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初めての介護でも安心!介護保険の使い方をわかりやすく解説

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今まで元気に過ごしていた家族が、突然介護が必要な状態になったら、ほとんどの人が戸惑ってしまうのではないでしょうか。介護のことを誰に相談したらよいのか、介護保険はどうやって使えばよいのかなど、初めての介護は不安が募ります。いざという時にあわてないためには、事前の準備が必要です。

この記事では、初めて介護保険を利用する人向けに、介護保険の使い方をわかりやすく解説します。

1. 介護保険はどんな人がどんな時に使える?

車いすに座る高齢者と支える介護職員

介護保険とは、介護が必要になった人に対して、その人が必要とする介護サービスを提供するための社会保険制度のひとつです。

では、介護保険ではどのようなサービスを利用できるのでしょうか。
また、介護保険を利用できるのは、どのような人でしょうか。詳しくみていきましょう。

介護保険で利用できるサービス

介護保険では、以下のようなサービスを利用できます。

居宅介護支援

介護の相談や居宅サービス計画書(ケアプラン)(※)を作成するサービス

訪問介護

ヘルパーが自宅に訪問し、家事中心の生活支援や身体介護を行うサービス

訪問看護

看護師やリハビリ専門職が自宅に訪問し、主治医の指示のもとで療養上の世話や診療の補助を行うサービス

訪問リハビリ

リハビリ専門職が自宅に訪問し、リハビリテーションを行うサービス

訪問入浴

看護師と介護職員が自宅を訪問し、持参した浴槽で入浴介護を行うサービス

居宅療養管理指導

通院が困難な利用者の自宅を医師や薬剤師などが訪問し、療養上の管理や指導などを行うサービス

通所介護

施設に通い、日常生活上の支援や機能訓練などを日帰りで受けるサービス

通所リハビリ

老人保健施設や病院などで、日帰りで日常生活上の支援やリハビリなどを受けるサービス

小規模多機能型居宅介護

施設への通いを中心に、短期間の宿泊や自宅への訪問を組み合わせたサービス

ショートステイ

施設に泊まり、日常生活上の支援や機能訓練などを受けるサービス

施設入所

施設に入所し、日常生活上の支援や機能訓練、療養上の世話などを受けるサービス

福祉用具のレンタル、販売

利用者が可能な限り自立した生活が送れるよう、福祉用具をレンタルもしくは販売するサービス

 

※居宅サービス計画書(ケアプラン)……介護保険を利用する人のニーズや希望に基づいて、適切な介護サービスを提供するためなどの目的で介護支援専門員が作成する計画書。

介護保険を利用できる人

介護保険は、介護が必要となった高齢者の生活を支える制度です。そのため、介護保険の加入は老化に起因する疾患にかかる可能性が高まる40歳以上となっています。そのため、介護保険に加入できない40歳未満の人は、介護保険を利用することができません。

また、40歳以上であっても、64歳までは利用できる対象者が限られています。

介護保険では、65歳の人を「第1号被保険者」、40~64歳の人を「第2号被保険者」と呼び、介護保険のサービスを受けられる要件を以下のように設定しています。

  • 第1号被保険者(65歳以上)……介護が必要だと認定された人。
  • 第2号被保険者(40歳以上65歳未満)……特定疾病(老化が原因とされる16種類の病気)により介護が必要と認定された人

上記に当てはまる場合も、実際に介護保険のサービスを利用するためには、「要介護認定」を受ける必要があります。

 

2. 要介護認定を受けるまでの流れ

介護保険を申請に来た高齢者

介護保険を使うための「要介護認定」は、どのように申請すればよいのでしょうか。申請から通知書が届くまでの流れを見ていきましょう。

▶ 要介護認定とは?認定の流れと7段階の要介護度について解説
 

図表1:要介護認定までの流れ

(出典:サービス利用までの流れ|厚生労働省

①要介護認定の申請を行う

要介護認定の申請は、住んでいる市町村の担当窓口(※)で行います。65歳以上の人は自宅に届いている介護保険被保険者証が、40~64歳の人は医療保険証が必要となりますので、申請の際には忘れずに持参しましょう。

