将来的に家族や自分が老人ホームへ入居する可能性があるものの、入居に必要な手続きを詳しく調べている時間がないという人も多いはずです。事前に準備しておくべきことがあれば、今から準備を進めておきたいという人もいるでしょう。
この記事では、老人ホームに入居する際に必要な手続きの流れをわかりやすく解説します。契約の際に必要な書類や契約時の注意点も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
介護サービス探しの第一歩
介護の基礎知識
老人ホームの入居手続きの流れは?必要書類や契約時の注意点も解説記事をシェアする
将来的に家族や自分が老人ホームへ入居する可能性があるものの、入居に必要な手続きを詳しく調べている時間がないという人も多いはずです。事前に準備しておくべきことがあれば、今から準備を進めておきたいという人もいるでしょう。
この記事では、老人ホームに入居する際に必要な手続きの流れをわかりやすく解説します。契約の際に必要な書類や契約時の注意点も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
初めに、老人ホームに入居するまでの大まかな流れを把握しておきましょう。入居までに進めておくべき主な準備や手続きは次のとおりです。
老人ホームへの入居に際して、まず「要介護認定」を申請する必要があります。要介護認定とは、介護サービスの必要度を判断する基準のことです。要支援1~2、要介護1~5の7段階に分けられており、段階に応じて入居できる介護施設や受けられるサービスが異なります。
■要介護認定区分の目安
区分 | 目安 |
---|---|
自立 (非該当) | 歩行や起き上がりなどの日常生活上の基本的動作を自分一人で行うことが可能であり、かつ、薬の内服や電話の利用などの手段的日常生活動作を行う能力もある。 |
要支援1 | 排泄や食事はほとんど自分一人でできるが、要介護状態とならないように身の回りの世話の一部に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とし、適切にサービスを利用すれば改善の見込みが高い。 |
要支援2 | 排泄や食事はほとんど自分一人でできるが、身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とし、適切にサービスを利用すれば改善の見込みが高い。 |
要介護1 | 排泄や食事はほとんど自分一人でできるが、身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。 |
要介護2 | 排泄や食事に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とすることがあり、身の回りの世話の全般に何らかの介助を必要とする。また、歩行や移動の動作に何らかの支えを必要とする。 |
要介護3 | 身の回りの世話や排泄が自分一人ではできない。また、移動などの動作や立位保持が自分一人ではできないことがある。さらに、いくつかの問題行動や理解の低下が見られることがある。 |
要介護4 | 身の回りの世話や排泄が自分一人ではほとんどできない。移動などの動作や立位保持が自分一人ではできない。多くの問題行動や全般的な理解の低下が見られることがある。 |
要介護5 | 排泄や食事が自分一人ではほとんどできない。身の回りの世話や移動などの動作や立位保持が自分一人ではほとんどできない。多くの問題行動や全般的な理解の低下が見られることがある。 |
※上に示した状態は平均的なものであり、完全に一致しないことがある。
※総務省「要介護認定等の仕組み」
※埼玉県朝霞市公式ホームページ「要支援・要介護度の目安」
老人ホームは多種多様な形態があり、受けられるサービスも施設ごとにさまざまです。入居先の候補を絞り込むには、希望条件を整理しておく必要があります。
例えば、入居費用と月額費用、立地条件、医療・リハビリの体制、受けられる介護サービスの内容、提供される食事の内容などの条件が挙げられます。まずは絶対に譲れない条件を決め、次に可能であれば叶えたい条件を書き出して整理していくといいでしょう。
希望条件に合う老人ホームを探し、資料を請求します。インターネットで探す際には、信頼できそうなウェブサイトで情報を収集していくことが大切です。具体的には、下記のようなウェブサイトを使うことをおすすめします。
<老人ホームを探す際におすすめのウェブサイト>
老人ホームは、運営元や要介護度のほか、設備・サービスの種類によって大きく次の9種類に分かれます。
■老人ホームの主な種類
種類 | 要介護度 | 特徴 | |
民間施設 | 介護付き有料老人ホーム | 自立~要介護5 |
|
住宅型有料老人ホーム | 自立~要介護5 |
| |
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 自立~要介護5 |
| |
認知症高齢者グループホーム | 要支援2~要介護5 |
| |
シニア向け分譲マンション | 自立~要支援2 |
| |
公的施設 | ケアハウス(軽費老人ホーム) | 自立~要介護5 |
|
特別養護老人ホーム(特養) | 要介護3~要介護5 |
| |
介護老人保健施設 | 要介護1~要介護5 |
| |
介護医療院(介護療養型医療施設) | 要介護1~要介護5 |
|
※公益社団法人全国有料老人ホーム協会「有料老人ホーム選び方マニュアル」
※東京都福祉局「あんしん なっとく 有料老人ホームの選び方」
※高齢者住まい事業者団体連合会「高齢者向け住まいの選び方ガイド」
老人ホームに入居を決める前に、施設の見学は必ず行ってください。老人ホームの周辺環境や雰囲気など、実際に見てみないとわからない点が多くあるからです。気になっている複数の老人ホームにまとめて見学を申し込んでおくことをおすすめします。見学時間は限られているので、事前に聞きたいことをリストにまとめておけば、見学の際に不明点や疑問点を漏れなく質問して解決することができます。
