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通所リハビリテーション(デイケア)とは?特徴やサービス内容を徹底解説!

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通所リハビリテーション(以下、デイケア)は、自宅から通いながら、リハビリの専門職から支援を受けられる介護保険サービスです。
「ケガや病気で入院し、退院後もリハビリを続けたい」「身体機能を維持したい」と考える方や、家族にとって、デイケアは利用したいサービスの一つではないでしょうか。

では、デイケアでは実際にどのようなサービスを受けられるのでしょうか。また、料金はどれくらいかかるのでしょうか。
この記事では、現役ケアマネージャーが、デイケアの特徴やサービス内容、料金について、詳しく解説します。

1. デイケアはリハビリを目的とした介護サービス

通所リハビリの様子

デイケアとは、病院や診療所、介護老人保健施設(※)といった専門の施設に通い、日帰りでリハビリや入浴、昼食などの、日常生活における支援が受けられるサービスです。

まずは、デイケアを利用するための条件と、受けられるリハビリの種類を見てみましょう。

▶ 介護老人保健施設(老健)とは?
 

利用するための条件

デイケアを利用するためは、以下2つの条件を満たす必要があります。

  • 要介護認定を受けていること
    デイケアは、要介護認定を受けている人のうち「要支援1~要介護5」までのすべての要介護度(※)の人が利用できます。
    まだ要介護認定を受けていない場合は、自治体の介護保険に関する窓口や、地域包括支援センターなどに相談し、介護申請をして認定を受けましょう。

    ▶ 要介護認定とは?


  • 医師からの指示があること
    デイケアを利用したい場合は、通所リハビリ事業所の医師の指示を受ける必要があります。(※必ずしも指示書を発行してもらう必要はありません)

    医師が利用者の病名や既往歴、利用経緯などを踏まえて状況を確認し、「どのような配慮が必要か」「どのような治療を行っているか」といった医療情報を含めて取りまとめることで、デイケアで実施するリハビリにおけるリスクを低減できます。

    特に、初めてリハビリを行う場合は、今までの日常で行ってこなかった動作を行うことになるためリスクも多く、医師とリハビリの専門職による連携が非常に重要です。

 

2. デイケアで実施されるリハビリとは?

デイケアで実施されるリハビリには、個別リハビリと集団リハビリがあります。

個別リハビリでは、医師の指示のもとでリハビリの専門職が利用者とともに計画を作成し、一人ひとりに合わせたリハビリを提供します。集団リハビリでは、複数名の利用者とともに、運動や体操などを一緒に行います。

リハビリの専門職には以下の3つがあります。

  • 理学療法士
    病気やケガ、先天的な理由で体が思うように動かない人に対し、日常生活で必要な基本動作のリハビリを行う専門職です。立つ、座る、歩くといった動作のリハビリを行うことから、「動作の専門家」と言われています。

  • 作業療法士
    病気やケガ、もしくは生まれながらに障害がある人などに対し、その人が必要とする生活行為(食事やトイレ、服を着る、料理をするなど)ができるようにするための訓練を行う専門職です。生活行為ができるように、必要な道具を提案したりすることもあります。
  • 言語聴覚士
    言葉や聞こえなど、コミュニケーションに問題がある人、食事することに問題がある人に対し、訓練や指導、相談などを行う専門職です。言葉を理解することや発音することだけでなく、聞き取れるようになるための課題を解決するための指導、食べることや飲み込むことに関する問題への対応を行います。

上記の専門職が、利用者にあわせてリハビリの計画を作成し、実際にリハビリを提供する「個別リハビリ」では、主に以下の2点に重点を置いたリハビリが実施されています。

  • 身体機能の維持向上を目指すリハビリ……関節拘縮の予防、筋力や体力の維持、自主トレーニングの指導など
  • 日常生活を送るために必要なリハビリ……歩行練習、寝返りや起き上がり、座るなどの基本動作訓練、食事や排泄、入浴などの日常生活動作訓練など
     

「要支援1~2」の場合のリハビリ

「要介護1~5」よりも自立度が高い「要支援1~2」に当てはまる利用者の場合、生活機能を向上させる目的でリハビリが行われます。具体的には、食事や排泄、レクリエーションなどの日常生活上の支援に加えて、利用者が選択できる次の3つのサービスを個別的に受けることができます。

  • 運動器の機能向上……要介護状態を予防するために行う身体面のリハビリを行う
  • 栄養改善……低栄養状態にある人や恐れがある人に対して、栄養状態が改善するように相談や管理を実施する
  • 口腔機能の向上……口腔内の清潔や唾液の分泌、咀嚼や食事摂取などの口腔機能の低下がみられる人や、低下する恐れがある人に対し、口腔機能の改善を目指してリハビリや指導を行う

 

3. 通所リハビリテーション(デイケア)と通所介護(デイサービス)の違い

通所リハビリテーション(デイケア)と通所介護(デイサービス)の違い

デイケアと似た名前のサービスとして「通所介護(デイサービス)」がありますが、この2つは違うものです。

デイケアは、身体機能の維持向上を目的にリハビリ実施しますが、デイサービスは利用者の健康状態の維持や、生きがいの場の提供、家族負担の軽減などが目的となります。

また、それぞれの施設に配置される職員の資格や人数も異なっており、デイケアには、医師とリハビリ専門職が必ず配置されているという特徴があります。

それぞれの違いについて、以下の表に詳しくまとめました。

 

通所リハビリテーション

(デイケア)

通所介護

(デイサービス)

利用目的

身体機能の維持回復、生活機能の維持向上やコミュニケーション能力の向上など。

 

心身の健康維持の向上、社会的な交流や、楽しみ、生きがいに繋がる場の提供、生活リズムの安定、家族の負担の軽減など。

職員の種類

  • 医師
  • 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、介護職員
  • 管理者
  • 生活相談員
  • 看護職員
  • 介護職員
  • 機能訓練指導員

※理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師のいずれか

 

▶ デイサービス(通所介護)とは?

