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老人ホームの正しい探し方は?ポイントや入居までのフローを徹底解説

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自身や家族が老人ホームに入居することを検討しているものの、施設数が非常に多く、設備やサービス内容も多岐にわたるため、入居先を決めかねている人も多いのではないでしょうか。

自分や家族に合った老人ホームに入居するには、老人ホームの正しい探し方を知っておく必要があります。

今回は、老人ホームを探す際のポイントや入居の流れについてわかりやすく解説します。老人ホームのおすすめの調べ方にもふれていますので、ぜひ参考にしてください。

1. 老人ホームの種類

老人ホーム選びに悩む女性

老人ホームには、大きく分けて民間施設と公的施設の2種類があります。さらに、運営元や要介護度のほか、設備・サービスの種類によっていくつかの種類に分かれています。老人ホームの主な種類は下記のとおりです。

■老人ホームの主な種類

種類

要介護度

特徴

民間施設

介護付き有料老人ホーム

自立~要介護5

  • 介護や食事、生活支援などのサービスを受けることができる施設
  • 料金や規模、対象となる要介護度などは施設によって異なる

住宅型有料老人ホーム

自立~要介護5

  • 生活支援などのサービスが付いた高齢者向けの住居施設
  • 介護サービスは必要に応じて自分で選択して利用する

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

自立~要介護5

  • 安否確認や生活相談などの生活支援サービスを提供するバリアフリー構造の高齢者向け住宅
  • 介護が必要な場合、原則として外部の介護保険サービスなどを利用

認知症高齢者グループホーム

要支援2~要介護5

  • 認知症の人が5~9人の少人数で共同生活を送りながら、介護や身の回りの世話などを受ける施設
  • グループホームのスタッフが介護を行う
  • 家庭的な環境で生活できるのが特徴

シニア向け分譲マンション

自立~要支援2

  • 自立した生活が行える高齢者向け住宅(介護サービスの提供はなし)
  • 高齢者が生活しやすいようバリアフリー化されている
  • ジムや温泉、シアターなどの施設が充実している場合もある

公的施設

ケアハウス(軽費老人ホーム)

自立~要介護5

  • 独立して生活することに不安がある低所得高齢者が、低額な料金で利用できる施設
  • 食事の提供や入浴など身の回りの世話を受けられる
  • 介護サービスの有無は施設により異なる

特別養護老人ホーム(特養)

要介護3~要介護5

  • 常時介護を必要とする人向けの、生活全般の介護を受けられる施設
  • 公的な施設の中でも数が多く、比較的費用が安い
  • 看取りの対応も可能

介護老人保健施設

要介護1~要介護5

  • 症状が慢性期にある高齢者が、リハビリや看護のほか、介護、機能訓練、医療、日常生活の世話を受けられる施設
  • 3ヵ月ごとにケアプランを作成し 3ヵ月ごとに在宅生活の可否検討を行い、自宅での生活への復帰を目指す

介護医療院(介護療養型医療施設)

要介護1~要介護5

  • 長期にわたる療養を必要とする高齢者のための、一定基準を満たした施設
  • 介護やそのほかの世話、機能訓練、医療を受けることができる

※公益社団法人全国有料老人ホーム協会「有料老人ホーム選び方マニュアル
※東京都福祉局「あんしん なっとく 有料老人ホームの選び方
※高齢者住まい事業者団体連合会「高齢者向け住まいの選び方ガイド

 

2. 老人ホームを選ぶ際のポイント

老人ホームを決定する夫婦

老人ホームを選ぶ際には、費用や立地のほか、食事、施設・設備など、いくつか確認しておきたいポイントがあります。ここからは、主なポイントについて解説します。

費用

老人ホームの入居金や月額費用は、入居する施設によって大きく異なります。そのため、無理なく支払える金額の施設かどうかを確認した上で、資金計画を立てることが大切です。

老人ホームなどの介護施設の費用は、要介護度や施設の種類、住環境(個室、相部屋など)によって自己負担額が変わります。ただし、施設によっては居住費や食費、管理費など、介護保険の対象外となる費用が多く発生するケースもあります。特に、民間施設では費用がかさみがちなので注意してください。

