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介護には費用がいくらかかる?在宅介護・施設介護に必要な費用を解説

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日本は公的介護保険制度が充実しており、万が一親や自分自身が要介護状態となったときにはさまざまな介護保険サービスを受けられるようになっています。

介護サービスの利用時には、当然ながら費用が発生します。「介護費用が高い」という話を聞いて、高齢になった親の介護費用に漠然とした不安を抱えている方も多くいるでしょう。

この記事では、平均的な介護費用から介護サービス別の費用相場、さらに介護・医療の費用負担を軽減・補助するために活用できる4つの公的制度まで紹介します。介護費用の負担が気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。

1. 介護にかかる平均費用は年間約100万円

車いすの模型と100万円

介護保険サービスの利用時に必要となる介護費用の平均額は、月8.3万円です。年額にすると99.6万円と、1年ごとに100万円近くの費用がかかると言えます。

下記は、公益財団法人 生命保険文化センターによる「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」で公表されている介護費用の月額に関するアンケート結果です。

【介護費用(月額)】

支払った費用はない (%)

0

1万円未満 (%)

4.3

1万~2万5千円未満 (%)

15.3

2万5千~5万円未満 (%)

12.3

5万~7万5千円未満 (%)

11.5

7万5千~10万円未満 (%)

4.9

10万~12万5千円未満 (%)

11.2

12万5千~15万円未満 (%)

4.1

15万円以上 (%)

16.3

不明 (%)

20.2

平均

8.3万円

(出典:生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」

介護費用の月額平均は約8.3万円と前述しましたが、かかった費用が明確になっている方の回答に限定すると、ボリュームゾーンは「15万円以上」となることが分かります。

介護に要する期間の平均は61.1か月(およそ5年と1か月)となっているため、総額としては最低でも500万円以上の費用を要すると考えておくとよいでしょう。

また、介護の開始にあたって必要となる住宅の改修・バリアフリーリフォームや介護用ベッドの購入などで一時的にかかった費用の平均は約74万円とされています。

下記は、生命保険文化センターによる「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」で公表されている一時的な介護費用に関するアンケート結果です。

【介護費用(一時的な費用の合計)】

掛かった費用はない(%)

15.8

15万円未満 (%)

18.6

15万~25万円未満(%)

7.7

25万~50万円未満(%)

10

50万~100万円未満(%)

9.5

100万~150万円未満(%)

7.2

150万~200万円未満(%)

1.5

200万円以上(%)

5.6

不明 (%)

24.1

平均 (万円)

74万円

(出典:生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」

月額介護費用のアンケート結果とは違い、介護の開始にあたって一時的に必要となる費用のボリュームゾーンは「15万円未満」と平均より低い状況です。介護に必要となる費用の差が大きく、中央値より大幅に高い費用がかかる方が平均を引き上げていると言えます。
 

要介護度別の費用の違い

具体的な介護費用は、介護サービスを受ける本人の要介護度によっても異なります。

下記は、一時的にかかった介護費用を要介護度にまとめた表です。

【介護費用(一時的な費用の合計)(要介護度別)】

要介護度別

費用合計

介護保険の利用経験あり

74万円

要支援1

101万円

要支援2

37万円

要介護1

39万円

要介護2

61万円

要介護3

98万円

要介護4

48万円

要介護5

107万円

公的介護保険の利用経験なし

90万円

(出典:生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」

一時的にかかる費用が特に高いのは要支援1と要介護5で、いずれも100万円を超えています。

なお、要介護度別にまとめた介護サービスの月額平均は下記の通りです。

【介護費用(月額費用の平均)(要介護度別)】

要介護度別

月額費用の平均

公的介護保険の利用経験あり

8.3万円

要支援1

4.1万円

要支援2

7.2万円

要介護1

5.3万円

要介護2

6.6万円

要介護3

9.2万円

要介護4

9.7万円

要介護5

10.6万円

公的介護保険の利用経験なし

6.9万円

(出典:生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」

介護サービスの月額平均においては、基本的に要介護度が上がるほど高くなると言えます。

 

2. 在宅介護向けサービス・施設サービスにかかる費用相場

PRICEと書かれたブロック

介護費用は、在宅介護向けサービス・施設サービスのどちらを利用するかによっても異なります。下記は、介護施設サービスに要した月々の費用の分布を、在宅介護・施設介護別にまとめた表です。

【介護サービスに要する費用(月額)】

 

在宅介護

施設介護

支払った費用はない (%)

0

0

1万円未満 (%)

7.2

0.4

1万~2万5千円未満 (%)

22.3

6.3

2万5千~5万円未満 (%)