4. 通所リハビリテーション(デイケア)で受けられるサービス

通所リハビリテーション(デイケア)で受けられるサービス

デイケアでは、専門職によるリハビリと、食事や入浴などの日常生活上の支援が受けられます。

自宅から施設の送迎もサービスのひとつに組み込まれています。

利用できる時間は、施設によって異なり、1日を通してサービスが受けられる「1日型」の施設と、短時間で集中的にリハビリを受けられる「短時間型」の施設があります。それぞれの一日の流れを詳しく見ていきましょう。

1日型の通所リハビリテーションの流れ【一例】

9:00

自宅にお迎え

施設到着後

バイタルチェック

水分補給

10:00

朝の会

入浴

個別リハビリ

個別レクリエーション

12:00

昼食

13:00~14:00

休憩

14:00

集団レクリエーション

個別リハビリ

15:00

おやつ

16:00

自宅にお送り

自宅へのお迎え時間は利用者ごとに異なり、一般的には数名の利用者宅を回ります。施設到着後は、水分補給と体温や血圧などの測定を行います。

その日の利用者が全員揃うと、朝の会を行い、順番に入浴や個別リハビリ、個別のレクリエーションを実施します。昼食後は、1時間ほどゆっくりと休憩し、午後からは集団でのレクリエーションや個別のリハビリを行います。15時頃におやつが提供され、16時頃から職員が自宅に送ります。
 

短時間型の通所リハビリテーションの流れ【一例】

9:30

自宅にお迎え

施設到着後

バイタルチェック

個別リハビリ

マシントレーニング など

11:30

自宅へお送り

短時間型のデイケアの場合、2時間程度の利用となることが多いでしょう。

施設に到着した後は、1日型と同様に体温や血圧などを測定し、個別リハビリやマシントレーニング、マッサージなどの物理療法を行います。基本的に、食事や入浴などは、短時間型のデイケアでは提供されません。集中的にリハビリを行った後は、職員が利用者の自宅へ送ります。

5. デイケアにかかる費用

通所リハビリにかかるお金

デイケアにかかる費用は、利用者の要介護度(要支援1・要支援2・要介護1・要介護2・要介護3・要介護4・要介護5 のいずれか)と利用時間、施設の規模によって変わります。

「要支援1~2」の場合

要介護度が「要支援1」「要支援2」の場合、基本料金が以下のように月額固定で決められています。(1割負担の場合)

  • 要支援1 2,268 円
  • 要支援2 4,228 円

※上記費用に、選択するケアサービスごとの費用や、施設の体制による加算、昼食代などの必要な費用が加算されます。
 

「要介護1~5」の場合

要介護度が「要介護1」「要介護2」「要介護3」「要介護4」「要介護5」の場合は、1日当たりの基本料金がそれぞれ決まっており、入浴を利用する場合やリハビリの内容によっては、加算が発生します。

目安として、「通常規模」の施設でのデイケアを1回あたりの利用料金は以下の通りです。(1割負担の場合)

利用時間

要介護度

利用料の目安

短時間型

(1~2時間の利用)

要介護1

369 円

要介護2

398 円

要介護3

429 円

要介護4

458 円

要介護5

491 円

1日利用型

(7~ 8時間の利用)

要介護1

762 円

要介護2

903 円

要介護3

1,046 円

要介護4

1,215 円

要介護5

1,379 円

(出典:「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」をもとに作成)
※上記費用に、選択するケアサービスごとの費用や、施設の体制による加算、昼食代などの必要な費用が加算されます。

 

6. 通所リハビリテーション(デイケア)を利用するまでのステップ

通所リハビリについての説明をする職員

デイケアを利用したいと思ったら、まずは担当のケアマネージャーに利用したい旨を相談しましょう。利用したいデイケア施設が決まっている場合は、その旨も伝えてください。利用を決める前には、施設の見学や体験利用をしておくと、デイケアの流れや雰囲気がつかめて利用者本人も安心できます。見学や体験の申し込みは、ケアマネージャーが対応してくれます。

その後、担当者会議が開催され、デイケアの医師との面談や契約を経て、デイケアの利用開始となります。

▶ ケアマネージャーとは?

 

まとめ:自宅で生活しながらリハビリするならデイケアがおすすめ

通所リハビリの送迎前

通所リハビリテーション(デイケア)は、自宅での生活を維持できるよう、リハビリに重点を置いた介護保険サービスです。リハビリ専門職から、自宅での生活に合わせたリハビリを受けることができます。リハビリによって、できることが増えると、自信がついて前向きに生活できるようにもなるでしょう。

見学や体験ができるケースもあるので、担当のケアマネージャーに相談してみてください。

また、介護に関するお悩みがあるときには、「マイナビあなたの介護」でLINEや電話で相談することもできます。
最適な施設探しから介護準備のお手続きのサポートなど幅広く対応します。

どんな些細なお悩みでも、お気軽にご相談ください。

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参考URL

通所リハビリテーション(デイケア)とは|健康長寿ネット
どんなサービスがあるの?通所リハビリテーション(デイケア)|厚生労働省
通所リハビリテーション(デイケア)|WAMNET
介護報酬の算定構造(P7~9)|厚生労働省
通所リハビリテーション|厚生労働省
通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護|厚生労働省

監修

北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO

菊地 雅洋

北海道介護福祉道場あかい花・代表/あかい花介護オフィス CEO

菊地 雅洋

社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。

社福の総合施設長から独立後、現在はフリーランスとして介護事業者の顧問指導・講演講師などを行っている。

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