申請は、役場以外にも、地域包括支援センターや指定居宅介護支援事業所でも行うことができます。

※窓口の名称は「高齢者福祉窓口」など、自治体によって異なります。
 

②主治医に意見書を書いてもらう

要介護認定を受けるための審査では、主治医からの意見も参考にされるため、主治医に意見書を書いてもらう必要があります。申請の1ヵ月前に受診し、要介護認定の申請をする旨を主治医に伝えてください。

多くの自治体では、申請のために必要な主治医意見書のためのアンケート(以下、主治医アンケート)を用意しています。申請時に主治医アンケートをもらい、自分で記入する項目(困り事や、状態など)について記入したうえで、病院に提出しましょう。

もし、申請時点で主治医がいない場合は、市町村の指定医による診察が必要です。窓口で申請するときに、どちらの病院を受診したらよいかを相談してください。
 

③認定調査を受ける

要介護認定の申請をしたら、認定調査員から訪問の日程を調整する連絡が入ります。認定調査では、体の動きを確認したり、普段の様子を聞き取ったりして「介護の手間がどの程度かかっているか」を判断します。

自治体から派遣された認定調査員が来ると、いつもはできていないことも「できます」と答えたり、実際に動けたりする人も少なくありません。調査の際は、日頃から本人のお世話をしている人や、様子をよく知る家族が同席し、普段の様子を伝えるようにすると、実情に応じた判断が出やすくなるでしょう。
 

④自治体で審査判定が行われる

認定調査の結果と主治医の意見書の一部は、コンピューターに入力され、全国一律の方法で要介護度の判定が行われます。これを、一次判定といいます。

この一次判定をもとに、保健、医療、福祉に関する学識経験者で構成された「介護認定審査会」が開かれます。審査会では、専門的知見から意見が交わされ、要介護度の判定が行われます。これを二次判定といいます。
 

⑤認定通知書が届く

二次判定で決まった要介護度は、認定通知書と介護保険被保険者証に記載され、本人のもとに郵送で届きます。要介護度は、以下のいずれかで表記されます。

  • 非該当(自立)
  • 要支援1~2 → 介護予防サービスを利用できる
  • 要介護1~5 → 介護サービスを利用できる

非該当(自立)の場合、介護保険のサービスは利用できません。ただし、地域支援事業の利用は可能となりますので、利用を希望する場合は、地域包括支援センターに相談しましょう。

「要支援1~2」の判定を受けた場合は、介護保険サービスのうち「介護予防サービス」が利用でき、「要介護1~5」の判定を受けた場合は、「介護サービス」が利用できます。
ただし、要介護2以下の方は、介護サービスのうち介護老人福祉施設(特養)の利用は原則としてできません。

認定通知書は、原則30日以内に届きますが、自治体や申請の状況によっては、2ヶ月ほどかかるケースもあります。介護保険を使いたい場合は、余裕をもって申請しておくことをおすすめします。

認定の有効期間は、新規・変更申請と更新申請で以下のような違いがあります。

  • 新規・変更申請……原則6ヶ月、状態に応じて3~12ヶ月
  • 更新申請……原則12ヶ月、状態に応じて3~24ヶ月

介護保険の有効期限が切れてしまった場合、介護保険のサービスは利用できなくなります。介護保険を利用する場合は、有効期間が満了するまでに更新申請を行いましょう。更新申請は、有効期限の2ヶ月前から可能です。

 

3. 介護保険のサービスを使うならケアプランを作成しておこう

ケアプランについて話し合う高齢者と職員

ケアプランとは、利用者が望む暮らしを実現するうえで、どのような課題があるかを整理し、目標や援助内容、利用するサービスの種類や提供する事業所、ケア内容や期間などを記載したものです。

ケアプランには、利用者の介護や自立支援に関わる様々な関係者の役割をまとめており、ケアプランを基に介護保険のサービスが提供されます。

ケアプランは自分で作成することもできますが、制度の知識が必要になるためほとんどの人がケアマネージャーに依頼して作成してもらいます。その際、ケアマネージャーに委託して作成してもらうための費用は、介護保険で全額負担されます。

▶ ケアマネージャーとは?

