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要介護認定とは?認定の流れと7段階の要介護度について解説

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家族に介護が必要となったとき、介護保険のサービスを使うには「要介護認定」を受ける必要があります。

要介護認定とは、現在の介護の必要度を7段階に分けて判定し、認定するものです。この記事では、要介護認定の流れと、7段階ある要介護度についてわかりやすく解説します。

1. 介護保険サービスを使うために欠かせない「要介護認定」とは?

ファイルに書き込みながら利用者の話を聞く若い医師

要介護認定は、介護保険に加入している人が、介護が必要となったときに適切な介護保険サービスを受けられるようにするための認定です。介護の必要性によって要支援1~2、要介護1~5の7段階に分かれます。

要介護度はどのように判定される?

要介護度は、どのような基準で判定されるのでしょうか。判定基準は、全国一律となっており、現時点(介護保険の申請時点)の心身の状況を踏まえて、介護が必要な度合いが客観的に判定されます。

このために行われる調査を「介護認定調査」といいます。各自治体から介護認定調査員が申請者のもとを訪れ、「介護にどれくらいの時間が必要か」を判定するために必要な調査を行います。

調査が行われた後、コンピューターによる1次判定と介護認定審査会による2次判定を経て、非該当(自立)、要支援1~2、要介護1~5のいずれかの介護度に決定されます。非該当でなければ、介護保険サービスを利用できるようになります。

 

2. 要介護認定の区分は7段階

要介護認定の区分が書かれたブロック

要介護認定には、非該当と要支援1~2、要介護1~5の区分があります。要支援1以上の判定を受ければ、介護保険サービスを利用できるようになります。

それぞれの要介護度には、どのような違いがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

要支援1

要支援1とは、要介護度の中では最も軽い状態で、ほぼ自力で日常生活が送れる状態です。しかし、そのまま過ごしていると要介護状態になる可能性があるため、生活の限られた一部分において、見守りや支援が必要となります。

具体的には、次のような方が要支援1と判定されることが多いでしょう。

【要支援1の例】
認知症状は見られないひとり暮らしの高齢者で、これまで身の回りのことは自分で行ってきた。1か月前に腰に激痛が走り受診したところ、腰椎圧迫骨折と診断された。腰の痛みにより、かがむ動作や大きな荷物を持てなくなり、部屋の掃除や買い物が一人で行えなくなったため、ヘルパーに掃除を頼みたいと思っている。
 

要支援2

要支援2は、要支援1の状態と比べて自分でできることが減り、生活の一部で介護や介助を要する状態です。要介護認定の判定基準を見ると、「要支援2」と「要介護1」の介護では、必要な時間数に違いがありません。要介護1に比べて心身状態が安定していることや、介護保険サービスについて理解する力があるとみなされた場合、要支援2と判定されることが多いでしょう。

具体的には、以下のような状態にある人が要支援2と判定されることが多いでしょう。

【要支援2の例】
高齢で足が弱くなり、歩行器や杖などを日常的に使っている。食事や排泄、入浴などの身の回りのことは、時間がかかるものの自分で行えている。掃除や買い物などの家事については、一人では大変なことも増えてきているため、支援が必要な状況にある。もう少し動けるようになりたいので、リハビリに通いたいと思っている。
 

要介護1

要介護1は、要支援1と比較して、加齢や病気などによって心身の状態が不安定な場合や、認知症や理解力の低下で介護保険サービスについての理解が難しい場合が多いでしょう。

具体的には、以下のような状態にある人が要介護1と判定されるケースが多くなります。

【要介護1の例】
足腰が少し弱くなって歩行器を使用している。認知症の診断もあり、お金の管理があやふやで、薬の飲み忘れも多くなっており、生活面の不安が大きく家に閉じこもりがちになってきている。デイサービスに通い、他の人と交流したり、生活面の支援を受けたりして、本人や家族の不安を軽減したい。
  

要介護2

要介護2は、要介護1よりも心身のサポートが必要な状態で、日常生活上の多くの場面で介助が必要な状態といえます。

具体的には、以下のような状態にある人が要介護2と判定されることが多いでしょう。

【要介護2の例】
脳梗塞の後遺症で左半身に麻痺があり、歩くとバランスが取れず転倒してしまうため、車いすを使用している。片手で車いすの操作は可能。トイレ内で手すりをもって立ち上がることはできるが、ズボンの上げ下ろしなどが難しく、介助が必要。入浴も自宅の浴槽では難しいので、デイサービスで入浴したいと思っている。薬の飲み忘れが多く、主治医から訪問看護による体調管理や服薬管理を勧められている。
  