見学当日に主に確認すべき事項は、下記のとおりです。
<老人ホーム見学時の主な確認事項>
入居前の不安を解消するために、入居体験の利用もおすすめです。老人ホームに入居体験することで入居後と同じサービスが受けられるため、資料や見学ではわからなかった施設の雰囲気や生活の様子が体感できるでしょう。自分に合った老人ホームを見つけるためには、一度だけでなく、曜日や季節を変えて宿泊するのもおすすめです。
老人ホームに見学や入居体験をしてみて、施設が気に入ったら入居申込みを行いましょう。入居申込書に記入を行い、郵送やFAXで施設に送ります。施設によっては、入居申込みの際に申込金が発生する場合もあります。
申込書を送付した後、施設の職員との面談を行い、入居者の健康状態や生活習慣などに関するヒアリングを受けます。面談後、施設側が入居審査を実施し、入居に必要な条件をクリアしていると判断されれば、入居が受け入れられます。
入居審査の通過連絡を受けたら、契約へと進みます。契約前には、重要事項説明書などの書類にしっかりと目を通しましょう。
特に、サービス内容や運用方針については、一時金や月額費用の範囲内で受けられるサービスと、別途費用が必要となるサービスをよく確認しておくことが重要です。また、提携医療機関のサービスや事故発生時の対応方法などに関しては、認識に相違があると後でトラブルの原因にもなりかねません。
そのほかにも、契約前には下記のような書類を確認することがあります。
<契約前に確認する書類>
入居契約を締結したら、入居日を決定し、それに合わせて引越しなどのスケジュールを組みます。入居までには、住所や年金関連、健康保険関係などの変更手続きを忘れずに行いましょう。
転居にあたり、変更が必要な主な手続きは下記のとおりです。
<転居にあたり変更が必要な主な手続き>
また、老人ホームに持ち込む荷物についても整理を行います。入居者本人が普段使用している家財道具のうち、持ち込むものを選別・整理し、処分もしくは老人ホームへの搬入の手配など整えてください。なお、施設によって用意されている備品の種類が異なるため、持ち物をよく確認する必要があります。
老人ホームの入居手続きを進める中で、いくつか注意しておきたいポイントがあります。入居後のトラブルに発展するのを防ぐためにも、次の2点については必ず押さえておきましょう。
契約の際には、老人ホームから説明を受ける重要説明事項をしっかりと確認することが大切です。
重要説明事項とは、契約内容のうち特に伝えておくべき事項をまとめた書類のことです。施設の概要や料金、サービスの内容、職員の体制といった施設を利用する上で、必ず知っておくべき事項がまとめられています。重要説明事項を項目ごとにじっくり読み込み、不明点があれば必ず施設に問い合わせましょう。
特に、費用に関する事項は、十分に確認しておく必要があります。例えば、一時入居金や月単位で支払う利用料については、金額と対象となるサービスの内容を明確にし、曖昧な点を残さないようにしてください。
入居一時金を支払う場合には、償却の仕組みも併せて確認しておきましょう。入居一時金は、入居する際に一括で支払う金額のことで、施設の管理やサービス提供のための初期費用として使用され、その後は設定された償却期間内で残りの入居一時金が使われていきます。
入居一時金の一部は、入居者が施設を退去する際に返金されることがあります。ただし、返金される金額や条件は施設によって異なるので、返金条件や償却方法などを理解しておくことが大切です。
老人ホームに入居する際には、住民票の異動を検討する必要があります。一般的には、長期にわたって入居する場合は住民票を異動します。ただし、住民票の異動は義務ではないので、住民票を移すことによるデメリットが大きいようなら、無理に異動しなくても構いません。
例えば、住民票の異動に伴って介護保険料が現状よりも高くなったり、元の居住地で自治体が提供しているサービスを受けられなくなったりするなら、住民票を異動しないのもひとつの選択肢です。
なお、住民票の異動による介護保険料の変動を防ぐ方法もあります。「住所地特例制度」を利用することで、住民票を移す前の自治体で適用されていた介護保険料が継続されます。
現在の居住地と入居する老人ホームの所在地の自治体が異なる場合、それぞれの介護保険料を比較しておきましょう。
将来的に家族や自分が老人ホームに入る可能性があっても、老人ホームを選ぶ際に何から始めたらいいかわからないという人も多いはずです。しかし、大まかな流れを理解し、それぞれの段階で必要な手続きや書類などを把握すれば、入居手続きをスムーズに進められます。
人気の老人ホームは入居できるまでに時間がかかる場合があるので、数年以内に老人ホームの利用を考えている人は、今から準備を始めましょう。
入居する老人ホームを探す際には、信頼できるウェブサイトを利用し、情報を収集する必要があります。マイナビの「◯◯(サービス名称)」は、◯◯や◯◯といった特徴を備えた検索サービスです。◯◯や◯◯、◯◯といった機能も活用できますので、老人ホームを探す際にはぜひ「◯◯(サービス名称)」をご活用ください。
参考URL
やることチェックリスト
【図解でよくわかる】老人ホーム入居までの流れ(見学・体験入居・契約)
【はじめての方へ】老人ホームとの契約、必要な書類とは
老人ホーム入居時は住民票を移すの?住所変更のメリットや手続き・移さない場合も紹介
高齢者施設への入居申し込みを解説〜手順や必要書類・持ち物など〜
老人ホーム入居の流れ 9つのステップ
老人ホーム・介護施設の入居条件は?年齢や介護度・収入など確認事項を全て紹介
北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO
菊地 雅洋
北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO
菊地 雅洋
社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。
社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。
記事をシェアする