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軽費老人ホームとは?施設の特徴や入居条件などを徹底解説!

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高齢になって自宅での生活に不安を感じたとき、施設への入所を検討する人は少なくないでしょう。しかし、施設の費用は思ったよりも高くて、なかなか施設を決めきれないこともあります。

そこで、検討したいのが、費用負担が軽めの軽費老人ホームです。軽費老人ホームとはどのような施設で、どのような人が入居できるのでしょうか。本記事では、軽費老人ホームの特徴や入居要件などについて、詳しく解説します。

1. 軽費老人ホームとは?

談笑するケアハウスの入居者

軽費老人ホームは、1963年に創設された高齢者向けの入居施設で、A型・B型・都市型軽費老人ホームとケアハウスの4種類があります。原則個室となっており、プライバシーに配慮されているのが特徴です。それぞれの概要について、見ていきましょう。

A型軽費老人ホーム

創設当時からある軽費老人ホームで、家庭環境や住宅事情、経済状況などの理由で、自宅で生活するのに不安がある高齢者が対象です。一人あたりの個室の面積は6.6㎡で、生活相談員や介護職員、栄養士などが配置されています。

原則60歳以上が入居条件となっていますが、夫婦で入居する場合はどちらか一方が60歳以上であれば入居可能です。食事の提供や生活上必要な支援が、無料もしくは低額な料金で提供されます。現在は、新設が認められておらず、ケアハウスへの転換がはかられています。
 

B型軽費老人ホーム

B型は自炊ができる高齢者向けの施設で、身体機能等の低下が認められる人や、自立して生活するには不安な高齢者を対象としています。一人あたりの個室の面積は16.5㎡とA型より広いものの、支援する職員の配置規定はありません。自炊ができる人を対象としているため、食事の提供はないものの、その他のサービスはA型と同様に受けることができます。A型同様に新設は認められておらず、2022年10月現在は全国にわずか14件となっています。
 

都市型軽費老人ホーム

都市型は、都市部に設置され都道府県知事が指定する軽費老人ホームで、入所定員が20人以下と小規模です。地価が高い都市部でも整備が進むように、ケアハウスに比べて居室面積や職員配置に関する基準が緩和されており、一人あたりの個室の面積は7.43㎡となっています。食事の提供や入浴の準備、日常生活上必要な支援などのサービスが受けられるのが特徴です。
 

ケアハウス

ケアハウスは、身体機能の低下により自立した日常生活を営むことに不安がある高齢者のうち、家族からの援助が難しい方を対象とした施設です。車いすでも自立した生活ができるよう、構造や設備面が工夫されています。ケアハウスでは、食事の提供や入浴等の準備、相談援助などの基本的サービスが提供されます。介護職員の配置はA型よりも少ないため、介護サービスが必要な場合は外部サービスを利用します。一人あたりの個室面積は14.85㎡、二人の場合は31.9㎡と広くなっています。厚生労働省が行った「令和4年社会福祉施設等調査の概況」によると、2024年10月時点では、軽費老人ホーム全体が2,330施設に対し、ケアハウスは2,038施設となっており、軽費老人ホームはケアハウスが主流になりつつあります。ここからは、ケアハウスについて、詳しく見ていきましょう。

  

2. 軽費老人ホーム(ケアハウス)の特徴とは?

軽費老人ホーム(ケアハウス)の特徴とは?

軽費老人ホームの1種であるケアハウスは、自宅での生活に不安がある高齢者のうち、低所得で60歳以上の人を対象とした施設です。以下の団体が運営しています。

  • 地方公共団体
  • 社会福祉法人
  • 公益法人
  • 農業協同組合
  • 厚生農業協同組合連合会
  • 医療法人

ケアハウスでは、低料金で食事や洗濯などの介護サービスを受けることができます。また、ケアハウスには、介護認定を受けていない人でも入居できる一般型と、要介護認定を受けた人が施設内で介護サービスが受けられる介護型の2種類があります。それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。

 

一般型

介護型

特徴

自立した生活に不安がある低所得高齢者のための施設

介護サービスが必要な低所得高齢者のための施設

入居要件

  • 自立した生活に不安があり、家族等からの援助が難しい60歳以上の人
  • 夫婦で入居の場合は片方が60歳以上であれば可能

原則として要介護1以上の介護認定を受けた65歳以上の人

メリット

  • 要介護認定を受けていなくても入れる
  • 収入に応じた負担額となるため、費用負担が少なくて済む
  • 外部サービスの利用が可能
  • 介護度が高くなっても住み続けられる
  • 施設内でなじみの職員からサービスが受けられる

デメリット

介護度が高くなると、住み替えが必要

  • 医療度が高くなると、退去せざるを得ないこともある
  • 一般型に比べると、費用が割高

一般型ケアハウス

一般型ケアハウスは、身の回りのことはできるものの、身体機能の低下などによって自立した日常生活を営むことに不安があり、家族による援助を受けることが難しい人が入居できる施設です。生活相談員は入居者120人に1人、介護職は30人に1人(※31~80人の施設な2人)、栄養士は施設に1人以上が配置されています。

費用は、収入に応じて決められており、施設によって違いがあるものの、月額の費用はおおむね9万円~15万円程度となっています。費用の内訳は、サービス提供に要する費用や生活費、居住費等です。