17.6

4.7

5万~7万5千円未満 (%)

13.3

9.1

7万5千~10万円未満 (%)

2.3

8.7

10万~12万5千円未満 (%)

4.3

20.9

12万5千~15万円未満 (%)

1.2

7.9

15万円以上 (%)

5.8

30.7

不明 (%)

26.0

11.4

平均

4.8万円

12.2万円

(出典:生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」

在宅サービスの平均月額は約4.8万円、一方の施設サービスでは約12.2万円と、施設介護のほうが2倍以上費用が高いことが分かります。

なお、在宅介護や施設介護とひとくちに言っても、それぞれさらなる種類に分けられています。ここからは、具体的な介護サービス別の費用相場から福祉用具貸与サービスで割り引かれる費用、医療費としてかかる平均的な費用まで詳しく説明します。
 

施設サービス・居住サービスを使う場合の介護施設別の費用の相場

施設サービスとは、介護保険法によって定められた施設に入所して利用できる介護サービスの総称です。

介護保険法で定められた施設としては「介護老人福祉施設(特養)」「介護老人保健施設」などが挙げられます。なお、「介護付き有料老人ホーム」「グループホーム」は介護保険制度上は居宅サービス(居住サービス)に分類されていますが生活実態は施設サービスとほぼ同じです。

施設の種類によって入居対象となる要介護度は異なるほか、必要となる費用も異なります。

【老人ホーム・介護施設の種類別費用相場(月々の雑費などは除く)※1】

施設の種類

初期費用相場

月額費用相場

介護付き有料老人ホーム

約30万~数百万円

約20万~30万円

住宅型有料老人ホーム

約10万~数百万円

約10万~20万円

サービス付き高齢者向け住宅

約10万~30万円

約10万~30万円

グループホーム

約3万~60万円

約8万~25万円

特別養護老人ホーム

0円

約5万~18万円

介護医療院

0円

約5万~18万円

介護老人保健施設

0円

約6万~20万円

ケアハウス(軽費老人ホームC型)

0~数十万円

約5万~17万円※2

(出典:医療福祉機構「令和4年度施設・居住系サービス事業者運営状況調査」

※1 こちらは独自に費用をシミュレーションした一例です。実際の費用は状況や条件によって変動します。
※2 データの関係上、A型・B型軽費老人ホームも含む費用となっています。

数ある施設サービスの中でも、比較的費用が高いのは介護付き有料老人ホームや住宅型有料老人ホーム、グループホームです。

中でも介護付き有料老人ホームは、要介護3以上の利用者に向けて充実したサービスを提供している施設や看取りまで対応している施設も多く、初期費用・月額費用ともに高い傾向にあります。

なお、各施設サービスの費用相場は下記のページでさらに詳しく解説しているため、ぜひ併せてご覧ください。

▶ 老人ホームに入居するにはいくらかかる?費用相場や内訳を解説
 

訪問介護(ホームヘルプ)サービスを受けるのに必要な費用

訪問介護(ホームヘルプ)とは、要介護1~5の認定を受けた方が自宅で自立した生活を送れるよう、介護福祉士や訪問介護員(ホームヘルパー)が自宅・施設を訪問してさまざまな支援を提供するサービスです。

訪問介護で受けられるサービスには「身体介護」「生活援助」「通院時の乗車・降車等介助」などの種類があり、各サービス内容の提供時間に応じて利用者負担額が設定されます。

【訪問介護(ホームヘルプ)の費用】

サービス費用の設定

利用者負担(1割)
(1回につき)

身体介護

20分未満

163円

20分以上30分未満

244円

30分以上1時間未満

387円

1時間以上1時間半未満

567円

生活援助

20分以上45分未満

179円

45分以上

220円

通院時の乗車・降車等介助

97円

(出典:厚生労働省「どんなサービスがあるの? - 訪問介護(ホームヘルプ)」

訪問介護サービスは介護保険の適用対象であり、利用者負担は原則として1割です。しかし、一定以上の所得がある場合には2割または3割となります。なお、上記の利用費用はあくまで目安となるため、実際にかかる費用は事業所に問い合わせるとよいでしょう。

▶ 訪問介護とは?
 

