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サービス付き高齢者向け住宅とは?サービス内容や費用などを徹底解説

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2011年に「高齢者住まい法」が改正されたことにより、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の登録制度が創設されました。サービス付き高齢者向け住宅のサービス内容や費用のほか、介護付き有料老人ホームなどとの違いについて、気になっている人もいるのではないでしょうか。

この記事では、サービス付き高齢者向け住宅で受けられるサービスや費用、ほかの施設との違いについてわかりやすく解説します。サービス付き高齢者向け住宅の選び方についてもふれていますので、ぜひ参考にしてください。

1. サービス付き高齢者向け住宅とは、高齢者が安心して暮らせる賃貸住宅のこと

サ高住の模型

サービス付き高齢者向け住宅とは、日常生活や介護に不安を抱く高齢単身または高齢夫婦のみの世帯が、バリアフリー構造の住まいで自宅同様の自由度の高い暮らしを送りながら、安全確認や生活相談サービスなどを受けられる賃貸住宅のことです。略して「サ高住」とも呼ばれています。

入居の対象となるのは、自立した生活が送れるものの、一人暮らしや夫婦のみでの暮らしが不安な60歳以上の高齢者、または要介護(要支援)の認定を受けている40歳以上の人です。食事や介護などのサービスの有無は、入居するサービス付き高齢者向け住宅によって異なります。

サービス付き高齢者向け住宅として登録されるためには、バリアフリー化や居住者への生活支援の実施といった基準を満たす必要があります。サービス付き高齢者向け住宅の登録基準は、下記のとおりです。

■サービス付き高齢者向け住宅の登録基準

サービス付き高齢者向け住宅の登録基準

※国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅について

 

2. サービス付き高齢者向け住宅で受けられるサービス 

サ高住でサービスを受ける高齢者

サービス付き高齢者向け住宅に入居すると、日常生活をサポートするさまざまなサービスを受けることができます。サービス付き高齢者向け住宅には、下記のようなケアの専門家が常駐しています。ケアの専門家に見守られながら、安心して暮らすことができるのが特徴です。

<サービス付き高齢者向け住宅に常駐するケアの専門家の例>

  • 社会福祉法人、医療法人、指定居宅サービス事業所などの職員
  • 医師
  • 看護師
  • 介護福祉士
  • 社会福祉士
  • 介護支援専門員
  • 介護職員初任者研修課程修了者

サービス付き高齢者向け住宅には、どの住宅でも必ず受けられる「安全確認サービス」と「生活相談サービス」のほかにも、オプションで受けられるサービスがあります。また、入居者自身が必要に応じて外部サービスを利用するケースもあります。それぞれのサービスについて詳しく見ていきましょう。
 

安全確認サービス

サービス付き高齢者向け住宅では、ケアの専門家による居室への定期的な訪問や、センサー設置による見守りといった安全確認サービスが提供されます。安否確認の頻度や方法は、サービス付き高齢者向け住宅ごとにさまざまです。
 

生活相談サービス

サービス付き高齢者向け住宅では、「電球が切れてしまったので取り換えたい」といった、生活上の困り事に関する相談やサービスの手配、家族への連絡代行といった生活全般のサポートを受けられます。
 

オプションで受けられるサービス

サービス付き高齢者向け住宅には、安全確認サービスや生活相談サービスのほかに、オプションで受けられるサービスもあります。下記はその一例です。

<オプションで受けられるサービスの例>

  • 食事の提供
  • 部屋の掃除
  • 洗濯
  • 買い物

こうしたオプションサービスを受けるためには、別途費用がかかります。また、オプションで受けられるサービスの種類や費用は、サービス付き高齢者向け住宅によって異なることを覚えておきましょう。
 

必要に応じて利用する外部サービス

サービス付き高齢者向け住宅で介護サービスを利用したい場合には、入居者自身が必要なサービスを選び、外部の事業者を利用します。一部のサービス付き高齢者向け住宅では介護サービスが提供されているケースがありますが、その割合は全体の数パーセントとわずかです。基本的には、介護サービスの利用は外部事業者を利用することになります。

 