下記は、公的施設における費用の一例です。

<要介護3、自己負担割合1割の人が、特別養護老人ホームを利用する場合の月額費用>

  • 介護サービス費用:2万1,960円(※)
  • 居住費:2万5,650円(855円/日×30日)
  • 食費:4万3,350円(1,445円/日×30日)
  • 生活費:1万円
  • 合計:10万960円

※多床室、要介護3、732単位で自己負担金額を計算(1単位=10円の場合):732単位×30日×10円×0.1(1割)=2万1,960円
 

立地

老人ホームを選ぶにあたって、立地条件は重要なポイントのひとつです。まずは、入居する本人にとって住みやすい場所であることを優先しましょう。

また、入居後は家族が定期的に通うことになるため、家族にとってアクセスが良い場所にある施設が理想です。さらに、最寄り駅からのアクセスや近隣の治安、商業施設の有無といった点も確認します。
 

食事

老人ホームで提供される食事の内容も、必ず確認しておきたいポイントです。食事の味付けが入居者の好みに合うか、また、管理栄養士、栄養士によって食事の管理がされているかどうかをチェックしましょう。味付けが口に合わずに食欲が落ちたり、栄養バランスが偏った食事をとって体調を崩したりするのは避けたいところです。

入居前に試食を行い、食事の内容や味付けを確認しておくことをおすすめします。
 

施設・設備

老人ホームの施設や設備のチェックも欠かせません。バリアフリー設備や浴室設備の充実度、車椅子対応の部屋になっているかなどを確認してください。

また、家族の面会が頻繁にある人は、家族用の居場所や宿泊場所があるかどうかもチェックしましょう。
 

入居者・スタッフの雰囲気

老人ホームの入居者やスタッフの雰囲気も重要な要素です。老人ホームの見学や入居体験を行い、入居者に対するスタッフの受け答えやスタッフ同士の会話の様子などをチェックし、気になる点がないか確認することをおすすめします。

施設の普段の様子を知るには、できるだけ利用者やスタッフが多い時間帯に見学するといいでしょう。
 

介護の体制や医療サービスの有無

老人ホームの介護の体制や医療サービスの有無なども、必ずチェックしておきたいポイントです。まずは、介護スタッフの体制を確認します。老人ホームには、配置が必要なスタッフの人数が定められており、例えば介護付き有料老人ホームの場合、入居者3人につき介護スタッフを最低でも1人以上配置する必要があります。この基準を上回る数のスタッフが配置されている施設であれば、介護体制に余裕があるということです。

医療サービスについては、医療機関との提携や看護職員の有無のほか、緊急時の対応、看取りの可否といった点を確認しておくことをおすすめします。
 

入居・退去条件

老人ホームは、施設によって対象となる要介護度が異なります。

将来的に要介護度が上がったり、医療依存度が高まったりした場合でも入居を継続できるか、あらかじめ確認しておくことが大切です。
 

3. 老人ホームに入居するには?

老人ホームに入居するためには、要介護認定の申請から契約・入居など、正しい順番で進める必要があります。ここからは、老人ホームに入居するまでのフローを解説します。

①事前準備を行う

老人ホームに入居するには、要介護認定の申請が必要です。これは、介護サービスの必要度を判断する指標で、要支援1~2、要介護1~5の7段階に分けられています。段階ごとに入居可能な介護施設や受けられる介護サービスが異なります。

要支援と要介護の各区分の目安は下記のとおりです。

■要介護認定区分の目安

区分

目安

自立

(非該当)

歩行や起き上がりなどの日常生活上の基本的動作を自分一人で行うことが可能であり、かつ、薬の内服や電話の利用などの手段的日常生活動作を行う能力もある。

要支援1

排泄や食事はほとんど自分一人でできるが、要介護状態とならないように身の回りの世話の一部に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とし、適切にサービスを利用すれば改善の見込みが高い。

要支援2

排泄や食事はほとんど自分一人でできるが、身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とし、適切にサービスを利用すれば改善の見込みが高い。

要介護1

排泄や食事はほとんど自分一人でできるが、身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。

要介護2

排泄や食事に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とすることがあり、身の回りの世話の全般に何らかの介助を必要とする。また、歩行や移動の動作に何らかの支えを必要とする。

