ご家族やご自身の介護を意識し始め、デイサービス(通所介護)の種類や費用が知りたいという人もいるのではないでしょうか?対象となる利用者や受けられるサービス内容も気になるところです。
今回は、デイサービスを利用する目的やデイサービスの種類のほか、費用、サービス内容についてわかりやすく解説します。デイサービスを利用するメリット・デメリットや、デイサービスをおすすめしたい人の傾向も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
介護サービスの種類
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ご家族やご自身の介護を意識し始め、デイサービス(通所介護)の種類や費用が知りたいという人もいるのではないでしょうか?対象となる利用者や受けられるサービス内容も気になるところです。
今回は、デイサービスを利用する目的やデイサービスの種類のほか、費用、サービス内容についてわかりやすく解説します。デイサービスを利用するメリット・デメリットや、デイサービスをおすすめしたい人の傾向も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
デイサービスとは、利用者がデイサービス事業所に通い、食事や入浴などの介護のほか、健康チェック、機能訓練などを日帰りで受けられるサービスのことです。デイサービスは、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送れるように支援することを目的としています。また、利用者の家族の介護負担を軽減することも目的のひとつです。
なお、一般的なデイサービスを利用できるのは、要介護1~5の人に限定されます。要支援1~2の人は、介護予防通所介護を利用することになります。
一般的なデイサービスは、事業所の定員に応じて種類が分かれています。具体的には、「大規模デイサービス(Ⅰ)(Ⅱ)」「通常規模デイサービス」「小規模デイサービス(地域密着型通所介護)」の3種類に分類されます。各事業所の利用者数の目安と主な特徴は下記のとおりです。
■一般的なデイサービスの種類
種類 | 利用者数 | 特徴 |
---|---|---|
大規模デイサービス (利用人数によってⅠとⅡの2区分に分かれる) | Ⅰ:1ヵ月あたりの延べ利用者数が750人超え900人以内 |
|
Ⅱ:1ヵ月あたりの延べ利用者数が900人超え | ||
通常規模デイサービス | 1ヵ月あたりの延べ利用者数が300人超え750人以下 |
|
小規模デイサービス(地域密着型通所介護) | 利用定員18人以下 |
|
大規模デイサービスとは、1ヵ月あたり750人超え900人以内、もしくは900人を超える人が利用できるデイサービスです。利用者、スタッフともに人数が多く、事業所内でのコミュニケーションが活発な傾向があります。さまざまな人と関わることが好きで、社交的な人に適しているタイプのデイサービスです。
大規模デイサービスの費用の目安は、下記のとおりです。
<大規模デイサービスⅠの費用の目安>
※厚生労働省「介護報酬の算定構造 介護サービス」
※利用者負担1割、7時間以上8時間未満の利用、1単位=10円の場合。
通常規模デイサービスは、デイサービスの中で最も事業所数が多いタイプ。事業所によって異なるさまざまなサービスを受けられるため、利用者のニーズに合った事業所を見つけやすい点がメリットです。
通常規模デイサービスの費用の目安は、下記のとおりです。
<通常規模デイサービスの費用の目安>
※厚生労働省「介護報酬の算定構造 介護サービス」
※利用者負担1割、7時間以上8時間未満の利用、1単位=10円の場合。
小規模デイサービス(地域密着型通所介護)は、定員18人以下の小規模なデイサービスです。利用者数が少ないため、利用者の状況に合わせた細やかなケアを受けることができます。
小規模デイサービスの費用の目安は、下記のとおりです。
<小規模デイサービスの費用の目安>
※厚生労働省「介護報酬の算定構造 介護サービス」
※利用者負担1割、7時間以上8時間未満の利用、1単位=10円の場合。
一般的なデイサービスのほかにも、認知症の人や特定の病気を患っている人のほか、リハビリが必要な人を対象としたデイサービスも存在します。特定の人を対象としたデイサービスには、「認知症対応型通所介護」「療養通所介護」「リハビリ特化型デイサービス」などがあります。
認知症対応型通所介護は、認知症の人を対象にした専門的なケアを提供するサービスです。認知症の利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送れるよう、日常生活上の支援や機能訓練といったサービスを受けられます。
なお、認知症対応型通所介護は要支援1~要介護5の人が利用でき、費用の目安は下記のとおりです。
