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認知症グループホームとは?入居条件から費用までわかりやすく解説

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家族が認知症になったとき、どのように介護と向き合えばよいかわからないと感じている人は多いのではないでしょうか。

認知症の人を支えるための介護サービスには様々な種類がありますが、なかでも認知症の人にとって安心できる住環境で生活しながら、認知症状を緩やかにし、心身の状態を安定させることを目的としているのが「認知症対応型共同生活介護(以下、認知症グループホーム)」です。

この記事では、認知症グループホームの特徴や、入居するための条件、料金などについて、現役ケアマネジャーがわかりやすく解説します。

1. 認知症グループホームは、認知症の方が少人数で共同生活を送る施設

認知症のチェック

認知症グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、認知症の診断を受けた人達が、少人数(5人~9人)で共同生活を送るための施設です。

家庭的な雰囲気の中で、認知症ケアを専門とした職員がサポートしながら、自宅での生活と同じように、洗濯や掃除、料理などの家事を行える環境を整えていることが特徴です。

他の利用者や、職員とのコミュニケーションが多く発生するため、自宅で長時間一人で過ごす場合と比べて脳への刺激が生まれ、認知症の進行を緩やかにし、自立した生活を送れるようになることが期待されます。

 

2. 認知症グループホームに入るための条件は

入居の説明を受ける高齢者親子

認知症グループホームは、介護保険サービスの中でも、地域に根差した「地域密着型サービス」に位置付けられており、グループホームが所在する自治体に住所がある人が利用できます。

認知症グループホームに入居できるのは、以下の4つを満たす人です。

  • 要介護認定で要支援2~要介護5の判定を受けた人

要支援1

要支援2

要介護1

要介護2 

要介護3 

要介護4 

要介護5

  • 認知症の診断を受けた人
  • 施設と同じ市区町村に住民票がある人
  • 集団生活を送ることに支障がない人

認知症の人は、生活環境が変わることで症状が悪化するケースも多いことから、住み慣れた地域での暮らしが推進されています。そのため、基本的には住民票のある地域にある認知症グループホームにしか入居できません。(※)

また、認知症グループホームでは、ケアの一環として、一緒に生活をしている他の入居者や職員と家事や買い物などを行いながら、自立を支援します。そのため、集団生活を送ることに支障がない人や、ある程度身の回りのことを自分で行える人が対象となる施設が多い傾向にあります。

寝たきり状態の人や、認知症の症状が重く集団生活が難しい人の場合は、入居できないケースもあります。ただし、最近は、医療機関や訪問看護ステーションなどとの連携を図っている認知症グループホームも出てきており、そのような施設では看取りまで行うケースもあります。

施設によって、入居対象となる人の条件は異なりますので、詳しくは入居したい認知症グループホームに確認するようにしましょう。

※例外もあり、住民票のある地域以外でもその市町村の同意を得ることで、入居することが可能となります。

  

3. 認知症グループホームの設備や職員について知ろう

グループホームの一室

認知症グループホームには、どのような設備があり、どのような職員がサポートしてくれるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

認知症グループホームの立地や設備

認知症グループホームは、家族や地域住民との交流の機会を確保しつつ、認知症の進行を緩やかにするために、落ち着いた住宅地に立地しているケースが多いです。

施設内には、居室のほかに、居間や食堂、台所、浴室などの日常生活に必要な設備のほか、消火設備やその他の非常災害に際して必要な設備が整っています。

入居者が過ごす居室は、原則として個室です。広さは、収納スペースを除き7.43㎡以上と規定されています。和室に置き換えると4.5畳以上の広さが確保されていると考えましょう。

複数の居室と居間、食堂、台所、浴室などの生活空間は「ユニット」として数え、1つのユニットは5~9人と決められています。少人数での生活が基本となるため、入居者が他の利用者や職員と関わりやすい特徴があります。

ちなみに、1つの施設のなかには最大3ユニットまでと決められています。複数のユニットがあるグループホームでは、お祭りやイベントなどで他のユニットの利用者や職員と交流することもあるでしょう。

 

認知症グループホームの職員

認知症グループホームでは、管理者と計画作成担当者、介護職員が働いていており、利用者をサポートします。それぞれの役割について見ていきましょう。

  • 管理者

    各ユニットには、職員の管理や施設の運営を管理するために、管理者が常勤で働いています。管理者は、3年以上認知症の介護従事経験があり、厚生労働大臣が定める研修を修了している人であり、認知症ケアのプロといえるでしょう。

  • 計画作成担当者

    認知症グループホームの入居者一人ひとりに合わせたケアプラン(※)を作成する職員です。ユニットごとに1名配置されています。ケアマネージャーの資格を保持している人は、必ず事業所に1名配置されています。

(※)ケアプラン……利用者の状況やニーズにあわせて介護ケアを提供するために作成される計画

  • 介護職員

    日中には利用者3人に対して1人以上、夜間は1ユニットに1名以上の介護職員が配置されています。介護職員には、資格要件はないものの、認知症の介護などに関する知識や経験を持つ職員が担当します。

    2024年4月からは、無資格で認知症ケアに携わる職員は、「認知症介護基礎研修」の受講が義務化されたため、グループホームで働く介護職員は、認知症ケアの基礎知識や、技術を持っていると考えてよいでしょう。

