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小規模デイサービス(地域密着型通所介護)とは?サービス内容を解説

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デイサービス(通所介護)には、大きく分けて小規模デイサービスと大規模デイサービスの2種類があります。地域密着型通所介護とも呼ばれる小規模デイサービスとはどのようなサービスなのか、気になっている人も多いのではないでしょうか。

今回は、小規模デイサービスの特徴や主なサービス内容、費用のほか、メリット・デメリットなどについて解説します。

1. 小規模デイサービスとは、利用定員が18人以下の通所介護のこと 

デイサービスの送迎と車いす

小規模デイサービスとは、利用定員18人以下の通所介護のことで、介護報酬上の分類では「地域密着型通所介護」が正式名称です。食事や入浴など日常生活上の支援や、生活機能訓練などの日帰りサービスを提供します。小規模デイサービスを利用できるのは、要介護1以上の認定を受けた人のみで、要支援の人は利用できない点に注意しなければなりません。

また、小規模デイサービスを管轄しているのは市町村です。これに対して、1日の利用人数が18名を超える通常規模以上のデイサービスについては、都道府県が管轄しています。

 

2. 小規模デイサービスの管轄が市町村に変更された背景 

利用定員18人以下の小規模デイサービスが地域密着型通所介護と位置づけられ、市町村の管轄へと移行することとなった背景として、地域包括ケアシステムの推進が挙げられます。利用定員18人以下のデイサービスは、2016年3月まで通常規模のデイサービスと同様に都道府県が管轄していました。

地域包括ケアシステムとは、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい生活を続けつつ、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制のことです。国は、団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年を目処に、地域包括ケアシステムの構築を目指しています。小規模デイサービスの管轄を市町村に変更し、きめ細かいサービスを受けられる体制にしたことも、地域包括ケアシステムの構築を実現するための取り組みの一環です。

 

3. 大規模デイサービスとの違い

小規模デイサービスと大規模デイサービスは、利用者やスタッフとのコミュニケーションの点でそれぞれ異なる傾向があります。

1日あたりの利用者数がおよそ25名以上の事業所は、大規模デイサービスと呼ばれています。大規模デイサービスは利用者数もスタッフ数も多いことから、小規模デイサービスと比べてコミュニケーションが活発になりやすい点が特徴です。スタッフの役割が細分化されており、それぞれの職務に専念できるよう人員が配置されている傾向があります。

一方、それぞれの利用者に合わせて細やかに対応できることが小規模デイサービスの強みです。1日の利用者数が大規模デイサービスよりも少ないことから、一人ひとりのニーズに応じてサービスを提供できます。顔見知りのスタッフや利用者が中心となるため、よりアットホームな雰囲気が感じられるのが、小規模デイサービスといえます。

 

4. 小規模デイサービスの主なサービス内容

小規模デイサービスでは、さまざまなサービスを受けることが可能です。主なサービス内容としては、下記の6点が挙げられます。

■小規模デイサービスで受けられるサービス内容

小規模デイサービスで受けられるサービス内容

食事の提供

小規模デイサービスでは、昼食を中心に食事の提供サービスを受けることが可能です。場合によっては調理場を備えている事業所もあり、栄養バランスとおいしさを両立させたメニューが提供されます。小規模ならではの利点を活かして、利用者ごとの好みや健康状態を踏まえたメニューを提供する事業所もあります。食事制限やアレルギー対応に関しても考慮してもらえる事業所であれば、利用者も家族も安心でしょう。

小規模デイサービスは1日の利用定員が限られていることから、食事の時間も少人数で過ごせます。顔見知りの利用者やスタッフとの会話を楽しみながら食事をすることできます。
 

入浴の介助

入浴の介助も小規模デイサービスで受けられる主なサービスのひとつです。背もたれ付きの椅子や手すり付きの浴槽など、介助しやすい設備が整っていて、自宅よりも安心して入浴できる事業所もあります。

小規模事業所ならではの長所を活かし、利用者ごとの特徴や健康状態を詳細に把握しているスタッフに対応してもらうことも可能です。デイサービスで入浴を済ませて帰宅すれば、家族が入浴を介助する負担が軽減されます。
 