3. サービス付き高齢者向け住宅にかかる費用

サービス付き高齢者向け住宅にかかる主な費用は下記のとおりです。

<サービス付き高齢者向け住宅にかかる主な費用>

  • 入居一時金(敷金) ※住宅によって有無が異なる
  • 月々の家賃
  • 管理費

このほか、食事の提供や部屋の掃除などのオプションで受けられるサービスを利用する場合、別途費用がかかります。いずれの費用もサービス付き高齢者向け住宅によって異なるため、契約前によく確認しておくことが大切です。

 

4. サービス付き高齢者向け住宅とほかの施設の違い

サ高住の一室と車椅子

高齢者向けの住まいとしては、サービス付き高齢者向け住宅のほかにも、介護付き有料老人ホームや住宅型有料老人ホーム、シニア向け分譲マンションなどもあります。ここでは、これらの施設の違いを解説します。

■サービス付き高齢者向け住宅とほかの施設の違い

種類

要介護度の目安

特徴

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

自立~要介護5

  • 安全確認や生活相談などの生活支援サービスを提供するバリアフリー構造の高齢者向け賃貸住宅
  • 介護が必要な場合、原則として外部の介護保険サービスなどを利用
  • 生活の自由度が高い

介護付き有料老人ホーム

  • 要支援1以上
  • 要介護1以上
  • 自立~要介護5
  • 自立のみ

※施設によって異なります

  • 介護や食事、生活支援などのサービスを受けることができる施設
  • 入居一時金と月額費用を支払う利用権方式が一般的
  • 初期費用が高くなることがある
  • 外出や外泊は許可制であることが多い

住宅型有料老人ホーム

自立~要介護5

  • 生活支援などのサービスが付いた高齢者向けの住居施設
  • 入居一時金と月額費用を支払う利用権方式が一般的
  • 初期費用が高くなることがある
  • 介護サービスは必要に応じて自分で選択して利用する
  • 1日のスケジュールが決まっていることが多い

シニア向け分譲マンション

自立~要支援2

  • 一般の分譲マンションと同じように不動産として買い取る住宅で、初期費用が高額になりやすい
  • 高齢者が生活しやすいようバリアフリー化されている
  • 自立した生活が行える高齢者向け住宅で、基本的に介護サービスの提供はなし
  • 生活の自由度が高い

※要介護度の目安は施設によって異なる。
 

介護付き有料老人ホームとの違い

介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームの中でも特定施設入居者生活介護の認定を受けた施設のことです。掃除や洗濯など身の回りのサポートのほか、介護サービス、健康管理といったサービスが提供されています。サービス付き高齢者向け住宅との違いは、主に下記の3点です。

  • 契約形態

    介護付き有料老人ホームの契約形態は利用権方式です。契約時にまとまった額の入居一時金(入居時に支払う家賃やサービス費の一部)を支払う必要があるため、初期費用が高くなりやすいのが特徴です。入居一時金に加え、月額利用料(家賃や管理費など)も支払う必要があります。
    一方、サービス付き高齢者向け住宅の場合、一般的な賃貸住宅と同様に賃貸契約を結びます。入居時に敷金がかかる場合があるものの、基本的に家賃や管理費などは月々支払います。よって、入居時にかかる総費用は介護付き有料老人ホームと比べて少額で済むケースがほとんどです。

      

  • 介護サービスの提供

    介護付き有料老人ホームは、介護サービスが充実しています。スタッフが24時間配置されており、食事や入浴、清掃などのサポートを受けることができます。
    これに対して、サービス付き高齢者向け住宅の場合は、利用する介護サービスを入居者自身が選択し、都度利用料を支払うのが一般的です。

      

  • 生活の自由度

    介護付き有料老人ホームでは、外出や外泊は許可制であるケースが一般的です。場合によっては外出許可が出ないこともあります。
    一方、サービス付き高齢者向け住宅は、一般的な賃貸住宅のような自由度が確保されています。外出や外泊も自由であるため、介護付き有料老人ホームと比べて生活の自由度が高い点が特徴です。
     

住宅型有料老人ホームとの違い

住居型有料老人ホームとは、家事のサポートや健康管理などのサービスを提供している有料老人ホームのことです。サービス付き高齢者向け住宅との主な違いとして、下記の3点が挙げられます。

  • 契約形態

    住宅型有料老人ホームの多くは、利用権方式をとっています。契約時に家賃の一部などをまとめて支払う入居一時金と、居住費や食費などを月々支払う月額利用料がセットになった契約形態です。施設によっては入居一時金が高額になるケースもあります。
    一方、サービス付き高齢者向け住宅は、賃貸契約を結ぶのが一般的です。入居時に敷金がかかる場合はありますが、家賃や管理費などは基本的に月額利用料として支払います。