訪問看護サービスを受けるのに必要な費用

訪問看護とは、病気や障がいによって療養を受ける状態にある方が安心して療養生活を送れるよう、看護師をはじめとした医療従事者が自宅に訪問して看護(療養上の世話や診療の補助)を提供するサービスです。

訪問看護サービスの費用は、訪問看護サービスと同様にサービスの提供時間に応じた利用者負担額が設定されており、自己負担額も原則1割となっています。

また、指定訪問看護ステーションが提供するサービスと病院・クリニックが提供するサービスとで提供時間ごとの単位(費用)にやや違いがあることも覚えておきましょう。

【訪問看護サービスの費用】

訪問内容

指定訪問看護ステーションの場合の利用者負担(1割)(1回につき)

病院やクリニックの場合の利用者負担(1割)(1回につき)

所要時間20分未満

314円

266円

所要時間30分未満

471円

399円

所要時間30分以上1時間未満

823円

574円

所要時間1時間以上1時間30分未満

1,128円

844円

指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と連携して訪問看護を行う場合

2,961円/月

夜間・早朝の訪問

+25%

深夜の訪問

+50%

通算1時間30分以上の訪問

+300円

(出典:厚生労働省「訪問看護」

上記はあくまでも目安の費用であり、実際の1単位あたりの費用は地域によっても異なるため、詳しくは利用したい訪問看護ステーションに問い合わせるのがおすすめです。

▶ 訪問介護とは?

 

訪問リハビリテーションを受けるのに必要な費用

訪問リハビリテーションとは、病院・クリニックや介護老人保健施設に在籍する理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が各利用者の自宅を訪問し、心身機能の維持・回復、さらに日常生活の自立に向けた機能訓練を支援するサービスです。対象者は、要介護度1以上の方となります。

訪問リハビリテーションは、1回あたり20分以上・1週間に6回を限度として算定が認められています。基本的に1回(20分)ごとに基本費用が定められており、担当するリハビリテーション専門職やリハビリ内容、事業所によって費用が加算される仕組みです。

【訪問リハビリテーションの費用】

費用内訳

自己負担額

基本料金(20分ごと)

308円

加算料金

サービス提供体制強化加算(I)※1

+6円

サービス提供体制強化加算(II)※2

+3円

短期集中リハビリテーション実施加算※3

200円/1日

移行支援加算※4

+17円/1日

(出典:厚生労働省「訪問リハビリテーション」

※1:担当するリハビリテーション専門職のうち、勤続年数7年以上の者がいる場合加算されます。
※2:担当するリハビリテーション専門職のうち、勤続年数3年以上の者がいる場合加算されます。
※3:退院・退所日、または要介護認定日から3か月以内に集中的なリハビリを受ける場合加算されます。
※4:リハビリテーション後、一定以上生活に使う動作(ADL・IDAL)が改善している事業所の場合加算されます。

訪問リハビリテーションの自己負担割合は原則として1割ですが、一定以上の収入がある場合は2割または3割に引き上げられます。
 

デイサービス(通所介護)に必要な費用

デイサービス(通所介護)とは、要介護1以上の認定を受けた方が日帰りで利用できる介護施設です。要介護状態になってもできる限り自立した生活を送れるよう、生活機能の維持・向上を目的としたリハビリテーションや日常生活上の支援が提供されています。

通所介護のサービス費用は1回ごとに定められており、要介護度によっても細かに異なります。

【デイサービス(通所介護)の費用(月々の雑費などは除く)※1】

サービス費用の設定

利用者負担(1割)
(1回につき)

通常規模(※2)の事業所の場合

(7時間以上8時間未満)

 

要介護1

658円

要介護2

777円

要介護3

900円

要介護4

1,023円

要介護5

1,148円

(出典:厚生労働省「どんなサービスがあるの? - 通所介護(デイサービス)」

※1:日常生活費(食費・おむつ代など)などは、別途負担する必要があります。
※2:通常規模とは1か月の平均利用延べ人数が301人以上750人以内の施設を指します。

上記はあくまでも通常規模の事業所における利用者負担額の目安であり、実際は事業所の規模・サービス提供時間によっても変わります。送迎にかかわる費用は含まれているものの、食費やおむつ代といった日常生活費は別途負担する必要があることにも注意が必要です。

▶ デイサービス(通所介護)とは?
 

デイケア(通所リハビリ)を受ける費用

デイケア(通所リハビリ)とは、すべての要支援者・要介護者が日帰りで利用できるリハビリテーション施設です。

要支援認定者の場合は、生活機能の向上を目的とした「共通的サービス」に加えて、運動器機能向上や栄養改善を含む「選択的サービス」を組み合わせられます。いずれも定額(月額)となっており、要支援度ごとの共通的サービスの基本料金に選択的サービスの料金が加算される仕組みです。

【デイケア(通所リハビリ)の費用(月々の雑費などは除く)※1】

サービス費用の設定

利用者負担(1割)
(1月につき)

共通的サービス

要支援1

2,268円

要支援2

4,228円

選択的サービス

運動器機能向上

225円

栄養改善

200円

口腔機能向上(Ⅰ)