機能訓練

小規模デイサービスでは、日常生活に必要な動作を維持し、向上を図るための機能訓練も実施されています。歩行訓練や口腔訓練、ラジオ体操といった身体面の訓練に加え、脳トレなどの頭を使う訓練がメニューに取り入れられている事業所も少なくありません。

利用者とスタッフの距離が近い小規模デイサービスであれば、一人ひとりに合った訓練のメニューをきめ細かく提案・管理してもらえる事業所もあります。スタッフやほかの利用者とともに楽しみながら機能訓練を続けることにより、健康維持に役立ちます。
 

レクリエーション

小規模デイサービスでは、レクリエーションも実施されています。実施されているレクリエーションの内容は、事業所によってさまざまです。ほかの利用者といっしょに楽しめるゲームをはじめ、季節によってはお花見や事業所内でのお祭りなどを行う事業所もあります。事業所を見学・体験する際には、年間を通じてどのようなレクリエーションが催されているのかも確認しておきましょう。

レクリエーションへの参加は利用者にとって気分転換やストレス発散になるだけでなく、身体機能の維持・向上にも役立ちます。利用者にとってデイサービスに通う楽しみのひとつになるケースもあることから、通所介護事業所を選ぶ際には重視しておきたいポイントです。
 

健康チェック

小規模デイサービスでは、体温や脈拍、血圧といった健康状態のチェックをはじめ、日々の様子をスタッフが観察してアドバイスをもらえます。デイサービスの利用を通じて得られたアドバイスは、家庭での介護にも役立つかもしれません。

小規模デイサービスであれば、顔見知りのスタッフが利用者の日々の様子をきめ細かく観察してくれるため、日常的に様子を見ているスタッフだからこそ気づける変化を教えてもらえる可能性もあります。
 

送迎

小規模デイサービスでは、自宅と事業所の往来について、送迎サービスを利用できます。事業所のスタッフが運転するため、家族が車の免許を持っていない場合や、運転に不安がある場合にも安心してデイサービスを利用可能です。

小規模デイサービスの送迎では、利用者の人数が限られているため、長時間乗車することもありません。手間なく移動ができるだけでなく、利用者にも移動の負担がかかりにくいといえます。

 

5. 小規模デイサービスの費用

ブタの貯金箱にお金を入れる手

小規模デイサービスの費用には介護保険が適用され、負担は軽減されます。自己負担分の利用料金は要介護度とサービスの利用時間によって異なり、厚生労働省によって費用の目安が定められているため、費用を知りたい場合は厚生労働省の基準を参考にしてください。なお、入浴サービスを利用した場合や、個別機能訓練を受けた場合には費用の加算があります。ほかにも、食事代やおやつ代、おむつ代などは実費負担となる点を押さえておきましょう。費用の設定は事業所によっても異なるため、利用する事業所を検討する際には、具体的な費用を項目ごとに確認するのがおすすめです。