要介護3

要介護3は、日常生活においてほぼ全面的に介護が必要な状態です。一人では、生活することが難しい状態といえるでしょう。

具体的には、以下のような状態にある人が要介護3と判定されることが多いでしょう。

【要介護3の例】
脳梗塞の後遺症で歩行は難しく、車いすを使用しているが、自分では動かせないため、家族に車いすを押してもらっている。自宅では、ベッドの上で過ごすことが多い。家族に手伝ってもらえば、トイレで排泄することはできるものの、立ち上がりやズボンの上げ下ろし、お尻を拭く動作などが自分では難しく、介助が必要。自宅では一人で過ごすことが難しいため、週4日ほどデイサービスを利用しており、家族に用事があるときには、ショートステイも利用している。
 

要介護4

要介護4は、介護なしでは日常生活を送ることが難しい状態です。施設に入所している人も多く、自宅で生活されている場合では、家族や介護サービスを切れ間なく使っているケースが少なくありません。

具体的には、以下のような事例が該当します。

【要介護4の例】
加齢により足腰が悪くなり、車いすで生活している。以前からみられていた認知症の症状も進行しており、他人のご飯を食べてしまう、大声を出して他人とトラブルになるなど、職員も目が離せない状況。排泄はおむつだが、夜間におむつを外してしまうことも多い。
 

要介護5

要介護5の判定を受ける人は、寝たきり状態である人が多く、意思疎通が難しい人も少なくありません。介護なしに日常生活を送ることはほぼ不可能な状態であり、施設で生活している人も多くなります。

具体的には、以下のような状態が該当します。

【要介護5の例】
アルツハイマー型認知症が進行し、寝たきりで体を自分で動かすことも難しい。職員が声をかけてもうなずきや首振りが見られる程度で、職員が言っていることを理解できているかは不明。食事やお風呂、おむつ交換など、全般的に介助を行っている。

 

3. 利用できる介護保険サービスの違い

施設の窓から外を見る車いすの高齢者

要支援1~2の場合、介護サービスによっては制限があるものや使えないものがあります。訪問介護や通所介護は、要支援1の場合は週1回、要支援2の場合は週2回まで、通所サービスは1か所のみと、決められている自治体が少なくありません。自治体で決めていなくともサービス事業所独自で決められている場合もあります。多いでしょう。

施設への入所については、認知症グループホームは要支援2以上、介護老人保健施設と介護医療院は要介護1以上、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は要介護3以上の認定が必要です。

なお、介護保険サービスを自宅で利用する場合(居宅サービスの場合)には、1か月に使用できる上限額が、以下のように要介護度ごとに決まっています。上限額までは、サービスにかかった費用の1割(一定以上所得者の場合は2割または3割)を自己負担しますが、上限額を超えた金額は、全額自己負担する必要があります。

図表1:居宅サービスの利用限度額(1か月あたり)

要介護度

支給限度額

要支援1

50,320円

要支援2

105,310円

要介護1

167,650円

要介護2

197,050円

要介護3

270,480円

要介護4

309,380円

要介護5

362,170円

(出典:サービスにかかる利用料|厚生労働省

  

4. 要介護認定を受けるまでの流れ

診察を受ける高齢者

要介護認定の申請から要介護度が決まるまでの流れは、以下の図のように進みます。申請は、住んでいる自治体の介護保険を担当する窓口で行います。地域包括支援センターや居宅介護支援事業所が代行することもできます。

認定の流れについて、詳しくみていきましょう。

図表2:要介護認定の申請から要介護度が決定するまでの流れ

(出典:要介護認定の仕組みと手順|厚生労働省

介護認定調査員による調査を受ける

申請後、自治体から派遣された介護認定調査員が自宅を訪問し、「概況調査」と「基本調査」を行います。

  • 概況調査……現在受けているサービスの状況や家族状況、居住環境、日常的に使用する機器や機械の有無などを確認。
  • 基本調査……1群~5群(※)の62項目と、過去14日間に受けた特別な医療にかんする12項目を合わせた全74項目で構成。聞き取りだけでなく、実際の動きを見て確認。 