<認知症対応型通所介護の費用の目安>
※厚生労働省「介護報酬の算定構造 介護サービス」
※利用者負担1割、7時間以上8時間未満の利用、1単位=10円の場合。
療養通所介護は、常に医療ケアを必要とする人を対象としたデイサービスです。難病や認知症のほか、脳血管疾患後遺症などによる重度の要介護者、またはがん末期患者などが利用できます。対象となる要介護度は要介護1~5の人で、費用の目安は下記のとおりです。
<療養通所介護の費用の目安>
※厚生労働省「介護報酬の算定構造 介護サービス」
※利用者負担1割、1単位=10円の場合。
リハビリ特化型デイサービスは、身体機能の回復や維持を支援することを目的としたデイサービスです。病気やケガによってリハビリが必要な人や、体力に不安がある人に対し、日常生活を問題なく送るための体力・筋力を養うサポートを行います。なお、介護報酬区分として「リハビリ特化型デイサービス」という名称が正式に示されているわけではありませんが、一般のデイサービスと分ける意味でこのように総称されています。
一般的なデイサービスは、日常生活の支援を目的として1日7~9時間程度の長時間運営が多いですが、リハビリ特化型デイサービスは、機能訓練や運動を主な目的としているため、比較的短時間でのサービス提供がされているのが特徴です。
なお、いずれの事業所においても、食費やおやつ代、おむつ代などは介護保険の対象外です。これらの費用は基本的に、全額負担になる点を覚えておきましょう。
デイサービスで受けられるサービスは、食事の提供や入浴の介助のほか、健康チェック、レクリエーションなど多岐にわたります。
ここからは、各サービスの具体的な内容を見ていきましょう。
食事の提供は、デイサービスの基本的なサービスのひとつです。事業所内で調理を行う事業所もあれば、購入した弁当を提供している事業所もあります。また、時間帯によってはおやつやお茶も提供されています。
自宅で食事を一人でするのとは違い、ほかの利用者とコミュニケーションをとりながら食事を楽しめる点は、デイサービスを活用するメリットといえるでしょう。
スタッフによる入浴介助も、デイサービスの基本的なサービスです。事業所によっては、横になったまま湯船に浸かれるストレッチャー付きの浴槽のほか、車椅子のように座った姿勢のまま入浴できる浴槽などを備えている場合もあり、さまざまな利用者にとって入浴しやすい工夫がされています。
一人での排泄が難しい人や、排泄機能に障害がある人は、デイサービスで排泄の介助を受けることができます。定期的なトイレへの誘導や、おむつの交換などにも対応しています。
デイサービスでは、体温や血圧、脈拍などの健康チェックも受けることができます。健康チェックで得た情報をもとに、食事の内容や機能訓練、レクリエーションの内容を変えるなどの判断が行われます。
デイサービスでは、機能訓練を受けることができます。機能訓練とは、利用者が自立した日常生活を営めるよう、身体機能や生活能力を向上させるための訓練です 。
具体的には、歩行訓練や軽い体操、ストレッチ、マッサージといった身体機能の訓練のほか、認知機能に関わるトレーニングを取り入れている事業所もあります。
デイサービスでは、ゲームやイベントなど、利用者の気分転換やストレス発散を目的としたレクリエーションが設けられています。適度に体を動かしたり、ほかの利用者といっしょにゲームやイベントに取り組んだりすることにより、身体機能や認知機能の維持および向上も期待できます。
デイサービスでの一日は事業所によって異なりますが、一例として下記のような流れになります。
■デイサービスのスケジュール
8:30 | 送迎 |
---|---|
9:30 | 健康チェック |
10:00 | 入浴 |
11:00 | 機能訓練や体操など |
12:00 | 昼食 |
14:00 | レクリエーションや体操など |
15:00 | おやつ |
16:00 | 送迎 |
送迎は通所介護のスタッフが行うため、利用者の家族が事業所へ出向く必要はありません。
デイサービスには、最低限配置するスタッフの人数や種類が定められています。下記のとおり、スタッフの役職や役割、配置すべき人数などが細かく決められています。
■デイサービスにおけるスタッフの種類や人数
スタッフ | 配置基準 |
---|---|
管理者 | 専従の常勤者1人(兼務可) |
生活相談員(社会福祉士など) | サービス提供時間に応じて専従で1人以上 |
看護職員(看護師・准看護師) | 専従で1人以上(提供時間帯を通じて専従する必要はなく、訪問看護ステーションなどとの連携も可能) |
介護職員 | 1人以上(利用者15人を超える場合は、1人増えるごとに0.2人以上の介護職員の配置が必要) |