厚生労働省が定める、1回あたりの料金の目安は下記のとおりです。

■利用時間が3時間以上4時間未満の場合の利用料金の目安

要介護度

単位数

1割の料金

2割の料金

3割の料金

要介護1

416

416円

832円

1,248円

要介護2

478

478円

956円

1,434円

要介護3

540

540円

1,080円

1,620円

要介護4

600

600円

1,200円

1,800円

要介護5

663

663円

1,326円

1,989円

■利用時間が4時間以上5時間未満の場合の利用料金の目安

要介護度

単位数

1割の料金

2割の料金

3割の料金

要介護1

436

436円

872円

1,308円

要介護2

501

501円

1,002円

1,503円

要介護3

566

566円

1,132円

1,698円

要介護4

629

629円

1,258円

1,887円

要介護5

695

695円

1,390円

2,085円

■利用時間が5時間以上6時間未満の場合の利用料金の目安

要介護度

単位数

1割の料金

2割の料金

3割の料金

要介護1

657

657円

1,314円

1,971円

要介護2

776

776円

1,552円

2,328円

要介護3

896

896円

1,792円

2,688円

要介護4

1,013

1,013円

2,026円

3,039円

要介護5

1,134

1,134円

2,268円

3,402円

■利用時間が6時間以上7時間未満の場合の利用料金の目安

要介護度

単位数

1割の料金

2割の料金

3割の料金

要介護1

678

678円

1,356円

2,034円

要介護2

801

801円

1,602円

2,403円

要介護3

925

925円

1,850円

2,775円

要介護4

1,049

1,049円

2,098円

3,147円

要介護5

1,172

1,172円

2,344円

3,516円

■利用時間が7時間以上8時間未満の場合の利用料金の目安

要介護度

単位数

1割の料金

2割の料金

3割の料金

要介護1

753

753円

1,506円

2,259円

要介護2

890

890円

1,780円

2,670円

要介護3

1,032

1,032円

2,064円

3,096円

要介護4

1,172

1,172円

2,344円

3,516円

要介護5

1,312

1,312円

2,624円

3,936円

■利用時間が8時間以上9時間未満の場合の利用料金の目安

要介護度

単位数

1割の料金

2割の料金

3割の料金

要介護1

783

783円

1,566円

2,349円

要介護2

925

925円

1,850円

2,775円

要介護3

1,072

1,072円

2,144円

3,216円

要介護4

1,220

1,220円

2,440円

3,660円

要介護5

1,365

1,365円

2,730円

4,095円

※参考:WAM NET「介護給付費単位数等サービスコード表(案) I-資料2(4)(令和6年6月・8月施行版)

 

6. 小規模デイサービスのメリット

MELITと書かれたブロック

小規模デイサービスの主なメリットは、1日の利用者数が限られているため、スタッフや利用者との距離が近いことです。少人数の事業所だからこそ、一人ひとりの状況に応じたきめ細かい対応が可能です。顔見知りの利用者同士で気軽に会話を交わせるため、利用者がリラックスして過ごしやすい事業所といえます。

 

7. 小規模デイサービスのデメリット

小規模サービスにはメリットがある反面、デメリットもあります。主なデメリットとして挙げられるのは下記の2点です。

<小規模デイサービスのデメリット>

  • 少人数で人間関係が濃密になるため、スタッフやほかの利用者との相性次第ではストレスを感じる可能性がある
  • 利用料が通常の通所介護と比べて高め

同じ顔ぶれのスタッフや利用者と近い距離で濃密に関わっていくことは、小規模デイサービスのデメリットにもなりえます。相性が良くないスタッフや利用者がいる場合、顔を合わせることがストレスの原因になる可能性があります。アットホームな雰囲気の事業所である一方で、コミュニティに馴染めるかどうかによって居心地の良さが左右されるため、利用開始直後はスタッフやほかの利用者との関係を注視することが必要です。

また、通常のデイサービスよりもきめ細かいサービスが受けられる反面、利用料が高めに設定されている点もデメリットのひとつです。小規模デイサービスを利用するメリットを踏まえた上で、利用料の詳細も確認して、利用するかどうかを判断しましょう。

 

8. 小規模デイサービスをおすすめしたい人

デイサービスでレクをする高齢者

小規模デイサービスの利用をおすすめしたいのは、下記のような条件の事業所を希望している人です。

<小規模デイサービスをおすすめしたい人>

  • 人見知りで大人数が苦手な人
  • 送迎時間をできるだけ短くしたい人

スタッフや利用者の人数が限られている小規模デイサービスは、人見知りで大人数が苦手な人に適しています。大規模デイサービスのように大勢でレクリエーションを賑やかに実施することはないものの、いつも同じ顔ぶれのスタッフや利用者と落ち着いて交流できます。

また、自宅近辺で送迎時間がかからない事業所を探している人にも、小規模デイサービスはおすすめです。地域密着型の事業所であるため、車に乗っている時間が苦手な人でも、少ない負担で事業所を利用できます。

小規模デイサービスには、通常規模のデイサービスにはないさまざまなメリットがあります。地域密着型のサービスを利用したい人、顔見知りのスタッフや利用者とリラックスした雰囲気の中で過ごしたい人にとって、小規模デイサービスは有力な選択肢のひとつです。


参考URL

地域密着型通所介護(小規模デイサービス)
どんなサービスがあるの? - 地域密着型通所介護
地域密着型サービスの概要
地域密着型通所介護とは

監修

北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO

菊地 雅洋

北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO

菊地 雅洋

社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。

社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。

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