(※)令和6年4月からは、要支援の方のケアプランを居宅介護支援事業所が直接作成できるようになりました。

ケアマネージャーに依頼してケアプランを作成してもらう場合、要支援1・2の場合は「地域包括支援センター」が、要介護1~5の場合は「居宅介護支援事業所」が窓口となります。ただし、指定を受けた地域包括支援センターであれば、要支援でも居宅介護支援事業所のケアマネージャーが担当することもできます。

ケアプランを作成する事業所や担当者は、利用者が自由に選択することができ、途中で変更することも可能です。

たとえば、利用したいデイサービスがすでに決まっている場合なら、デイサービスに併設の居宅支援事業所にお願いしてもよいでしょう。または、身近に介護関係者がいる場合は、知り合いのケアマネージャーを紹介してもらうのも一つの方法です。

  

4. 介護保険を使うときの費用

電卓と杖と円マークの木製ブロック

介護保険サービスを利用するときの費用(自己負担額)は、利用者の状況に応じて1~3割と決められています。

  • 1割負担
    本人の合計所得が160万円未満で、第2号被保険者、市町村税非課税者、生活保護受給者

  • 2割負担
    本人の合計所得が160万円~220万円未満で、年金収入とそのほかの合計所得金額が280万円以上(夫婦世帯の場合346万円以上)

  • 3割負担
    本人の合計所得が220万円かつ年金収入とそのほかの合計所得が340万円位以上(夫婦世帯の場合463万円以上)
        

要介護度ごとに支給限度額が決まっている

介護保険サービスでは、要介護度に応じて利用できる上限額が単位数で決められています。例えば、自宅でサービスを受ける場合(居宅サービスを利用する場合)の上限額は、以下の通りです。

図表3:居宅サービスの1か月あたりの利用限度額

要支援1

50,320円

要支援2

105,310円

要介護1

167,650円

要介護2

197,050円

要介護3

270,480円

要介護4

309,380円

要介護5

362,170円

(出典:サービスにかかる利用料|厚生労働省
 

福祉用具の購入や住宅改修を行う場合の費用

福祉用具を購入する場合、利用できる限度額が同一年度で10万円までと決められています。

また、住宅改修の場合は、生涯で20万円までとなっています。
ただし、要介護度が3段階以上上がった場合と転居した場合は、再度20万円まで利用することができます。

 

まとめ:介護保険を使うときは早めに行動しよう

手のひらに家族の形の切り絵

介護保険を使うためには申請が必要です。要介護認定が下りるまでには時間がかかるので、「介護が必要になってきたかも」と思ったら、早めに行動しましょう。

もし、介護のことで迷うことがあれば、居住地の地域包括支援センターや「マイナビあなたの介護」に相談してみてください。

「マイナビあなたの介護」では、電話やLINEで介護に関する相談ができます。
最適な施設探しから介護準備のお手続きのサポートまで幅広く対応します。

どんな些細なお悩みでも、お気軽にご相談ください。

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参考URL

介護保険制度について(PDF)|厚生労働省
サービス利用までの流れ|厚生労働省
給付と負担について(参考資料)(PDF)|厚生労働省
サービスにかかる利用料|厚生労働省
どんなサービスがあるの?特定福祉用具販売|厚生労働省
介護保険における住宅改修の概要(PDF)|厚生労働省
公表されている介護サービスについて|厚生労働省
居宅療養管理指導(PDF)|厚生労働省

監修

北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO

菊地 雅洋

北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO

菊地 雅洋

社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。

社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。

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