概況調査と基本調査だけでは把握しきれない状況については、特記事項に補足して説明が記載されます。認定調査では、本人の普段の様子をしっかりと伝える必要がありますので、普段の様子をよく知る家族が同席することが望ましいでしょう。事前に普段の様子をまとめておくと、調査員に伝えやすくなります。

 (※)1.身体機能・起居動作、2.生活機能、3.認知機能、4.精神・行動障害、5.社会生活への適応
 

主治医から意見書をもらう

要介護認定では、主治医から対象者の状況と今後の見通しを聞き取るための「主治医意見書」が必要となります。意見書を作成してもらうためには、申請の1ヶ月以内に受診しておかなければなりません。多くの自治体で主治医意見書を書いてもらうための主治医アンケートを用意していますので、アンケートに記入の上、主治医に提出してください主治医意見書を作成するための費用は発生しません。受診の前に、「介護認定を受けたいので、意見書をお願いしたい」と相談しておくと、スムーズに話が進むでしょう。

主治医がいない場合は、自治体が指定する医療機関を受診することになります。窓口で申請する際に、主治医がいないことを伝えましょう。
 

一次判定

一次判定では、基本調査と主治医意見書をもとに、コンピューターで介護の手間を時間に換算し、以下のように要支援1~要介護5の判定を行います。

図表3:要介護認定の基準時間

判定区分

時間(※)

要支援1

25分以上32分未満
またはこれに相当する状態

要支援2

32分以上50分未満
またはこれに相当する状態

要介護1

32分以上50分未満
またはこれに相当する状態

要介護2

50分以上70分未満
またはこれに相当する状態

要介護3

70分以上90分未満
またはこれに相当する状態

要介護4

90分以上110分未満
またはこれに相当する状態

要介護5

110分以上
またはこれに相当する状態

(※)要介護認定等基準時間と認知症加算の合計
(出典:要介護認定の仕組みと手順|厚生労働省
 

二次判定

二次判定では、介護認定審査会(※)が、一次判定の結果と特記事項、主治医意見書の記載内容をもとに判定を行います。

この二次判定の結果が、要介護度として本人のもとに郵送で通知されます。判定結果は、申請日から原則30日以内で通知されますが、申請状況や自治体によっては延びることがありますので、余裕をもって申請しておいた方がよいでしょう。

※介護認定審査会……保険・医療・福祉に関する学識経験者で構成され、5人程度で審査が実施されます。介護認定審査会では、必要に応じて認定の有効期間を延長(もしくは短縮)することや、必要な療養についての意見などを「介護認定として付する意見」に記載することもあります。

 

5. 要介護認定を受けるポイント

書類に記入している介護従事者

必要な介護保険サービスを受けられるようにするためには、本人の状態に合った要介護認定を受けることが大切です。そのために、認定調査において本人の普段の様子を調査員に正しく伝える必要があります。

認定調査のときに、普段よりもしっかりしている様子を見せようと頑張る人や、普段はできないことを「できます」と言ってしまう人は少なくありません。

しかし、普段の様子をよく知る家族が調査に同席し、具体的に困っていることを調査員に伝えることが大切です。要介護認定では、介護にかかる手間や時間を判定材料とするため、家族が介護に割いている時間についても整理しておき、調査員に伝えるといよいでしょう。

また、主治医意見書をもらう際は、本人の状況を正しく伝えるために、本人の様子をよく知るかかりつけ医にお願いしましょう。家族が受診に同席し、普段の様子を医師に伝えるのも一つの方法です。

 

まとめ:介護が必要になったら要介護認定を受けよう

護士と車いすに乗る高齢者

家族に介護が必要になり、介護保険を利用したいと思ったら、要介護認定が必要となります。要介護認定は、申請から判定が出るまで30日ほどかかるので、早めに申請しておくことが大切です。

要介護認定の流れを理解しておき、介護保険が必要になったときに、慌てずに対応できるように準備しておきましょう。

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参考URL

サービスにかかる利用料|厚生労働省
介護保険の介護度とは|健康長寿ネット
要介護認定介護認定審査会委員テキスト2009改定版|厚生労働省
要介護認定の仕組みと手順|厚生労働省
要介護認定に係る制度の概要|厚生労働省
要介護認定はどのように行われるか|厚生労働省

監修

北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO

菊地 雅洋

北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO

菊地 雅洋

社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。

社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。

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