150円

口腔機能向上(Ⅱ)

160円

一方で、要介護認定者の場合は「要介護度」と「サービス利用時間」によって利用料が変わってきます。

サービス費用の設定

利用者負担(1割)
(1回につき)

通常規模(※2)の事業所の場合

(7時間以上8時間未満)

 

要介護1

762円

要介護2

903円

要介護3

1,046円

要介護4

1,215円

要介護5

1,379円

(出典:厚生労働省「どんなサービスがあるの? - 通所リハビリテーション(デイケア)」

※1:日常生活費(食費・おむつ代など)などは、別途負担する必要があります。
※2:通常規模とは1か月の平均利用延べ人数が301人以上750人以内の施設を指します。

上記はあくまでも通常規模の事業所を例とした目安の負担額です。通常、施設の規模や利用時間が増えると金額も上がります。施設によってはサービス提供体制加算が適用されるケースもあるため、事前に問い合わせておくとよいでしょう。

▶ デイケア(通所リハビリ)とは?
 

福祉用具貸与サービスで割り引かれる費用

介護保険は、訪問介護や施設介護といったサービスの利用時だけでなく、日常的に使用するであろう介護用品のレンタル・購入時にも利用できます。

厳密には、「福祉用具貸与」と呼ばれる介護サービスに該当します。福祉用具貸与サービスとは、要支援・要介護認定者が自宅で自立した生活を送れるよう、指定事業者が利用者の状況や生活環境を踏まえて適切な福祉用具の選定・貸与を行うサービスです。

要支援度や要介護度に応じてレンタルできる福祉用具は異なるほか、利用する福祉用具によっても費用は異なります。福祉用具のレンタル費用は原則として1割ですが、一定以上の所得がある場合は2割または3割負担となります。
 

医療費としてかかる平均的な費用

介護においては、介護費用だけでなく医療費もかかる点を考慮する必要があります。

厚生労働省が公表した資料によると、2021年時点での高齢者(65歳以上)の1人あたり年間医療費は、男性で82万4,700円、女性で69万9,600円となっていました。これを月額に換算すると、男性は6万8,725円、女性は5万8,300円です。

(出典:厚生労働省「令和3(2021)年度 国民医療費の概況」

また、2022年10月からは健康保険法等の一部を改正する法律が成立したことによって、一定以上の所得がある75歳以上の後期高齢者の自己負担割合が2割に引き上げられました。本人の所得金額だけでなく、世帯内の後期高齢者の人数・合計所得金額によっても2割負担となる点に注意が必要です。

 

3. 居宅サービスにおける介護保険の支給限度額

介護施設の模型と小銭

介護保険では、「支給限度額」が定められています。支給限度額とは、要支援・要介護の認定者が介護保険を用いて毎月利用できる介護サービスの限度額のことです。金額ではなく単位で規定されることが特徴で、地域によって変動はあるものの、通常1単位につき10円とされています。

支給限度額の上限は、要支援・要介護度ごとに定められています。下記は、要支援1~2・要介護1~5における1か月あたりの支給限度額です。

要支援1

50,320円

要支援2

105,310円

要介護1

167,650円

要介護2

197,050円

要介護3

270,480円

要介護4

309,380円

要介護5

362,170円

(出典:サービスにかかる利用料「厚生労働省」

それぞれに定められている支給限度額を超えて介護サービスを利用した場合、超過分は全額自己負担となることに注意が必要です。

なお、支給限度額と混同されやすいものとして「負担限度額」があります。負担限度額とは、介護サービス利用時における所得に応じた自己負担額の上限を指すものであり、支給限度額とは大きく異なることを覚えておきましょう。

 

4. 介護・医療の費用負担を軽減・補助する公的制度4つ

前述の通り、親や自分自身が要介護状態となったときは、介護費用や医療費用に加えて、可能な限り自立した生活を送るための住宅改修などを行う場合は一時的なコストも発生します。

こうした経済的負担を軽減するためには、介護・医療にかかる金額の一部を補助する公的制度の活用が有効です。介護・医療費の負担を軽減できるおすすめの公的制度を4つ紹介します。

高額介護合算療養費制度

高額介護合算療養費制度とは、介護保険と医療保険における年間の自己負担金額を合算した額が基準額を超えて高額となった場合に、その額を軽減できる制度です。

8月1日~翌年7月31日の1年間における介護保険と医療保険の自己負担が著しく高額であった際は申請をすることで、介護保険にかかわる差額分が「高額医療合算介護サービス費」として、医療保険にかかわる差額分が「高額介護合算療養費」として払い戻されます。

