引き上げられ、「手取り相当額が10割」となる制度改正が行われます。 ※夫婦ともに一定期間育休を取得する等の要件あり |
利用上の注意点 | 休業中の収入が減少する可能性があります。 |
内容 | |
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概要
| 病気やけがの看護のために年間5日(2人以上なら10日)まで取得できます。また、2025年4月からは、感染症に伴う学級閉鎖や入園式・入学式などでも取得可能です。 |
取得条件
| 2025年4月の改正後は、小学校3学年修了までの子を養育する労働者が対象となります。 |
利用のメリット | 子どもの急な病気やけがに対応できます。年次有給休暇とは別に取得できます。 ※法律上は無給です。所属している会社へご確認ください。 |
利用上の注意点 | 企業によっては、週の所定労働日数が2日以下の場合には適用外となることもあります。 |
内容 | |
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概要
| 産後パパ育休(出生時育児休業)は、子の出生後8週間以内に4週間まで取得できる制度です。育児休業は、夫婦共に2回まで分割して取得できます。 |
取得条件
| 産後パパ育休(出生時育児休業)は、原則、休業開始の2週間前までに書面で申出する必要があります。 |
利用のメリット | 夫婦で協力して育児に参加しやすくなります。 |
利用上の注意点 | 夫婦間で取得時期を調整する必要があります。 |
内容 | |
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概要 | 対象の家族1人につき、通算93日まで、3回まで分割して取得できます。 |
取得条件
| 要介護状態にある家族を介護する労働者が対象です。休業開始予定日の2週間前までに、事業主に申出ます。対象家族は、配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。 |
利用のメリット | 介護のための時間を確保できます。休業前給与の67%が介護休業給付金として雇用保険から支給されます。 |
利用上の注意点 | 休業中の収入が減少する可能性があります。 |
内容 | |
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概要 | 対象家族1人につき、年間5日(2人以上なら10日)まで取得できます。1日または時間単位で取得可能です。 |
取得条件
| 要介護状態にある対象家族を介護する労働者が対象です。対象家族は、配偶者、父母、子、配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫です。 |
利用のメリット | 通院付き添いなどの時間を確保できます。時間単位での取得も可能です。 |
利用上の注意点 | 企業によって有給か無給かは異なるため、事前に確認が必要です。 |
内容 | |
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概要
| 時短勤務は、3歳未満の子を養育する労働者に対して、1日の労働時間を原則6時間とする制度です。企業によっては、フレックスタイム制度やテレワークなどを導入している場合もあります。 |
取得条件 | 企業によって異なります。 |
利用のメリット | 柔軟な働き方により、仕事と育児・介護の両立がしやすくなります。通勤時間の短縮や、在宅勤務も可能になる場合があります。 |
利用上の注意点
| 企業や職種などによって、時短勤務制度が利用できない場合もあります。フレックスタイム制やテレワークなどで代替できる場合もあるので確認してみましょう。 |
介護・育児サービスの利用も、ダブルケアの負担軽減につながります。
在宅介護サービスは、ホームヘルパーが訪問してくれたり、日帰りで施設に通ってサービスを受けたりするものです。
訪問介護では、入浴や排泄の介助、食事の準備など、日常生活のサポートを受けられます。デイサービスでは、施設で日常生活のサポートに加えて、レクリエーションや機能訓練などを受けられます。
施設介護サービスは、高齢者の方が施設で生活し、介護サービスを受けるものです。有料老人ホームや特別養護老人ホーム(特養)など、さまざまな施設があり、入居者様の状態や目的に合わせて選択できます。
ベビーシッターは、在宅で子どもの保育をしてくれるサービスです。ファミリー・サポート・センターは、地域の子育て支援を目的とした組織で、保育園の送迎や一時預かりなどを依頼できます。
家事代行サービスは、掃除や洗濯、料理など、日常の家事を代行してくれるサービスです。食事の宅配サービスや、高齢者向けの配食サービスなどもあります。
制度やサービスの利用に加えて、「誰かに話を聞いてほしい」「同じ悩みを持つ人とつながりたい」と感じたら、相談窓口や交流の場を活用してみましょう。
一般社団法人ダブルケアサポートは、ダブルケアに関する情報提供や相談支援、当事者同士の交流会などを行っている団体です。ダブルケアに関する専門的な知識を持つスタッフに相談できるほか、同じ悩みを持つ人たちと話すことで、孤立感を軽減できます。
地域包括支援センターは、高齢者の介護に関する総合相談窓口です。介護保険制度や介護サービスに関する相談だけでなく、介護予防や生活支援に関する相談にも応じています。
保健師や社会福祉士、主任ケアマネージャーなどの専門職が在籍しており、介護が必要になった時に利用できる制度やサービスについて情報提供してくれます。
子育て支援センターは、子育てに関する相談や情報提供、親子の交流の場を提供する施設です。育児に関する悩みや不安を相談できるほか、子育てに関する情報や地域のイベント情報などを得られます。
ダブルケアカフェは、ダブルケアを経験している人や、関心のある人が集まって交流できる場です。悩みや経験を共有したり、情報交換をしたりすることで、孤独感を解消し、仲間を見つけられます。
オンラインで開催されているカフェもあるので、在宅でも気軽に参加できます。
この記事では、ダブルケアの現状と課題、そして、ダブルケアに疲れた時に利用できる具体的な支援策について解説しました。
ダブルケアで「疲れた」と感じたら、ひとりで抱え込まず、利用できる制度やサービス、相談窓口を積極的に活用しましょう。
ダブルケアは、決してひとりで抱え込んではいけません。利用できる制度やサービス、相談窓口を積極的に活用し、ご自身を守りましょう。
この記事がダブルケアに悩む方々にとって、少しでも役立つ情報となれば幸いです。
また、ダブルケアのことを誰かに相談したい方には、「マイナビあなたの介護」も役立ちます。LINEや電話で、さまざまな悩み事についてアドバイスを受けることができます。施設探し、介護準備のサポート、資料請求・見学申込の代行など幅広い支援を行っているので、ぜひお試しください。
参考
厚生労働省「育児・介護休業法 令和6年(2024年)改正内容の解説」
厚生労働省「そのときのために、知っておこう。育児休業制度」
厚生労働省群馬労働局「男性の育児休業 ここがポイント」
厚生労働省「介護休業制度特設サイト」
厚生労働省「育児休業、短時間勤務制度」
一般社団法人ダブルケアサポート「私たちについて」
一般社団法人ダブルケアサポート「活動内容について」
介護支援専門員(ケアマネージャー)
朝水 裕一
介護支援専門員(ケアマネージャー)
朝水 裕一
現役ケアマネ兼Webライター。介護施設長の経験を活かし、利用者・家族・スタッフに寄り添う記事を執筆。
現役ケアマネ兼Webライター。介護施設長の経験を活かし、利用者・家族・スタッフに寄り添う記事を執筆。
社会保険労務士
蓑田 真吾
社会保険労務士
蓑田 真吾
医療機関で13年間労務相談を担当し、現在は独立して労務管理を支援。その他にも多方面で講演・執筆活動中。
医療機関で13年間労務相談を担当し、現在は独立して労務管理を支援。その他にも多方面で講演・執筆活動中。
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