機能訓練指導員(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あんまマッサージ指圧師) | 専従で1人以上 |
※厚生労働省「通所介護及び療養通所介護 」
※生活相談員または介護職員のうち1人以上は常勤とする。
※定員10人以下の地域密着型通所介護事業所の場合は、看護職員または介護職員のいずれか1人が在籍とする。
デイサービスを利用することで、身体機能の維持・向上や、社会との関わりを持てるなど、さまざまなメリットを得ることができます。具体的なメリットは下記のとおりです。
デイサービスでは、介護や看護の専門家が利用者の健康管理に携わるため、体調の変化を早めに察知できます。利用者や家族が気づいていない体調の変化に気づくことで、健康維持をしやすくなる点が大きなメリットです。また、機能訓練やアクティビティが行われるため、身体機能や認知機能の維持・向上にも役立ちます。
デイサービスでは、スタッフやほかの利用者と交流する機会があるため、孤立感を抱きにくいというメリットもあります。さまざまな人と会話を交わし、社会との関わりを持ち続けることは、心身の健康を保つ上で重要なポイントです。
デイサービスを利用することによって、利用者の家族が介護から離れる時間ができて、心身の疲れを取ることができます。特に、デイサービスで食事や入浴の介助が受けられると、家族の負担は大幅に軽減するでしょう。
デイサービスにはデメリットとなりえる面もあります。利用者の性格や利用する事業所によって状況は異なりますが、一般的に想定されるデメリットは下記のとおりです。
デイサービスのほかの利用者や事業所の雰囲気が合わない場合、通所がストレスの原因となる可能性があります。デイサービスを利用する前に見学や利用体験を行い、利用者が快適に感じる事業所かどうかを確認しておくといいでしょう。
ほとんどのデイサービスは、利用回数ごとに料金が発生するため、利用回数が多くなると費用面での負担が大きくなりかねません。また、食事やアクティビティなどにかかる費用には介護保険が適用されないため、利用回数が多いと費用がかさむ可能性があります。
ここからは、デイサービスをおすすめしたい人の特徴について解説します。ご自身やご家族のデイサービスの利用を検討している人は参考にしてみてください。
日常生活における食事や入浴、排泄など、基本的な動作を自力で行うのが難しくなってきた人には、デイサービスの利用をおすすめします。デイサービスでは介護を専門とするスタッフの介助が受けられるほか、機能訓練などによって身体機能の維持・向上も期待できるからです。
外出する機会が少なくなり、家族以外との交流が限られている人にとって、デイサービスの利用は社会とのつながりを感じられる機会となります。ほかの利用者との食事やレクリエーションなどを通じて、孤独感を解消できるでしょう。
自宅での食事の栄養バランスが偏りがちな人も、デイサービスの利用がおすすめです。常に栄養バランスが考慮された食事が提供されるので、自宅での食事づくりの悩みから解放されます。
家族の介護負担を減らしたい人にも、デイサービスの利用をおすすめします。要介護度によっては常時介護が必要な場合もあり、介護は家族にとって大きな負担となりかねません。家族が介護疲れに陥らないようにするためにも、デイサービスを活用して心身を休める時間を確保してみてはいかがでしょうか。
デイサービスを利用するには、いくつかの手続きが必要です。手続きの流れは下記のとおりです。
<デイサービスを利用するまでの流れ>
※ケアプランは自己作成も可能です。また、サービス費用の全額を事業所に支払って、後日自己負担分を除く費用を市町村窓口で返還を受ける償還払いサービスを受ける場合は、ケアプランは必要ありません。
デイサービスには多くの事業所があり、事業所ごとに受けられるサービスが異なります。
デイサービスを利用する際には、介護サービスとしての特徴やメリット・デメリットを把握しておくことが重要です。今回ご紹介したサービス内容などを参考に、快適に利用できるデイサービスを選びましょう。
参考URL
公表されている介護サービスについて
通所介護(デイサービス)とは
「介護事業所・施設の選び方が本当にわかる本」(自由国民社)P64~65
北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO
菊地 雅洋
北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO
菊地 雅洋
社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。
社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。
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