要介護3

身の回りの世話や排泄が自分一人ではできない。また、移動などの動作や立位保持が自分一人ではできないことがある。さらに、いくつかの問題行動や理解の低下が見られることがある。

要介護4

身の回りの世話や排泄が自分一人ではほとんどできない。移動などの動作や立位保持が自分一人ではできない。多くの問題行動や全般的な理解の低下が見られることがある。

要介護5

排泄や食事が自分一人ではほとんどできない。身の回りの世話や移動などの動作や立位保持が自分一人ではほとんどできない。多くの問題行動や全般的な理解の低下が見られることがある。

※上に示した状態は平均的なものであり、完全に一致しないことがある。
※総務省「要介護認定等の仕組み
※埼玉県朝霞市公式ホームページ「要支援・要介護度の目安

▶ 要介護認定とは?認定の流れと7段階の要介護度について解説
  

② 施設を探す

次に、入居予定の本人や家族の希望条件を整理しましょう。老人ホームには多種多様な形態があり、受けられるサービスも施設によって異なります。入居先の候補を絞り込むにあたって、優先したい条件を整理しておくことが大切です。例えば、入居費用や月額費用、立地条件、介護サービスの内容、食事の内容などの条件です。

条件が整理できたら、老人ホームを探し、気になる施設に資料を請求します。施設を調べる際には、信頼できる情報源をあたることが重要です。地域包括支援センターなどの公的機関や民間の介護施設紹介センターのほか、ケアマネジャー、信頼できるウェブサイトなどの情報をもとに施設を探してください。

なお、老人ホームを探す際には、下記のような信頼できるウェブサイトをご利用ください。

<老人ホームを探す際におすすめのウェブサイト>

  • マイナビ「マイナビあなたの介護」
  • 厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」
  • 一般社団法人高齢者住宅協会「サービス付き高齢者向け住宅 情報提供システム」
  • 一般社団法人東京都老人保健施設協会「施設・空床検索」
  • お住まいの市区町村のウェブサイト
     

③ 見学と体験を行う

老人ホームに入居の申込みをする前に、必ず施設を見学しておくことをおすすめします。老人ホームの雰囲気や周辺環境など、資料だけではわからない点も多いからです。また、施設によっては、入居体験が可能な場合もあります。

見学時間は限られているため、確認したい点は事前に書き出し、見学当日に抜け漏れなく確認できるようにしましょう。主に確認すべき事項は、下記のとおりです。

<老人ホーム見学時の主な確認事項>

  • アクセス
  • 周辺の環境
  • 居室や設備の充実度
  • スタッフの対応の丁寧さ
  • ほかの入居者の雰囲気
  • 食事の内容
      

④ 契約と入居を行う

入居したい老人ホームが決まったら、申込書に必要事項を記入して施設に提出します。その後、施設の職員と面談を行い、入居者の健康状態や生活習慣などについてヒアリングを受けます。入居審査を通過すると、契約へと進む流れです。契約前には重要事項説明書などの書類にしっかりと目を通し、サービス内容や費用、運用方針などを十分に確認することが大切です。

入居契約を締結したら、入居日を決めて引越しのスケジュールを組みます。入居までに、住所や年金、健康保険証などの変更手続きを行ってください。

さらに、老人ホームからもらえる持ち物リストを確認し、指定の持ち物を用意します。一般的には、洗面用具や衛生用品、タオル、衣類などを持ち込む必要があります。

  

まとめ:老人ホーム探しのポイントを押さえて、自分や家族に合う施設を見つけよう

老人ホームの模型を持つ手

老人ホームには多くの種類があり、施設によって受けられるサービスや費用が大きく異なります。今回ご紹介した老人ホームの種類や選ぶ際のポイント、入居までのフローなどを参考に、入居する本人や家族にとって快適で安心できる施設を見つけましょう。

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参考URL

全国有料老人ホーム協会「有料老人ホームの選び方」
東京福祉局「有料老人ホームの選び方」

監修

北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO

菊地 雅洋

北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO

菊地 雅洋

社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。

社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。

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