入居後に介護が必要となった場合には、ケアハウス内での介護サービスの提供は難しいため、外部の事業所と契約することになるでしょう。例えば、デイサービスや入浴の見守り・介助といった介護サービスは、外部のサービスを利用することになります。

一般型ケアハウスの場合、介護保険サービスを利用しながらもおおむね一人で身の回りのことができるうちは、ケアハウスに住み続けることができます。しかし、要介護度が上がり日常的に介護サービスが必要となると、施設職員と外部の介護保険サービスだけでは日常生活を支えることが難しくなるため、住み替えが必要です。
 

介護型ケアハウス

介護型ケアハウスは、要介護者を対象とした入居施設です。介護施設に準ずる職員配置がされているため、施設内で入浴や排泄、食事等の身体介護や機能訓練、療養上のお世話など、一般型ケアハウスに比べて手厚い支援が受けられるという特徴があります。

職員配置は、生活相談員が入居者100人に対し1人、看護職員・介護職員が3人に対し1人、さらに看護職員は30人に対し1人(※30人以上の施設では50人ごとに1人の配置が必要)、機能訓練士が1人、ケアマネージャー(計画担当者)が100人に対し1人となっています

介護型ケアハウスの場合、原則として65歳以上で要介護1以上の認定を受けた人が入居対象です。24時間体制で職員が支援するため、介護度の高い入居者も安心して生活を送ることができるでしょう。

費用は、介護保険サービス費が含まれています。そのため、他の介護施設に比べると低額で入居できますが、一般型ケアハウスの費用よりも高い傾向があります。また、各施設や要介護度によって費用が異なるため、実際の入居費用については希望の施設に確認した方がよいでしょう。

介護型ケアハウスの場合、認知症の方や看取りに対応している施設もあり、要介護度が高くなっても住み続けることができます。ただし、施設で対応できない医療行為が必要になった場合などには、退去しなければならないケースもあります。

 

3. 軽費老人ホーム(ケアハウス)で受けられるサービス

食事の提供を受けるケアハウスの入居者

ケアハウスでは、どのようなサービスが受けられるでしょうか。一般型と介護型それぞれに受けられるサービスを紹介します。

一般型ケアハウスで受けられるサービス

一般型ケアハウスは、住宅面に重点が置かれたサービスが中心です。そのため、安心して住めるように、食事の提供や入浴の準備などの生活するうえで必要なさまざまな便宜がはかられています。

例えば、以下のような生活支援が挙げられます。

  • 入居者の嗜好や栄養に配慮した食事の提供
  • 入浴の準備と清掃
  • 掃除や洗濯 など

また、以下のような支援も行っています。

  • 相談及び援助
  • 社会生活上の便宜の供与
  • 日常生活上必要な便宜の提供 など

入浴は、入居者で共用する浴室があり、入浴可能な時間であれば好きな時間に入浴することが可能な場合が多いです。また、宿直職員が常駐していることも多く、緊急時には職員が駆けつけて対応できるよう、緊急対応ができる装置を設置しているところもあります。

介護が必要となったときには、介護認定を受けて外部の事業所と個別契約を行えば、入居しながら介護サービスを受けられます。例えば、入浴が不安で見守りや介助が必要となったときには、ヘルパーを利用して施設内の浴室にて入浴することも可能です。

その他のサービスとして、アクティビティやレクリエーションを実施している施設もあります。
  

介護型ケアハウスで受けられるサービス

介護型ケアハウスは、介護保険サービスの「特定施設入居者生活介護」の指定を受けています。そのため、施設や人員などの一定基準を満たしており、施設内で生活していくために以下のような必要な介護サービスが受けられます。

  • 食事や入浴、排泄などの身体介護
  • 掃除や洗濯といった生活の援助
  • 機能訓練
  • 体調管理 など

上記のような介護サービスが24時間体制で受けられるため、常時介護が必要な人でも安心して生活できます。ただし、医療的ケアについては、施設によってできる内容に差があるので、入居を希望する施設に事前に確認しておきましょう。

イベントやレクリエーションの頻度に決まりはないものの、多くの介護型ケアハウスでは、レクリエーションや季節行事などを定期的に実施しています。

 

まとめ:軽費老人ホームはケアハウスに転換中

笑顔の介護職員

軽費老人ホームは、自宅での生活に不安を感じた高齢者が無料もしくは低額で入居できる施設としてスタートしました。時代の変遷とともに、現在は低額で食事や生活支援が受けられるケアハウスへの転換がはかられています。介護が必要となっても住み続けられる介護型ケアハウスの普及も進んできました。費用を抑えつつ施設の入居を検討している場合には、ケアハウスも選択肢のひとつに加えてみるとよいでしょう。


参考URL
ケアハウスとは|健康長寿ネット
自立した、尊厳ある生活を支える軽費老人ホーム・ケアハウス|厚生労働省
軽費老人ホーム(ケアハウス)とは?|全国軽費老人ホーム協議会
軽費老人ホーム(ケアハウス・A型)|千葉県
令和4年社会福祉施設等調査の概況|厚生労働省
軽費老人ホームの設備及び運営について|厚生労働省
社会福祉住居施設の設備基準|厚生労働省

監修

北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO

菊地 雅洋

北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO

菊地 雅洋

社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。

社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。

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