実際に認知症グループホームで働いている職員は、看護師や介護福祉士、介護職員初任者研修といった資格を取得している人が多く、なかには「認知症介護実践者研修」など、より専門的な資格を保持している人も多く働いています。

 

4. 認知症グループホームにかかる費用

グループホームの費用

認知症グループホームにかかる費用は、要介護度とユニット数で基本料金が異なります。

料金は1日単位で決められていますが、ここではわかりやすく1ヶ月(30日)あたりの基本料金の目安をご紹介します。

※介護保険の負担割合によっても支払う料金は異なりますが、ここでは一般的なケースとして1割負担の場合を想定しています。

 要介護度

施設が1ユニットの場合

施設に2ユニット以上ある場合

要支援2

22,830円/月

22,470円/月

要介護1

22,950円/月

22,590円/月

要介護2

24,030円/月

23,640円/月

要介護3

24,720円/月

24,360円/月

要介護4

25,230円/月

24,840円/月

要介護5

25,770円/月

25,350円/月

上記の基本料金に、施設によって加算があるため、実際にかかる費用は施設によって異なります。

また、入居時には、「保証金」もしくは「入居一時金」が必要となるケースがあります。金額は施設によって異なりますが、数万円から20万円程度かかると見込んでおきましょう。

その他、食材料費や理美容代、おむつ代などの日常生活費が別途必要です。詳しくは、入居したい認知症グループホームに確認してみましょう。

 

5. 認知症グループホームの選び方

グループホームを選ぶ手

認知症グループホームの入居を検討する場合、どのような基準で施設を選んだらよいのでしょうか。重要なのは、実際に見学して、しっかりと様子を確認することです。

見学の際には、以下の点について確認しておきましょう。

入居者や職員の雰囲気

認知症グループホームでは、入居者同士のコミュニケーションや、職員との交流に重点を置いている施設が多いため、見学時には入居者同士や職員の雰囲気を確認しましょう。

認知症を発症していると、同じことを何度も繰り返し話したり、事実とは違う話をしたりすることも多くあります。そんなとき、他者から否定されるようなことが続くと、利用者によっては自尊心を傷つけられて話をしなくなってしまう人もいます。

施設での生活が楽しいか、安心して暮らせているかどうかは、入居者さんの表情に表れます。表情が明るい入居者が多い施設であれば、本人も楽しく充実した生活を送れる可能性が高いでしょう。
 

職員の配置数や資格

認知症グループホームは、日中は入居者3人に対し1名以上、夜間は各ユニットに1名以上介護職員を配置する必要があります。見学時には、日中の職員だけでなく、夜間の人員体制についても確認しておきましょう。

また、認知症介護は専門的なスキルを必要とする場面が多くあります。経験年数の長い介護職員や、有資格者がどれくらいいるかも聞いてみましょう。認知症グループホームの場合、看護職員を配置する義務はないものの、多くの施設で看護職員が働いています。看護職員がいるかどうかも確認しておくと安心です。
 

施設内の衛生管理

施設内の掃除は、その施設が衛生管理をきちんと行っているかの指標になります。認知症グループホームの場合、職員だけでなく入居者も掃除を一緒に行います。見学時には、入居者がどの程度掃除を行うのか、作業量を確認しておくとよいでしょう。

また、居室だけでなく共有スペースの掃除が行われているかも見ておきましょう。認知症グループホームは共同生活の場ですので、掃除が行き届いている施設であれば、感染症への対策意識が高いと判断できます。
 

居室の広さ

認知症グループホームの居室は、原則として個室になっています。7.4平方メートル(4.5畳)以上と、決して広くはないものの、認知症グループホームでは共有スペースで過ごす時間が多いことを考えると、生活していくうえで十分な広さは確保されていると思ってよいでしょう。

居室に家具が備え付けられているケースは少ないため、持ち込みとなる場合が多いでしょう。部屋の広さを把握していないと、家具を持ち込んだ時に思ったよりも狭くなってしまうことがあります。

もし可能であれば、居室を見せてもらい、どの大きさの家具なら持ち込めるか、確認しておくと安心です。

  

まとめ :認知症で自宅での生活が難しくなったら、認知症グループホームも一つの方法

グループホームの入居を考える親子

家族が認知症になると、自宅での介護に限界を感じることもあるかもしれません。自宅での生活が難しいと感じたときには、認知症グループホームという選択肢があることも頭に入れておくと安心です。認知症グループホームなら、家庭の雰囲気に近く、住み慣れた地域での生活を継続することができます。

施設によっては、短期間の泊りを行う「ショートステイ」を実施している施設もあるため、まずは、担当のケアマネジャーに相談し、一度近くにあるグループホームを見学してみることをおすすめします。

認知症グループホームに関するお悩みがあるときには、「マイナビあなたの介護」でLINEや電話で相談することができます。
最適な施設探しから介護準備のお手続きのサポートなど幅広く対応します。

どんな些細なお悩みでも、お気軽にご相談ください。

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参考URL

どんなサービスがあるの?認知症対応型共同生活介護|厚生労働省
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)とは|健康長寿ネット
認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)|厚生労働省
令和6年度介護報改定・指定基準の見直しの主なポイント|日本認知症グループホーム協会

監修

北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO

菊地 雅洋

北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO

菊地 雅洋

社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。

社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。

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