      

  • サービス内容

    住宅型有料老人ホームは、配置すべきスタッフの人員が定められていません。施設長1人のみ配置が義務付けられているほかは、提供するサービス内容に合わせてスタッフを配置すればいいことになっています。
    そのため、サービス付き高齢者向け住宅では必ず受けられる、安全確認サービスや生活相談サービスが用意されているとは限らない点に注意が必要です。また、入浴や排泄といった介護が必要な場合は、外部の介護サービスを利用します。

      

  • 生活の自由度

    住宅型有料老人ホームは、1日のスケジュールが決まっていることが一般的です。例えば、食事や運動、レクリエーションなどのスケジュールが組まれていることがあります。自由時間も組み込まれていますが、サービス付き高齢者向け住宅と比べると自由度は低くなるでしょう。
     

シニア向け分譲マンションとの違い

シニア向け分譲マンションとは、高齢者が住みやすいようバリアフリー設計された分譲マンションのことです。介護サービスは外部業者を利用する点は、サービス付き高齢者向け住宅と共通しています。サービス付き高齢者向け住宅との主な違いは、下記の2点です。

  • 所有権の有無

    シニア向け分譲マンションは、購入することで所有権を得られます。購入後は資産となるため、家族に遺産として相続することも可能です。一方、サービス付き高齢者向け住宅はあくまでも賃貸物件のため、入居者に所有権はありません。このように、所有権の有無が両者の大きな違いです。
    注意点として、シニア向け分譲マンションの場合は、ほかの入居者にもそれぞれ所有権があるため、たとえ隣人とのあいだでトラブルなどが発生しても、お互いに転居が難しくなります。

      

  • 初期費用

    シニア向け分譲マンションは、入居時に数千万円以上の費用が必要となります。主に富裕層を対象としているため、娯楽施設なども併設されている物件が少なくありません。よって、一般的な分譲マンションと比べて価格が高く設定されている傾向があります。
    一方、サービス付き高齢者向け住宅の場合は、敷金や月額利用料のみで入居できるため、比較的初期費用を抑えて入居できる可能性があります。

 

5. サービス付き高齢者向け住宅の失敗しない選び方

サービス付き高齢者向け住宅を選ぶ際には、比較すべきポイントが多く、迷ってしまう人もいるかもしれません。まずは、下記の点を比較検討してみましょう。

<サービス付き高齢者向け住宅の比較ポイント>

  • 費用:初期費用、追加サービス料など
  • サービス内容:サービスの種類、自立型か介護型か、食事の内容など
  • 居住環境:間取り、娯楽スペースの有無など
  • 立地:近隣の店舗や医療機関、金融機関、家族の居住地との距離など

上記の情報をもとにサービス付き高齢者向け住宅の候補を出し、さらに細かい条件で絞り込んでいくのがおすすめです。
なお、希望する条件を満たすサービス付き高齢者向け住宅を探すには、信頼できるウェブサイトで検索するのがおすすめです。具体的には、下記のようなウェブサイトを活用するといいでしょう。

<サービス付き高齢者向け住宅を検索する際におすすめのウェブサイト>

6. サービス付き高齢者向け住宅は信頼できる情報をもとに探そう

サ高住に入居している高齢者夫婦

サービス付き高齢者向け住宅は、入居先によって受けられるサービスの種類や内容、費用などが異なるため、しっかりと調べて入居先を決める必要があります。サービス付き高齢者向け住宅の特徴を押さえた上で、信頼できるウェブサイトを参考に入居先を選びましょう。

サービス付き高齢者向け住宅に関するお悩みがあるときは、マイナビあなたの介護で相談することができます。LINEや電話で最適な施設探しから介護準備のお手続きのサポートなど幅広く対応します。

どんな些細なお悩みでも、お気軽にご相談ください。

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参考URL

サービス付き高齢者向け住宅について
サービス付き高齢者向け住宅の概要
サービス付き高齢者向け住宅とは
制度について
サービス付き高齢者向け住宅のご案内
「介護事業所・施設の選び方が本当にわかる本」(自由国民社)P97~100

監修

北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO

菊地 雅洋

北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO

菊地 雅洋

社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。

社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。

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