限度額

(70歳以上)

年収約1,160万円以上:212万円

年収770万~1,160万円:141万円

年収370万~770万円:67万円

年収156万~370万円:56万円

市町村民税世帯非課税:31万円

市町村民税世帯非課税(所得が一定以下):19万円(※1)

(出典:「高額介護合算療養費制度 概要 38」

※1:介護サービスの利用者が世帯内に複数いる場合は31万円

なお、福祉用具の購入費や住宅改修費の自己負担費用、その他施設サービスの日常生活費は高額介護サービス費の対象とはならない点に注意しておきましょう。
 

高額療養費制度

高額療養費制度とは、毎月1日~月末までの医療費の自己負担額が高額となった場合、年齢と所得水準に応じた負担限度額の超過分が支給される制度です。

超過分の払い戻しは、医療機関が提出する診療報酬明細書(レセプト)の審査を経て行うため、診療月から3か月以上の期間を要します。高額な医療費が見込まれる場合は、限度額適用認定証を利用するのも一案です。

限度額

(70歳以上)

年収約1,160万円以上:25万2,600円+(医療費-84万2,000円)×1%

年収770万~1,160万円:16万7,400円+(医療費-55万8,000円)×1%

年収370万~770万円:8万100円+(医療費-26万7,000円)×1%

年収156万~370万円:5万7,600円

市町村民税世帯非課税:2万4,600円

市町村民税世帯非課税(年金収入80万円以下):1万5,000円

(出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

なお、入院時の差額ベッド代や食事代の一部負担などは高額療養費制度の対象となりません。

高額医療費貸付制度

高額医療費貸付制度とは、1か月の医療費が高額になり高額療養費制度を利用した際、払い戻しが行われるまでの間(約3か月)に支給予定金額の8~9割を無利子で貸し付けてもらえる制度です。健康保険組合や国民健康保険に加入している方であれば、誰でも利用できます。

貸付という言葉がついていることから、高額療養費の支給後に返済の必要があると考える方も多いものの、実際には高額療養費の支給金額から貸付金が直接差し引かれる形となります。そのため、申請者が自ら返済手続きを行う必要はありません。

なお、高額医療費貸付制度の申請には、医療保険から発行された保険点数の分かる明細書や請求書が必要となるため、紛失しないよう大切に保管しておきましょう。
 

医療費控除

医療費控除とは、1月1日~12月31日の1年間に自分や支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得税の控除を受けられる制度です。自分や生計をともにする配偶者・家族のために支払った医療費が高額になった際は、確定申告で控除を申請することによって税負担を軽減できます。

対象となる医療費には、医療機関での診療費・治療費や処方薬の購入費などが挙げられます。医療費控除額は、「年間に支払った医療費」-「保険金などで補填される金額」-「10万円(※1)」で算出できます。

※1:総所得金額等が200万円未満の場合は「総所得金額の5%」

年間に支払った世帯全体の医療費が1年で10万円を超える場合には、医療費控除を受けられるか確認するとよいでしょう。なお、医療費控除額は200万円の上限額が設けられています。

まとめ

ポイントを説明する女性

公的介護保険サービスの利用にかかる費用平均は月額8.3万円と、年間約100万円近くの費用を要します。平均介護期間はおよそ61.1か月であることを考えると、総額としては500万円以上が必要と言えるでしょう。

ただし、介護費用は利用する施設・サービス内容によっても大きく異なります。また、介護費用負担の軽減制度も整っているため、積極的に活用することも大切です。信頼できる介護関係者やケアマネージャー、マイナビあなたの介護に相談しながら、ベストな選択を見極めるとよいでしょう。

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参考URL 

生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?|リスクに備えるための生活設計」
生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」
医療福祉機構「令和4年度施設・居住系サービス事業者運営状況調査」
厚生労働省「どんなサービスがあるの? - 訪問介護(ホームヘルプ)」
厚生労働省「訪問看護」
厚生労働省「訪問リハビリテーション」
厚生労働省「どんなサービスがあるの? - 通所介護(デイサービス)」
厚生労働省「どんなサービスがあるの? - 通所リハビリテーション(デイケア)」
サービスにかかる利用料「厚生労働省」
生命保険文化センター「公的介護保険で自己負担額が高額になった場合の軽減措置とは?」
厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
全国健康保険協会「高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)」
全国健康保険協会「高額医療費貸付制度」
全国健康保険協会「「高額療養費」と「医療費控除」ってなんだろう?」

※当記事は2024年9月時点の情報をもとに作成しています

監修

北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO

菊地 雅洋

北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO

菊地 雅洋

社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。

社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。

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